媒体社・広告会社・広告主の間に「広告運用の共通言語」を
――本日は、ヤフーとトランスコスモス両社で考案された「SSアカウント診断書」についてお話を伺っていきます。初めに自己紹介を兼ねて、皆さんがご担当されている業務を教えて下さい。
北川:北川と申します。私は、ヤフーの広告事業部門で広告会社向けの営業として、トランスコスモス様を担当させていただいております。
磯島:トランスコスモスの磯島です。我々は社内のプロジェクトで、ヤフーの広告商品の拡販に取り組んでおりまして、私はそのプロジェクトリーダーを務めています。また、リスティング広告の運用を手掛けるプランナーのマネジメントに加え、お客様の広告運用のディレクションもしています。
小椋:トランスコスモスの小椋と申します。私は、不動産・人材の分野を専門にリスティング広告の運用を担当しています。加えて、ヤフーの拡販プロジェクトでは、ツールの考案も進めています。
――「SSアカウント診断書」では、「スポンサードサーチ」を運用する際に、現状や実績を把握することができると伺っていますが、より具体的にどのようなツールなのかを教えて下さい。
小椋:「SSアカウント診断書」の大きな特徴は、「スポンサードサーチ」の運用状況を5つの指標で把握できることにあります。具体的には、Impシェア(予算)/オプション導入率/Uクリエイティブ率/Uクエリ率/Uキーワード率の5項目を、それぞれS~Eの6段階でスコア化し、五角形のグラフで表示します。
また「SSアカウント診断書」は、「スポンサードサーチ」の配信に関する仕様に基づいて考案されているので、この五角形が綺麗な形になるように運用することで、広告効果の最大化を図ることができます。基本的には、我々が運用する際に活用するツールですね。
「SSアカウント診断書」で表示される5つの指標
- Impシェア:掲載機会に対して、広告表示を行えている割合
- オプション導入率:必要な広告オプションが導入されている割合
- Uクリエイティブ率:キーワードやリンク先URLごとに適したユニークな(重複しない)クリエイティブを設定できている割合
- Uクエリ率:検索クエリによるアカウントへの広告リクエストがユニークである割合
- Uキーワード率:入稿キーワードの文字列がユニークである割合
北川:今回の共同考案では、ヤフーと広告会社の間で定量的な指標として“広告運用の共通言語”になり得るようなツールの考案を目指しました。「広告が最適な構成になっているか」「配信の機会損失が起こっていないか」の2つが一目でわかるようになっており、“広告運用のヘルスチェックができる”ようなツールをイメージしているので“診断書”と呼んでいます。
広告運用を担当者のスキルに任せて良いのか?
――共同考案に至った背景には、広告運用に関してどのような課題があったのですか?
小椋:一般的にリスティング広告の運用現場では、最適な構成かどうかを判断する定義が、広告会社やプランナーに任せられています。社内では、プランナーのスキルやノウハウによって、運用に属人性が出てきてしまうことが問題視されていました。
北川:良くも悪くもリスティング広告は、広告会社と運用を手掛けるプランナーの“個性”や“カラー”が出やすい傾向がありますよね。
――媒体社であるヤフーが「スポンサードサーチ」の配信に関する仕様を説明してツールの考案に取り組んだのは、なぜですか?
北川:実は弊社では、リスティング広告の事業に限らず、ヤフー全体で最適な運用を標準化するプロジェクトを進めています。その一環として、トランスコスモス様と一緒に、運用の成功事例を作っていきたいと考えています。
加えて、「スポンサードサーチ」の設計をわかりやすくする目的もありました。リスティング広告には、検索クエリに最適な広告を表示したいというニーズがありますが、これは広告の構成に左右されます。
具体的には、広告表示リクエストに対して、アカウント内のオークション参加(入札)重複を防ぐ構造に沿って設計することが大切です。そうすることで、インプレッションの絶対値を伸ばすとともに、CTRやCVRの向上を図ることができます。