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第106号(2024年10月号)
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MarkeZine Day 2017 Kansai(AD)

“真似するだけで成果が出た” リード獲得30%アップを実現するMA活用のコツとは?

 「MarkeZine Day 2017 Kansai」にて、MAツール「SATORI」を提供するSATORI 代表取締役の植山浩介氏と、そのツールを採用しているBe&Do 取締役COOの橋本豊輝氏が対談。MA導入後、少数チームでリード獲得30%増を実現したBe&Doの事例をもとに、MAの導入から結果を出すまでの「課題・実施施策・成功要因」について探った。

真似することで道が拓ける、中小企業のMA活用

 まずセッションの冒頭、SATORIの植山氏はMAツールを活用した成功事例が少ないことへの課題感について次のように語った。

SATORI株式会社 代表取締役 植山浩介氏
SATORI株式会社 代表取締役 植山浩介氏

 「我々が提供するマーケティングオートメーション(以下、MA)ツール『SATORI』は、マーケティング担当者が1人でも回せる、立ち上げられることを目指して作られたサービスです。現在導入いただいている企業は210社を超え、そのほとんどが中小企業。皆さん共通して、マーケティング担当者が1人から2人と非常に少ない体制で導入いただいています。

 今回のテーマは、『中小企業でも成果が出せる』というものですが、大手企業と違い、お金も、人も、時間も少ない、そういう中での解決策と成功事例がまだまだ足りないという業界の課題感を私自身持っています。『成功企業を真似する』ことは、中小企業がMAに取り組み、効果を出す上でやるべきだと考えています」(植山氏)

 そうして“真似する”ことから始め、少ないリソースでもリード獲得30%増を実現した成功事例として、Be&Doの橋本豊輝氏が同社の事例について紹介を始めた。

 Be&Doは、2011年創業のベンチャー企業。テクノロジーでイキイキした人や組織作りに貢献することを理念に事業を展開しており、主なサービスとしてエンゲージメントSNSツール、「Habi*do(ハビドゥ)」を提供している。橋本氏は、同社の立ち上げ準備期より参画し、取締役COOとして現在はマーケティング担当を務めている。

課題だらけの時期にMAツール導入を決めたわけ

 橋本氏ははじめに、Be&Doの抱えていた課題から語り始めた。

 「創業当時は課題が山積みでした。市場ありきでなく、想い先行型のベンチャー企業として始まったため、自分たちの市場がどこなのか、どの分野でその想いを実現できるのかを考えた時、eラーニングなのか、コンサルティングなのか、はたまたコミュニケーションツールなのか……と、何が正解かわからない状況でした」(橋本氏)

株式会社Be&Do COO 橋本豊輝氏
株式会社Be&Do COO 橋本豊輝氏

 その中で同社は、営業活動をプッシュ型ではなくプル型が望ましいと考えた。しかしながら、新規リードを集めるには継続的な啓蒙活動が必要で、人的リソースも十分とはいえなかった同社は、解決策としてMAツール「SATORI」を導入することに決めた。

 数あるMAツールの中から、「SATORI」を選んだ理由について、橋本氏は以下のように語る。

 「私たちが『SATORI』を導入したのには、いくつかの理由がありました。まず、感覚的なマーケティング活動からの卒業が必要だったからです。続いて、プル型の営業活動にしていく上で求められたデジタルへのシフト。さらに、世の中のデジタルファーストの流れで潜在顧客へのアプローチが難しくなっている中で、匿名顧客(Webサイトに訪問しているが、お問い合わせ等に至っておらず個人情報を特定できていない見込み顧客)にアプローチできることは大きな魅力でした。

 そして導入の決め手となった最大のポイントは、SATORIさんの会社規模が当社と同じ程度で、BtoBのクラウド型サービスを提供し、組織体制も似ていたところにあります。SATORIさんの取り組みを真似しながら、自社に合ったマーケティング活動へと見直しを図ろうと考えたのです」(橋本氏)

トライ&エラーを繰り返しながらスモールステップで築いていく

 では、実際にどんなことを真似してきたのか。まず行ったのは、SATORIのWebサイトやDL資料、セミナー資料をひたすら読み込むことだったという。良いものは社内にシェア。その後、自分たちなりのファネル図を作ってみて、「自分たちなら何ができる?」「メンバーの得意分野は?」と整理しながらプランを練っていった。

 その後は、「SATORIさんを真似して以下のような取り組みにチャレンジしました」と橋本氏は各施策を紹介した。

Be&Doが取り組んだ施策一覧

 ・HTMLメルマガ

 ・キラーコンテンツ作り

 ・ダウンロード資料のバリエーションを作る

 ・ブログでコンテンツマーケティング

 ・ポップアップバナーを設置し、様々なクリエイティブを試す

 ・一定の条件を設定し、ホットリード通知を営業に配信

 ・Webへの誘導を意識したチラシの作成

 ・定期的なミニセミナーの開催

 「HTMLメールは『SATORI』のテンプレートを利用し、自分たちなりに情報を入れて配信しています。ポップアップバナーには、社員の写真付きのクリエイティブを作成しているのですが、これもSATORIさんが社員の顔をバナーに使用しているのを見た際に、顔が見えることで親近感が湧いて良い印象を持ち、真似したものです。

