米国でも着々とユーザーを増やす
——先日、御社は世界での「SmartNews」アプリのダウンロード数が2500万を突破したと発表されました。日本以外には米国はじめ世界150カ国以上でサービスを提供されているとのことですが、まず日米それぞれの提携パブリッシャーと広告主の状況をうかがえますか?
西口:2012年12月にサービスインした日本では、現在約2,000以上のメディアと提携しており、全国規模から地域に根ざした媒体社、デジタルメディアまで様々です。広告主もナショナルクライアントからローカルクライアントまで幅広く出稿いただいています。米単独でのダウンロード数は公表していませんが、各国に合わせてマーケティング施策を変えていることもあり、2014年10月にローンチして以降、好調に伸びている状況です。
ジャロスロフスキー:パブリッシャーの状況は米国でも日本と同じで、今は300ほどのメディアパートナーと提携しています。大手トラディショナルメディアだとCNN、USA TODAYなどがあり、同時に規模的には小さいかもしれませんが、デジタルネイティブなパブリッシャーもHuffPostやCNETなどと提携しています。また、英語圏というと英国も含まれるので、BBCやPress Associationといった一定の権威を集めるメディアとも提携しています。
広告主については、少し日本と違うかもしれません。ローンチ時からナショナルクライアントにフォーカスしてきた経緯がありますが、今はローカルクライアントとも付き合いがありますし、良好です。
このままではデジタルメディアは使えない
——米国におけるスマートニュースは、今どのような位置づけなのですか?
西口:ローンチが遅い分、日本に比べればDL数も認知度もまだまだです。ただ、日本でのローンチ時の状況と比べて、米国では現在でもニュースのアグリゲーションアプリ自体がそれほどメジャーな存在ではないことと、昨年の米大統領選を通して“正しい”情報が強く求められているという潮流を受けて、伸びしろは大きいですし、広報施策は予想を上回る効果が上がっています。
——そうなんですね。西口さんは、キャリアをスタートされてからずっと広告主側にいらっしゃって、今年スマートニュースに参画されたことは業界の大きなニュースにもなりました。なぜ、コンテンツ配信を手がけるプラットフォーマー側に移籍されたのですか?
西口:動機はシンプルに、「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」という会社の理念に共感したからです。既に“チーフ・ジャーナリスト”としてリッチが参画していたことも大きいですね。
共感の根底にあったのは、クライアントサイドにずっと身を置いてデジタルメディアの活用もそれなりに模索してきましたが、この数年で「現状のままでは使えない」という問題意識が頭をもたげていたことです。問題のひとつが、今年やっと日本でも言葉が聞かれるようになった、アドフラウド(Ad Fraud/広告詐欺)。アドネットワークはそもそもどこに出ているか確認できないのがブランドセーフティーの観点で問題でしたが、アドフラウドは不正なプログラムでPVなどを水増しする、明らかな詐欺です。