※本記事は、2018年1月25日刊行の定期誌『MarkeZine』25号に掲載したものです。
お客様にとっての新しい価値を共創する
2017年を振り返って
ネットとリアルの融合です。中でも、どこにいても飲食店のメニューを届けてもらえるUber Eatsや米アマゾンのホールフーズ買収など、異業態への取り組みが加速したのが印象的でした。また音声操作に対応したGoogle Homeなどスマートスピーカーの登場により、音声で家電の操作が可能になるなどIoTが日常生活に入りこむことで、より身近な存在になったと感じています。LOHACOでは、お客様とのリアルな体験の場として、2017年は初めて単独でデザインイベント「暮らしになじむLOHACO展」を開催し、多くのお客様から学びがありました。
2018年へ向けて
「お客様の問題解決」に向け、パッケージデザインだけでなくご購入しやすい単位を追求したユニットロードを考慮し、ECならではの生活者起点の「コンシューマーブランド」商品をメーカーと共創していきます。2017年11月末、LOHACOの配送プラットフォームを活用したイトーヨーカドーの生鮮食品ネット通販「IY フレッシュ」もスタートしました。今後もLOHACOでは、お客様とリアルをつなぐデジタルプラットフォームを確立していきます。誰もが欲しがる商品・サービス開発にはデータに基づく分析と感性や遊び心も大切です。「左脳」と「右脳」の機能をミックスし、お客様にとっての新しい価値を共創していくことが重要です。
アスクル株式会社 取締役 兼 CMO 木村 美代子氏
大学卒業後、プラス入社。1993年、創業メンバーとしてアスクル事業推進室に配属。マーチャンダイジング、カタログ制作、Web マーケティングを担当。2009年、個人向けECのアスマルを経て、2012年より個人向けECのLOHACO事業に取り組む。
より深い顧客理解に基づくマーケティングの進化
2017年を振り返って
やはりいちばんは「デジタル広告の透明性」でしょうか。現在は、広告主側が自衛のための仕組みを取り入れるなどの方法しかなく、来年以降も議論が続く点だと思います。またデータ活用の先にある「顧客体験」や「顧客中心のブランド」の在り方をどう考えるか、という流れが大きくなったことによって、「マーケティングの一つの手法としてデジタル(広告やデータなど)を有効に使い、顧客をどう捉えるか、その関係性をどう創るか、創った関係性をどう持続させるか」という課題が鮮明になってきたと感じます。我々の「顧客を最も知る企業になる」というビジョンやブランドの課題解決に向けて、どう貢献できるか? を模索し続けた一年でした。
2018年へ向けて
各ブランドの課題解決にふさわしいデジタルの活用を浸透させると同時に、新しい試みを後押ししたいと考えています。ポイントは2点あります。一つ目は、体験設計は多面的な接点を持つからこそ、最初から一つのビジョンを描くこと。二つ目は、データ分析後からが勝負で、そこからの仮説構築力とアイデア力・提案力がますます重要になることです。またビジョンの実現に向けて、社内でより密接に連携しつつ、マーケティングプラットフォーム活用を進めます。デジタル広告の透明性に対しては引き続き取り組み、社外の方々(ベンダー、プラットフォーマー、パブリッシャー、ベンチャーキャピタル等)との協働から創発や成功事例につなげたいです。
花王株式会社デジタルマーケティング部 部長 鈴木 愛子氏
大学卒業後、花王にコピーライターとして入社後、様々な商品やブランドのコンセプトワーク、コミュニケーション戦略立案から企画制作に携わる。2012〜2013年にブランドマネジャー、2014年から広告作成部部長とデジタルマーケティングセンターのマネジャー兼務を経て、2017年より現職。
メディアとしてのブランドを言語化
2017年を振り返って
前職(xAd)で位置情報の広告活用に邁進する中、衝撃的だったのが横浜で開催されたポケモンGOのイベントである。スマホやアプリの世界を飛び出し、仕掛け次第ではリアル世界で大勢が動くことを目の当たりにした。位置情報関連の仕掛けはスケールしづらいと言われ続けていたが、技術の提供方法ではなく、どんな場所でどんな形でそれに触れ、体験してもらうかこそが重要であると痛感した。スマホファーストでユーザーに無限大の選択肢が用意されている今、コンテンツをどう作るかだけではなく、それをどう届けるかも併せて考えていくことがデジタルマーケティングに求められている。これを実践するためにGunosyへジョインしたとも言える。
2018年へ向けて
「メディアのブランド化」と言われるように、グノシーにもメディアとしてのブランドが求められる時勢である。ユーザーはもちろん、広告をご出稿いただくクライアントにも伝わりやすくブランドを「言語化していく」一年にしたい。また、各社からAI搭載スピーカーが発売され、IoTが本格始動する中、スマホやアプリに留まらない範囲でメディア接触の在り方が再定義され続けるだろう。足元ではブランド広告主に求められるメディアを目指し、その一つとしてリアル店舗への送客を目的としたキャンペーン設計を当たり前のものにするべく、位置情報連動をはじめデイリーユースのグノシーだからこそできる仕掛けを準備していく。
株式会社Gunosyパートナーソリューションズ本部
プレミアム広告戦略推進部 部長 近藤 洋司氏
2001年に茨城大学を卒業後、セプテーニに入社、2012年1月に同社グループとしてTrading Deskのイーグルアイを設立、同代表取締役社長に就任。2015年7月、米国に本社を持つ位置情報技術の「xAd」の日本法人設立に参加、ロケーション・マーケティングを提案、実践した。2017年10月より現職。国内広告テクノロジーの相関を示したLUMAscapeの公式ローカライズ版「カオスマップ」の作者。
より本質的なコンテンツマッチングを目指す
2017年を振り返って
オンライン広告に関して、今まで以上にユーザーの目線が厳しくなっていると感じます。デジタルではCPCや露出量で評価をするため、結果的に広告主・ユーザー双方にとっても幸せとは言えない状況が生じがちですし、特にスマホの小さなディスプレイでユーザーの誤タップを誘発したり、閲覧を阻害するような形の広告は、むしろ広告主にとってマイナスの影響が大きくなりつつあると感じます。一方でそれを改善するための動きも強まっており、広告主におけるマスとデジタルの組織統合や広告の評価方法の見直しが多く見られました。antenna*においても、オフラインを含めた本質的な効果創出のための提案を求められる機会が増えてきています。
2018年へ向けて
広告主にとってもユーザーにとっても本質的な意味のあるコンテンツマッチングを目指します。PRコンテンツであってもユーザーの興味関心に正しくマッチさせることで、本質的な広告効果を高めることができます。ユーザーが触れる優良なコンテンツをハブにしながら、内容にマッチした広告で価値の高い効果を創出し、またパブリッシャーに対してもコンテンツの適正な評価とマネタイズの機会を生み出せるプラットフォームになることが理想です。そのために2018年はantenna*においても、コンテンツマッチングの精度向上と、より消費意欲の高いアクティブなユーザーに活用してもらうためのバージョンアップとプロモーションを予定しています。
株式会社グライダーアソシエイツ取締役CCO 開 大輔氏
早稲田大学第一文学部卒業後、1998年4月リクルート入社。進学事業、ブライダル事業(ゼクシィ)にて営業・企画・編集職を経験し、ゼクシィ首都圏版・関西版・東海版編集長など歴任。2016年1月グライダーアソシエイツ入社。キュレーションマガジン「antenna*」のコンテンツ/サービスのクオリティ向上に取り組む。