 また、MAツール活用の鉄板だと思いますが、リードのスコアリングを行うことでユーザーの温度感は適確に測れるのだと実感しました」(橋本氏)

 このリードスコアリングを効果的に行うコツについて植山氏は「スコアの高さではなく変動率を重視する」ことが重要だと語る。

 「たとえば、これまで3回ほどメールを送っても開封されなかったのに、突然開封されるようになったといった、0から1に変わった瞬間を捉えることが大切です。我々も実践して成果が出ています」(植山氏)

試行錯誤が生んだリード総数30%増加

 こうした施策の結果、導入して半年でリード総数は約1.3倍(30%増加)になった。資料請求数は約2.4倍、契約中企業も約1.5倍、利用ユーザーも約4.8倍と数値に顕著な変化が表れた。

 「この結果は、四の五の言わず、まずはスモールステップで取り組み続けることで生まれたものだと思っています。その中でトライ&エラーを繰り返し、自分たち流にチューニングしていくことが重要です」(橋本氏)

 Be&Doで取り組んだ施策は、もちろんすべてが上手くいったわけではない。たとえば、SATORIで実践している定期的なミニセミナーは、同社のリソースでは負担が大きかったため、別の施策を考えた。

 その結果、同社のマーケティング領域以外でも様々な事業展開をしているという特徴を活かしたコンテンツマーケティングやMA活用を推進。これにより、メルマガの反応や、閲覧Webページで興味関心がわかるようになり、アプローチ方法が明確になった。

 「このように、施策の実行と見直しを繰り返して発信内容を変化してきた結果、最近は本当に意図したターゲット層のお客様からの問い合わせが増えていて、徐々に実を結び始めていると思っています」(橋本氏)

ツールを浸透させる組織作りとコミュニケーション

 ここまでは、MAという型に合わせて、マーケティング活動の仕組み化を進めていった話が紹介されてきたが、「ただツールを入れたら上手くいくということではない。肝となるのは、どういう体制を作っていくか、皆にどう使ってもらうかを考えることだ」と橋本氏は主張した。

 Be&Doでは、MAツール導入に合わせて組織作りも並行して行ったと続けた。「Be&Doでは、いわゆるマーケ担当は私を含め『1.5』人です。マーケティング担当者の仕事って外からだと華やかそうに見えますが、コツコツした作業や地道な改善、細かな分析と意外と地味なものが多いですよね。

 それにも関わらず、短期的な成果が見えづらい故に、周囲から成果やプロセスが理解されづらいという悩みを考えている担当者の方も多いのではと思います。そのため、私たちは“社員全員でマーケティング活動”をしています」(橋本氏)

 社員全員でマーケティング活動とは、マーケティングやセールス、サポートメンバーなど、それぞれが自身の役割領域にあった機能を利用することで、MAツールを全員で使い倒すことを指している。

 具体的には、それぞれが日々実行したことを「Habi*do」を使い報告し合うことで、他のメンバーがどういう業務をしているかを可視化して共有している。そうすることで、各仕事が個別化している状態から、得意な人がサポートする、手が空いている人が手伝うなど自発的な行動が生まれ、同僚の業務に対して尊敬の心が出てくるという。

 日々のタスクだけではなくそれぞれの目標なども共有し、目標を達成した人にはツール内でメッセージやスタンプを送り合っている。

 「業務を可視化したあとの、日々のプロセスに対してフィードバックや認め合うステップは大事です。ツールを使って日々推進していくのは人。チームから、上司から認められていると実感できることは推進力になります」(橋本氏)

マネジメントサイクルを回していくことがツールの効果を高める

 さらにBe&Doでは、月に一度1 on 1ミーティングを行い、自分が設定した目標に対して、どれだけその月に努力したのか、振り返りも行うのだという。

 そうした「自発的な目標設定から日々のプロセスの可視化、承認・フィードバック、振り返り・見直し」のマネジメントサイクルを、できるだけ早く回してブラッシュアップしていくことがツールの効果を高める上で重要なことだと橋本氏は説明する。

 最後に、「仕組み化のためには、日々泥臭い行動と改善の積み重ねが重要ですが、それを地道にやることで成果につながっていくのだと思います。そして仕組み化して効率を高めていく一方で、人の感情や組織のことなど、省略してはいけないものがあると思います」と橋本氏は語り、セッションを締めくくった。

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この記事の著者

畑中 杏樹(ハタナカ アズキ)

フリーランスライター。広告・マーケティング系出版社の雑誌編集を経てフリーランスに。デジタルマーケティング、広告宣伝、SP分野を中心にWebや雑誌で執筆中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2018/01/11 11:00 https://markezine.jp/article/detail/27638