データ活用の「成熟度」とは
――デジタルトランスフォーメーションのためにクリアすべきステップが、CDP活用のカスタマーサクセス支援の過程から見えてくるのではないでしょうか。
堀内:実は、カスタマーサクセスの強化のために、データ活用の成熟度のチャートを準備しているところです。デジタルトランスフォーメーションがどこまで進展しているか診断ができるようにしたいのです。

――どのような診断になりそうなのでしょうか。
堀内:短期的に目標を設定して、マーケターとしてのアクティビティや生活者の行動データを入れて、どのように見るか、を固めるのが第一段階です。
昔は自社にどんなデータがあるかを全部調査し、データ量に合わせてデータウェアハウスを設計するやり方でした。要件定義には最低でも半年かかるし、後から新しいデータを追加したくても簡単には増やせませんでした。
今は箱自体を後から大きくできるので、目標をまず決め、そのためにどんなデータを入れるかを考えればよくなりました。
第二段階では、多彩な施策を機械学習などを活用して最適化していきます。特にパーソナライゼーションは、デジタルトランスフォーメーションで成否を分ける要素となるでしょう。このような形で、段階の一覧表を作っている最中です。
菅原:おもしろいですね。私が考えるデジタルトランスフォーメーションの成熟段階は2つあり、最初は「企業視点でどんな価値を提案するか」です。自分の部署のデータで何ができるか、自分の部署以外のどんなデータを加えれば、価値が上がるか。
最終段階はあらゆるデータを使い、「顧客視点でどんな価値を提案するか」にシフトします。ここまでくれば、企業としての活動が変わり、最終的には他社と全然違うことができるようになるはずです。
たとえば、ダイソンの掃除機を例に考えると、「掃除機が欲しい人」に出会うにはマスに対して総当たりのアプローチとなります。でも、「アレルギーに困っている人」にアプローチしたいならば、「猫を飼っている」セグメントの「アレルギーに困っている」という人たちを探し、その悩みの解決として「吸引力が落ちないダイソンが有効」というコミュニケーションを配信すればいいわけです。
もっとでしゃばれマーケター
――最後に、デジタルトランスフォーメーションの推進を志すマーケターの方に向けて一言ずつお願いしたします。
菅原:企業の中を見渡しても、変革に向けてのまとめ役がいないことが多いです。マーケターは組織の中ででしゃばってもいいから、全体の指揮をとるべきだと強く言いたい。マーケターが自分の力を組織の中で解放できるようになれば会社は変わります。

堀内:マーケターの職務領域が今よりもぐっと広がるイメージですね。
菅原:もともとマーケターのカバーすべき領域は広いはずなのに、今は小さくまとまっていないでしょうか。トレジャーデータもMarkeZineも、マーケターの地位が上がるようなことをやるべきです。
堀内:確かにそうですね。市場と向き合いつつ職務領域を広げていくマーケターに対して、「いかにデータを集めて施策を最適化していくか」をテクノロジーで支えるのが私達の役目です。マーケターの成功のために、トレジャーデータのプロダクトをもっと使いやすく、使い続けられるものにしていきたいです。