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MarkeZine Day 2017 Autumn(PR)

既存のMAはもう古い!デジタルで接触する97%の匿名顧客を獲得するには~SATORIが完全解説

 デジタルファーストというキーワードと切っても切れないのが、顧客への接触を自動化・効率化するマーケティングオートメーションだ。同ツールの認知度ランキングで2位に食い込んでいる「SATORI」が、「創業2年にして、200社以上に導入されているMAツール」だと聞くと驚かれるのではないだろうか。9月27~28日に開催されたMarkeZine Day 2017 Autumnに、同社代表の植山浩介氏が登壇。マーケティングオートメーションに足りない概念と、自社が中小企業としてどのようにBtoBマーケティングを成功させているかが詳細に語られた。

BtoBにも押し寄せる、デジタルファーストの波

 現在、顧客と企業の最初の接点は、デジタルがほとんどであろう。隙間時間にはスマホでSNSのタイムラインを眺め、ふと疑問に思ったことがあると考える前に検索している、といったこともまったく日常的な行動になっている。

 そうした、顧客にとっての一番の接点が「デジタル」になってしまったという変化を指す「デジタルファースト」をテーマに開催された今回のMarkeZine Dayで、SATORI株式会社の植山浩介氏はタイトルに「マーケティングオートメーションはもう古い?!」と掲げた。その真意は、マーケティングオートメーション(以下、MA)がブームとして扱われている現状に疑問を呈し、「MAは一過性のものではなく、BtoBのデジタルマーケティングの本質を突いていく概念だという意図を込めた」と説明する。

SATORI株式会社 代表取締役 植山浩介氏
SATORI株式会社 代表取締役 植山浩介氏

 エンジニアを15年、マーケターを5年経験した植山氏が2015年に立ち上げたSATORI株式会社は、MAツール「SATORI」を開発・提供。後発ながら今年3月時点でMAツールの認知度ランキング2位を誇っている(出典:2017年3月 ジャストシステム)。導入企業は現在200社ほどで、中小企業や大企業の中の小規模事業のようなリソースが少ない組織で主に活用されている。何より、自社が同ツールを使って認知度を獲得するところから事業を拡大してきたノウハウが、導入企業に評価されているという。

 植山氏は「デジタルファーストな顧客に対するマーケティングが、今の本質的な課題です。BtoBだと『営業マンを呼ばないだけでなく、資料請求さえ行わなくてもオンラインで情報収集して判断できる』という顧客が増えている、つまり顧客にとっての最前面にデジタルが来ているのは非常に厳しい状態です」と切り出し、次の2つのデータを提示する。

デジタルで接触する顧客の97%が匿名という現実

 植山氏が提示した2つのデータのうち、ひとつは顧客コミュニケーションの85%が、メールやWebサイトやネット広告などの非対面の接点で展開されるようになること(出典:2017年 ガートナー社)。もうひとつは、Webサイトを訪れる人の97%が、MAツールを使っても匿名状態であること(出典:2017年 SATORI)。つまり、既存のMAツールは、実名がわかって“潜在顧客化”してからの顧客育成をするものが多いが、これを導入したところで、97%の匿名見込み顧客に対しての育成はできないのだ。

 一方、先の「MAは古い?!」という提示は、そもそものMAの発祥を考えると頷ける部分も大きい。植山氏によると、20年前にアメリカで誕生したMAは、広大な国内で顧客と会えない状況をどう埋めるかという観点でつくられたもので、デジタルファーストを前提にしていない。「見込み顧客を発掘して育成し獲得する、という行為は汎用的だが、それがデジタルを前提にしていない点で今のMAツールは限界がある」と植山氏。

 これらを踏まえると、MAツールはデジタルマーケティング実践の強力な味方になるようでいて、実はMAツールだけでは不十分。先のデータからわかるように、実名化して資料請求やセミナー参加などアクションを起こす顧客は見込み顧客全体のごくわずかだ。

 「本当は、その先に何十倍も潜在顧客がいることをぜひ理解していただきたいと思います」と植山氏。デジタルファーストの顧客を捉えるには、MA以外の要素を入れる必要があるという。その要素であり、実際にSATORIが自社のBtoBマーケティングで重視しているのは、いかに早くデジタルで潜在顧客に接触するかという「ファーストタッチ」の視点だ。

潜在顧客が課題を感じた時点で“ファーストタッチ”

 実際、植山氏は自身が最近経験した“ファーストタッチで意志決定が変わってしまった”事例を紹介する。

 社員一人ひとりの営業力や顧客提案力を上げたいと考えていた植山氏は、ツールとして営業支援システムや何らかのグループウェアの導入を想起した。そこでまず、いくつかのキーワードで検索すると、リスティング広告やコンテンツマーケティングの記事などで「チャットツール」という思いもよらなかった候補が浮上。関連ブログなどを閲覧するうち、チャットツールのほうが適していると思い始め、具体的に検討することに。4社に資料請求をして比較表にし、2社に絞り込んだ上で、植山氏の場合は周囲に実際のユーザーなどがいたため「最後まで営業担当者に会うことなく決めてしまった」という。

 これをチャットツールの販売者の立場からみると、最後のイレギュラーな展開を除いても、最後の2社に入らなければ会ってもらえないということになる。手前の4社に入らないと、戦いにもならない。「売る側は、会って説明しないとわかってもらえないと思っていますが、顧客側は『会わなくてもネット検索で自分が欲しい情報は収集できる』と思っているのが常です。その乖離は非常に大きい」と植山氏。

