SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

日本郵便「デジタル×アナログ」実証実験プロジェクト(AD)

DMはバナーではなくLP?データドリブンなアナログ施策で失敗しないための4つのポイント

バナーよりLP的なクリエイティブのほうがハマる?

野口:気になったデータとして、今回DMを送付したうち約2.5%が「宛先不明」で返送されてきているんです。サイト上で資料請求をされた、資料の発送を希望していたユーザーにもかかわらずこの数字というのは、かなり高いと思います。すでに物件を見つけて転居済みだったのかもしれません。「LIFULL HOME’S」としては、住まい探しを支援するという役割を達成できているということになりますので、逆に嬉しいことなのですが(笑)

鈴木:やはり、DM送付時には物件の契約や購入を検討する状況ではなかったユーザーがかなりの割合にのぼったことが考えられますね。通常はオプトアウトのユーザーをオプトインへと導くためにDMやメールなどでのアプローチを考えるわけですが、今回は住所を入力したオプトインのユーザーが対象だったわけですから、「宛先不明」になるのは転居が疑われます。

野口:これはオファー面での反省点になるんですが、今回の実証実験ではKPIを「ほかの物件への問い合わせ」と「『住まいの窓口』への来店」の2つにしてしまいました。

 さらに、クリエイティブ面では、今回のDMは、住んでいるエリアにおけるおすすめの分譲マンションもしくは一戸建てを3つ掲載するという内容でした。前回施策のDMでは一つの物件を美しいビジュアルで提案しています。

 たとえて言えば、前回施策はLP(ランディングページ)的クリエイティブで、今回のDMはデータフィード型のバナー広告的クリエイティブでした。LP的なクリエイティブのほうがDMにはハマるのかもしれません。

封入した原稿の一例
封入した原稿の一例

鈴木:同感ですね。KPIは1つにしぼったほうが明快ですし、DMの内容についても物件の紹介は1つにしてリッチな表現にすべきだったかもしれません。実験の都合上、KPIの計測ポイントを増やしたくて、そのような構成にしてしまったのは申し訳ないです(笑)

 また、前回も話題になりましたが、すでに新しい住まいへ移ってしまったユーザーに対しては物件の案内ではなくて家財道具やよりよい住まい方に関する情報の提供といった内容も検討したほうがよさそうですね。

 分譲マンションや一戸建ての契約や購入を検討して資料請求までのアクションをしたユーザーですから、次のライフステージを迎えて新しいライフスタイルに関する「提案」を求めていることも考えられます。

野口:当社としてはLIFULL HOME’Sの豊富なデータを活かして不動産分野にとどまらないソリューション作りを模索しています。物件への問い合わせや店舗への来店アップだけでなく、引越し後の生活に必要なモノやサービスを販売する企業様を広告主として想定したDM広告商品を開発していきたいですね。

デジタル・アナログ問わずユーザーの行動データを蓄積せよ

鈴木:現在の主力事業の売り上げ・収益アップも重要ですが、こうした「デジタル×アナログ」のユニークな施策をビジネスの将来展望へと結びつけていくことにも大きな可能性があると思います。

 現状、LIFULLというと「LIFULL HOME’S」を中心とした住宅・不動産情報提供会社という企業イメージがありますが、このイメージを人生のあらゆるステージでお役に立つ「ライフスタイル提案企業」へと変えていくヒントがDMにはあるかもしれません。 

野口:当社が住宅・不動産情報の提供から、ライフステージのあらゆる場面で役立つ提案をしていける企業をめざすにあたってはユーザーデータ基盤のブラッシュアップも必要ですね。当社の個人情報が格納されているデータベースは、郵送DMを発送することを想定していないので、住所、氏名のデータの抽出や行動ログなどとの紐づけ分析にコストがかなりかかりました。セキュリティ上は厳重に管理することがもちろん大事ですが、マーケティング上有効に使えるように整備しておくことも大事ですね。

鈴木:それはどの企業にとっても大きな課題です。貴重な「1stパーティデータ」も、ただ蓄積しているだけでは、どんどん活用価値が下がっていってしまいます。アップデートを欠かさないことで、活用価値の高いフレッシュなデータにしておくことが重要です。

 どの企業にとってもユーザーに関するデータは、最も大切な財産です。デジタルでもアナログでも、なんらかのユーザーアクションがあればユーザーデータに反映させて「活きたデータ」としておくことが重要です。ユーザーデータそのものを新しい「メディア」へと活用していくこともできますし、企業とビジネスの価値を高める資産・財産にもしていけるんですね。

デジタルマーケター必見!DMマーケティングをいちから学ぼう

日本郵便では、次代を担うデジタルマーケターに向けた、DMマーケティングを基礎から学べる実践型セミナーを実施しています。 興味をお持ちになった方は、Peatixの「powered by 日本郵便 Beyond デジタル LABO」運営委員会のページをフォローしてください。

次のページ
ユーザーの思考や行動を理解し、シナリオに活かす

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
日本郵便「デジタル×アナログ」実証実験プロジェクト連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

浦野 孝嗣(ウラノ コウジ)

 2002年からフリーランス。得意分野は経済全般のほかIT、金融、企業の経営戦略、CSRなど。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2019/10/18 16:21 https://markezine.jp/article/detail/28065

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング