※本記事は、2018年3月25日刊行の定期誌『MarkeZine』27号に掲載したものです。
社内も強く意識した初のBtoBテレビCM
パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社
常務 エンタープライズマーケティング本部 本部長 山口 有希子(やまぐち・ゆきこ)氏
1991年リクルートコスモス入社。シスコシステムズ、ヤフージャパンなどで企業のマーケティングコミュニケーションに従事。日本IBMデジタルコンテンツマーケティング&サービス部長を経て2017年12月より現職。
――パナソニックは、昨年春にBtoB事業を牽引するコネクティッドソリューションズ(CNS)社を立ち上げ、10月にはその本社機能を大阪から東京へ移転しました。先ほどオフィスを拝見させていただきましたが、フリーアドレス制で、風通しのよい雰囲気ですね。
どこに座ってもいいのは、社長も役員も同じなんですよ。CNS社を率いる樋口(パナソニック代表取締役 専務執行役員/CNS社 社長の樋口泰行氏)も、「ここ座っていい?」といって社員とお昼を食べたりしているんです。
歴史ある日本企業というと、自由で軽やかというよりは重たいイメージがありますよね。当社もCNS社だけでいくつもの事業と2万6,000人もの従業員がいるので、一気に変わることができる規模ではないのですが、コミュニケーションのしやすさは私も入ってみて意外でした。元々いるメンバーに聞くと、樋口が昨年4月に参画してからの改革が少しずつ浸透してきて、短期間でカルチャーが変わったと実感するところまで漕ぎ着けているそうです。
――1月から、BtoB事業をアピールする「『現場お役立ちのトータルインテグレーター』へ。」と掲げたキャンペーンもスタートしていますね。BtoB事業でテレビCMを出稿するのは初めてのことと聞きました。
そうなんです。パナソニックは、一般的にはBtoCの印象が強いと思います。それは信頼性や安心感といった点でBtoB事業にも好影響はありますが、それを資産に、今後はBtoB事業をもっと拡大していく考えを全社のトップである津賀(パナソニック代表取締役社長の津賀一宏氏)が明言しています。CNS社の立ち上げと、そのトップに松下電器産業の出身者で前日本マイクロソフト会長の樋口が就任したこと、そして私が当社に入る大きな要因となったエンタープライズマーケティング本部の新設も、すべてその一環です。
テレビCMを皮切りに、今後はデジタルの施策も進めていきます。これら一連のキャンペーンは、世の中に対してだけでなく、社内に対してメッセージすることも強く意識しています。実際、テレビCMを含めたブランド広告のインパクトは大きく、CNS社や他のカンパニーにBtoBの領域が本当に重要なんだと改めて伝わっているようですね。当社はこの3月に100周年を迎え、皆が次の時代を見据えて動いているところです。それもあって、社内は新しいメッセージをポジティブに受け止めてくれています。