 また、そもそも最初の検索段階で「グループウェアにしよう」と思われたら、チャットツールの販売者は何も手を打つことができない。その時点から、実は努力すべき段階が始まっていたのだ。「どうすればいいかというと答えは一目瞭然で、最初に顧客が課題を感じた時点で、ファーストタッチすべきなのです」(植山氏)

ファーストタッチで重要なのは“啓蒙活動”

 では、具体的にSATORIではどのようにMAツール購入の見込み顧客にファーストタッチしているのだろうか? 植山氏は「MAのことを知らない人にMAを伝える」ことがポイントだと解説する。何かしら課題を持った瞬間に、「それは実はMAで解決できるんですよ」と啓蒙しているのだという。

 たとえば「営業チームを強化したい」と思ったとき、普通は「営業研修」や「採用」という発想になり、そうしたキーワードで検索される。そのとき、SATORIでは「個人の力に依存しない会社としての仕組みをつくりませんか?」という切り口で、MAを推していく。

 「営業の仕組み化、つまりマーケティングなのですが、それを強力に支援するMAツールというものがあることを伝えるために、課題を抱えた時点で接触します。そこでまず『会社としての営業力を高められるツールがあるんだ、これは再現性がありそうだ』と気付いてもらって当社の認知を獲得し、潜在顧客化することができます。経営層などには特に有効です」(植山氏)

 そこからは、関連コンテンツなどを提示して興味喚起を図り、最後に資料請求やセミナー誘導などの行動喚起をしているという。

 ちなみに他のMAツールベンダーでは、施策が二極化しているのが現状のようだ。ひとつは多額の広告費を投じて大手メディアに純広告を出稿し、潜在顧客が興味を持った時点でのコンバージョンを狙う。もうひとつは、逆にニーズが顕在化している顧客だけを対象に「MA」の検索時にリスティング広告出稿やSEOを行う。ただし後者は既にMAでのCPAが4万円ほどになっており、これも手頃な策とはいえないだろう。

SATORIが実践するコンテンツによる啓蒙活動3ステップ

 ではSATORIはどのような施策を展開しているのか。SATORIは次の3ステップに分けて、潜在顧客をデジタル上で捉えて育成、獲得している。

(1)ファーストタッチにはメディアを活用

 最初のステップは、潜在顧客が「MAツールで解決しうる課題感」を持った瞬間に接触することを考えることだ。「これには自社でコンテンツマーケティングを行うか、もしくはメディアからセカンドパーティーのオーディエンスデータを提供してもらうか、この2つの方法しかない」と植山氏。

 実際にSATORIでは、コンテンツマーケティングとして、MAやメール開封率といったテーマで自社サイトに現在100記事ほどを掲載し、SEOで流入を図っている。もうひとつはメディアによって組み方は異なるが、タイアップ記事出稿時に閲覧した読者データを提供してもらうなどして、彼らにアプローチするもの。ここで特に重要なのはデータの濃度とコンテキストで、「現状では経営者対象のメディアと、MAの検討段階という文脈にいる顧客が読むメディアの効果が高い」という。

(2)啓蒙コンテンツで顧客を誘導

 次のステップは、(1)で捉えた潜在顧客に適切なコンテンツを提示し、自社との距離を縮めてもらう。SATORIではこの方法で、これまでに約60万ユーザーを匿名客として獲得しており、彼らを順を追って啓蒙している。「考え方は簡単で、優秀な営業マンのセールストークをイメージしています。MAを知らない人にはまずMAの解説、次に事例、そして『SATORI』の紹介といった流れで、顧客のカスタマージャーニーに沿って記事を提示していきます」(植山氏)。

 なお、その方法としてはオウンドメディア内ならレコメンド記事欄、外部サイトならリターゲティング広告を活用している。

(3)コンバージョン

 (2)で行ったのは、まさしくデジタル上での顧客育成だ。最後の段階は、最終的に自社サイトで「SATORI」の機能紹介や他社との比較ページを閲覧した顧客にポップアップを出し、資料請求やセミナー参加へ誘導する。

デジタルのみで顧客育成すると、逆に会える顧客が増える

一連の施策の流れまとめ
一連の施策の流れまとめ

 一連の流れを振り返ると、まず自社サイトもしくはセカンドパーティーデータを活用して大量に潜在顧客に接触する。次に、個々の関心に合わせた啓蒙コンテンツを提示し、興味を深めて、最後にコンバージョンにつながる一押しを提示する。

 「この流れのすべてがデジタルで完結できることが、デジタルファーストの時代には重要です。そのほうが多くの顧客を潜在顧客として捉えることができます」と植山氏は強調する。

 ちなみに啓蒙コンテンツのリターゲティング広告と、最後のコンバージョンにつながるリターゲティング広告だと、SATORIでの広告費投下の割合は8:2。リターンを考えると、単純にこれだけの比率の差があるという。MAを知らない層にMAを提案するという、リードジェネレーションの最も上流の段階ともいえる部分を含めて、いかに潜在顧客の発掘と育成が重要かがわかる数字だろう。

 最後に植山氏は、「デジタルだけで顧客を育成する視点を持つことで、最終的な商談の段階で対面できる顧客数も大幅に広がります」と語る。「SATORI」は匿名状態の顧客の動向やホットリード化なども把握できるため、コンテンツマーケティングなどとの併用でも大きく効果を発揮しそうだ。「デジタルマーケティングを成功させるために、ぜひファーストタッチからデジタル上で顧客育成できる仕組みを構築していただけたらと思います」(植山氏)

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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