お客様との直接接点“配送クルー”の重要性
竹内氏と北氏は次に、ワークショップに参加できなかったCS推進部内のメンバーを加えて、改めてCJMのブラッシュアップに取り掛かった。新たに加わったのは配送の現場を経験してきた人物。そのため、顧客と直接対面する場面での強化された視点を加えることができた。
「当社の配送は宅配便の他に、都市部を中心に“らでぃっしゅぼーや専用車エリア”という、配送スタッフ(らでぃっしゅクルー)がお客様に商品を渡す仕組みも用意しています。実際にお会いできる“実面率”は約4割で、毎週来てくれるお兄さんのような存在を目指しています。この接点の重要性は、一度目のCJMでは反映しきれていませんでした」(北氏)
実は、NPSの調査以前から、らでぃっしゅクルーの経験や待遇のレベルといった個人差にスポットを当てた改善を進めている。
「“宅配クライシス”といわれている昨今、クルーとお客様との接点が重要かつ強みだからこそ、経験年数が浅くても一定以上の接遇ができる環境作りのため、“クールマイスター制度”と称して配送品質を上げようとしているのですが、社内的に多少不安な面がありました」(竹内氏)
NPSにジャーニーマップの要素を加える
ペルソナに沿ってCJMを作り、そこに顧客満足度や実際の声を照らし合わせることで、CS推進部がクリアにしたいことは何か? 竹内氏は次のように語る。
「私たちは、ご提供している野菜や果物はどこにも負けない良いものだと、強い自負を持っています。一方で、スーパーマーケットも宅配事業に参入し競争は激化しています。そのなかで勝ち続けるためには、常に今を改める必要があります。なぜそこを改善するのか、なぜそこから始めるのか各部署が納得できる根拠が必要です」(竹内氏)
同社では2017年10月に3万人を対象にしたNPS調査を実施した。調査では各項目について好意度および、その理由を尋ねていく。この質問項目にCJMによって洗い出せた要素を反映することで、顧客が何を重要視しているのかを把握した。
「NPSの結果では、らでぃっしゅぼーやの魅力第一位は商品そのもの、次に配送クルーの対応と続きました。この結果から、商品そのものは当たり前なのですが、次に配送クルーの対応と来ていたのでデータとしてクルーが弊社の強みだと証明できたわけです。配送クルーは単なる運び屋ではなく販促の側面もありますし、何より対面によるお客様とのコミュニケーションの要でもあります。CJMで立てた仮説の正しさをNPSで証明できたことは、大きな一歩です」(竹内氏)
配送クルーの対応の例として、竹内氏はあるエピソードを紹介してくれた。
「“お客様のうれしい声”というのを毎週集計しているのですが、長野県の郷土野菜“松本一本ねぎ”へのうれしい声が杉並区に集中していました。これは何かの間違いじゃないかと調べたら、実は長野県出身の配送クルーが自分の担当エリアのお客様のお届け伝票に手書きでおすすめとして記入していたことがわかりました。私がこれ、すごいんじゃないかと言ったら、社内では当たり前の雰囲気もあったんです」(竹内氏)
今後は配送クルーだけを切り出して、改めてNPSができないかなど、深く詳細に見ていく試みも検討中だという。
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