SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

新着記事一覧を見る

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

MA・SFAはBtoBマーケの「部品」にすぎない。日本のマーケと営業が「気合」を卒業するために必要なこと

ABMの成功条件 BtoBマーケターは内助の功を卒業して営業と共同戦線を張ろう

具体的に営業部門との役割分担をどうするか

 このようにマーケターには「売上を作るために営業と協働して『攻める』」という姿勢こそが求められているわけだが、ABMにおけるマーケティングと営業の役割分担とは具体的にどのようなものなのか。

 大手ITベンダーを例に考えてみよう。ABMを利用した効率の良いアプローチのためには、大企業顧客と中堅中小企業顧客(SMB)とでは、マーケティングと営業、それぞれの役割が変わってくる。

 大企業顧客は1社あたり売上高が大きいが社数が少なく、中小規模企業顧客は1社あたり売上高が大きくないが社数は多いという特徴がある。大企業顧客には営業担当が大勢張り付いているため、マーケティングの役割は相対的に小さく、新規コンタクトの獲得が中心になり、インサイドセールスが入るとしてもその任務はアポイント創出にとどまるだろう。

 他方で、中堅中小企業顧客では、営業担当者は手薄になるため、マーケティングがコンタクト獲得から案件化直前までのナーチャリングまでを担うことになり、インサイドセールスによる企業絞り込みや案件化見極めに対する期待も大きくなる。

 このように、企業セグメントごとに営業とマーケティングがどう役割分担をするのか、明確にして握っておくことがABM成功の要因になってくる。このセグメントは、企業規模や業種業態などの属性によって推測する、1社あたり期待収益規模をもとに決定することが一般的だ。

うちの会社にABMは向いているか?

 だがABMはあくまでも手法の一つ。イケスを特定し、そこをしっかり狙うという手法が、適しているケースと適していないケースがある。

 一般的に、BtoBビジネスで、商材の単価が高く、検討期間が長いか、購買関係が長期間にわたる場合はABM手法に重点を置いたほうがリターンが高い、と山田氏はいう。逆にいうと、どんな企業層でも使えるような汎用的な製品サービスや、企業規模を問わず購入可能な低単価商材なら、重点的にどの企業層を攻めると定義する必要は低いだろう。

 ABMを展開すべきかどうかの判断材料になりうるのが、「売上の偏在性」だという。売上の目標に対して、どんな売上規模の企業群からでも、どの商材からでも目標額を稼げれば良いという場合もあれば、「このような企業群からこの商材で目標額を達成する」という経営戦略もある。ABMは後者に適していることになる。

 これに加えて、見込み企業の属性や財務面で制約が多い場合もABMが有効だという。また、特定の地域を攻める、自社のブランディングのために有名企業の実績を作る、ライバルの牙城を切り崩す、といった目的で用いる例も考えられるという。どれも企業の営業戦略と密接に結びついていることに注意したい。

次のページ
ABMが成果を生まないケースの特徴

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
MA・SFAはBtoBマーケの「部品」にすぎない。日本のマーケと営業が「気合」を卒業するために必要なこと連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/06/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28224

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング