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今話題のラックス新商品「ボタニフィーク」がTwitterでとったチャットボット施策とは?

「ブランド」と「おもしろさや自虐ネタ」は両立できるのか?

 ――今回のTwitter活用は従来に比べ、どこが違うのでしょうか?

長谷川:Twitterの特徴として、「とにかく周囲に広めたい」と思ったことをツイートされる点があります。今回はその要素を取り入れたため、これまでと比べると、よりTwitter文脈に沿った企画になったと感じています。

進藤:私はアサツーディ・ケイの営業という立場から今回の企画に携わりましたが、企画当初から「ブランドが、どのような形で拡散されたら良いか」「拡散されやすいコンテンツは何か」を詰めて考えていった結果、今回のような成果につながったと考えています。

株式会社アサツーディ・ケイ ADKグローバル東京 アカウント・エグゼクティブ 進藤祥太氏
株式会社アサツーディ・ケイ ADKグローバル東京 アカウント・エグゼクティブ 進藤祥太氏

 広告の場合はどうしても「企業側が消費者の言葉を使い、メッセージを流す」というコンテンツになりがちですが、今回はむしろ「Twitter上で30代の女性が使っている言葉」という観点でコンテンツを立案しました。そこがうまく機能し、広告っぽくないけれど、いいたいことは伝わっている、という内容になったと思います。

渋佐:オーガニックな拡散が目的だったので、今話に出たように「広めたい」という気持ちに添う企画作りをしました。その一方で、広めたいと思わせる「おもしろさ」をブランドとしてどう表現できるか、ギリギリのところまで悩んだことも事実です。

 ――プレミアムなブランドとして、その判断は難しいところですよね。判断ラインは、どこにあったのでしょうか。

渋佐:ブランドのテレビCMの素材を活用することで、ビジュアル面の品質を担保しました。表現では「遊んだとしても、ただ一つ“100%ピュアはボタニフィーク”が残る仕組みに残す」ということを意識しました。

 こちらの狙いとしては、第一に「100%アンデス産オイル配合の高品質なシャンプー」というメッセージを外してはならない、ということを意識していたので、そこはきっちり詰めていきました。チーム全体で、当初からその目的を共有していたので、言葉や表現にはかなり気を遣いながら企画を練ることができ、遊びの中でも唯一残したい表現を強調できたと思います。

ハッシュタグを1つに絞った効果とは

 ――キャンペーン中、ユーザーからの反応はいかがでしたか。

進藤:チャットボットが、本当にうまくはまりました。ピュア度という少し自虐的な内容も含んだネタを提供することで、まわりの友達もツッコミなどの反応をしやすくなります。

 また、ハッシュタグの効果的な使い方についても意識しました。ハッシュタグは検索に使う用途と、言葉を拡散するための用途の2つの使い方がありますが、今回は後者の用途で使用することにしました。しかしTwitterの文字制限があるので、ハッシュタグを多くしすぎると、診断結果まで表示できません。いろいろ考えた結果、ハッシュタグは商品名の「#ボタニフィーク」に絞ることにしました。

渋佐:結果、これがうまく機能しました。一般の方も含め、製品に関するツイートに付くハッシュタグは「#ボタニフィーク」で統一され、認知度向上に大きく貢献しました。結果的に製品名で検索すると、診断テストの結果と共に商品の情報も出てくる、という情報ソースの一元化にもつながりました。

 ――診断系のコンテンツは、ブランドのメッセージよりも診断結果だけ拡散する可能性もありますよね?

渋佐:実はキャンペーンを始める前、最も懸念していたのがその点です。面白い診断を提供したいわけではありませんから。今回は「私のピュア度10%、でもこのシャンプーは100%アンデス産ピュアオイル配合(笑)」といったように、診断結果と私達のメッセージがうまく馴染んだと思っています。

会話から拡散までがシームレスにつながった好例

 ――今回のキャンペーンをどのように評価していますか?

渋佐:設定していた目標は2つあります。まず、「あまりリーチできなかった層にリーチしたい」ということでしたが、それはTwitterの広告でのリーチとコンテンツの拡散に加え、Twitter利用者同士の会話から生まれた約200万のポテンシャルインプレッションという形で達成しました。

 もう1つ、「高品質さの信頼度を持った訴求」についてですが、これについては、チャットボットのデータ分析で興味深いデータが出てきています。製品のことを知ったユーザーの行動を見ると「価格」をクリックするケースが多いことがわかったんです。

診断以外のメニューの行動もデータとしてチェックすることができる
診断以外のメニューの行動もデータとして蓄積することができる

 これは製品を知り、その品質を評価していただいたからこそ、購入意思をもって価格をチェックしたと考えられるので、さらに分析は必要ですが「達成できていないとはいえない」というところだと思っています。

 もう一歩踏み込んで、たとえばチャットボットとのやりとりを通じてECへ誘導するという形にできていれば、さらに別の成果も出ていたかもしれませんね。

 ――お話を聞いていて、今回の取り組みはTwitterのダイレクトメッセージカードを利用し、会話から情報拡散までがシームレスにつながったという新しさがポイントだと感じました。大きなブランドながら、こういった新しいことに挑戦できることは素晴らしいと思います。今回はありがとうございました。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/11/29 11:00 https://markezine.jp/article/detail/27267

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