課題の再定義にまで応える能力と体制へ
――複数の専門性をワンストップで提供する組織体制をとることで、経営に近い課題に対応できるようにしたわけですね。
竹内:そうですね。与えられた課題の解決もさることながら、提示された課題自体を検証する視点も必要ですし、そもそも課題は何なのかを一緒に考えてほしいという要望も増えています。以前の「サイトリニューアルをしたいので」という発注とはまったく別の次元ですね。
そうなると、おのずと予算規模も数千万から数億へと桁が上がりますし、単なる期間限定の受託ではなくパートナー企業としての長期的な取り組みにもなります。こうしたクライアントのご要望のレベルが上がるのに合わせて、IMJの組織を改善し、事業構造自体を組み換え、個々人の能力も成長してきました。
――クライアントとの向き合いが長期的で深いものになるのは、働く側のやりがいにもなりますね。
竹内:やりがいがさらに増してきているのは間違いありませんね。もともと非常にお付き合いが長いクライアントが多く、15年にわたって支援させていただいている企業様もあります。
比較的最近の例としては、ビー・エム・ダブリュー様の日本市場におけるデジタルリードエージェンシーになって、3年目になります。こうした長期的な支援をさせていただくケースがどんどん増えている状況です。
だからこそ、納品して終わりという姿勢では絶対に続きませんし、取り組みが深くなるほどこちらに求められるハードルも高くなるので、組織としてもっと進化しないといけない。私自身も、大きな手応えを感じています。
制作・運用で培った「効果へのコミット」がIMJの誇り
――ちなみに、広告代理店のデジタル専業組織も競合になるかと思いますが、御社ならではの強みはどう捉えていますか?
竹内:広告代理店系の会社様とは戦い方が違うと思いますね。私たちはメディアバイイングを扱いませんし、21年前の創業時からずっと、デジタルでのコミュニケーションが人に届いたかどうかを定性・定量の両面からシビアに見ながらビジネスを続けてきたというDNAに誇りを持っています。
デジタルでは、枠で露出量を保証して終わりじゃなくて、具体的な人に届いてどのような効果があったのかにまでコミットする必要がある。僕らは20数年にわたってDNA的にデジタルの特色がしみついているので、効果に対するコミットが自然にできています。
言い換えると、まじめにしっかりコンテンツをつくって運用することがIMJの基本にあります。運用設計まで含めた作り込みまできっちりできるプレーヤーは、業界を見渡しても限られています。そこはやはり僕らのコア中のコアだといえます。
僕らが果たしている役割は、Webインテグレーターからデジタルマーケターまで多様なものになりつつあります。けれど、呼び名は変わったとしても、僕らの強みである制作・運用のノウハウはすべての根幹として大切にしています。
制作・運用の現場で蓄えてきた強みを活かしつつ、より高度なお客様の要求に応えていくために、組織的に学べる体制を整備すると同時に、個々人が有しているノウハウの体系化も進めてきました。教育環境のさらなる向上は、先日の社員総会でも特別に時間を取って皆に伝えた最優先事項です。