日本で今最も問題視している不正は?
――アドフラウドに関する今後の展望を、それぞれお聞かせください。
甲斐:Adjust様とは、Adjustの不正ユーザーのフィードバックを基に、外部のアドフラウド対策ソリューションと不正対策を行えるように検討しております。今後もアドネットワークとして正しい広告効果を評価いただくためには、アドフラウドの対策、不正利用の防止が不可欠です。
不正対策の精度を上げる、早期発見をすることはもちろんですが、直近にリリースしたマルチコンバージョンのように、機能面でも広告主様・媒体運営者様にとって公平に安心してご利用いただくための環境構築に取り組んでまいります。
市場的には、アドネットワークの品質向上(誤クリックを誘発するような広告掲載の規則も含め)広告の健全化に向けて他社さんとも連携していきたいと考えております。
佐々:不正を働く側もどんどん賢くなっています。これからも新しいパターンの不正が出てくるでしょう。それに対して、情報交換を密に行いながら、ガイドラインの内容拡充と「Adjust」の不正防止の開発に注力していきたいと思います。
2017年12月にリリースした「Adjust」の新しいバージョンでは、クリックインジェクションやなりすまし対策をカバーしています。また現在、日本で起きている現象の中で、もう一つ問題視しているのが、インプレッションとクリックの扱いです。
たとえば、バナー広告や動画広告において、広告が表示されただけでクリックされたことになっていて、コンバージョンの価値を上げたり、アトリビューション有効期間を意図的に長くしているケースがあります。このケースでは、広告主や代理店が、クリックの定義について把握し、同意している必要があります。
なぜなら、動画広告の視聴完了や、視聴経過率、静止画バナーが見られた場合など、ネットワークによりクリックの定義が異なることがあるからです。そもそもビューアブルではない静止画がクリックされたことになっていたり、動画広告の瞬間的な表示がクリックとみなされていている場合、それを広告主が把握し、同意していないのであれば、それは大きな問題です。そして、残念ながらこういったケースは、実際に起きています。
この問題は、実際の配信の状況を確認して初めて気づくことが多いのですが、少なくとも広告主は事前に認識し、納得している必要があります。まずは、レポートをご覧いただき、低すぎるコンバージョンレートなど、他と比べて不自然な数値がないかをご確認いただきたい。
そして状況を把握した後に、不正防止機能のトライアルを活用して、実際にどのような不正からどれほどの被害を受けているのかを確認していただきたいのです。「Adjust」は、今後も新たな不正に対してCAAFメンバーと共に先陣を切って対応していき、不正を行っている者が不正できなくなる環境を追求したいと思います。