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MA・SFAはBtoBマーケの「部品」にすぎない。日本のマーケと営業が「気合」を卒業するために必要なこと

ABMの成功条件 BtoBマーケターは内助の功を卒業して営業と共同戦線を張ろう

 BtoBマーケティング業界で注目を集めるABM(Account-Based Marketing)。ABMは営業戦略との関係が密接なため、営業部門とマーケティング部門の関係を見直すきっかけにもなる。本稿ではABM理論への入門として、ABMとは何か、MAを活用したプル型マーケティングの限界、ABMを成功させるための前提条件について解説する。

マーケティングは営業の「内助の功」を卒業しよう

・連載「MA・SFAはBtoBマーケの「部品」にすぎない。日本のマーケと営業が「気合」を卒業するために必要なこと」記事一覧ページはこちら
・第一回「CMOは営業職のキャリアパス?BtoB企業のマーケ部門が「マーケティング」を強化するために」はこちら

「マーケティングは売上を最大化するためにある、ということが大原則です。これに『狙うべき企業』という枕詞をつけたのがABM」とABMを定義するのは、BtoBマーケティングを支援するマーケットワン・ジャパンの山田理英子氏。

マーケットワン・ジャパン マネージングディレクター 山田理英子氏
マーケットワン・ジャパン マネージングディレクター 山田理英子氏

 多くのBtoBマーケティング現場ではターゲットを設定する際に、「イベントに来た企業」「Webを訪問した企業」を選びがちで、時には「営業担当者の勘」に頼ったり「営業担当者が行きやすい企業」を忖度しがちだ。

 これではうまくいかない、と山田氏。たとえば、「イベントに来た企業」が本当に売上を挙げたい企業層に含まれるとは限らない。

 「マーケティング部門は、イベントやホワイトペーパーなどで得たコンタクトに対してメールやWebでコンテンツを届け、リード化して営業部門に提供することに集中しがちです。

 結果として『自分から来てくれる人をうまく絞り込もう』という『引き合い依存』に陥ってしまうことがあります。本来は、有望なコンタクトが来てくれるのを待つのではなく、狙うべき相手を定めて、必要であればプッシュ型手法も駆使してカバーしていく、『攻略』の姿勢を併せ持たなくてはならないのです」(山田氏)

 そこで重要になってくるのがABMのフレームワークだ。「マーケティング投資によるリターンを最大化するために、『うちの会社はこの製品、商材群で、このような企業群を攻める』と定めた領域からの売上最大化を狙うのがABM」と山田氏は解説する。

 成功するABMは「営業戦略上、狙うべき企業を絞ってターゲットし、コンタクトを網羅し、リードとして継続的に把握・育成し、チャンスを逃さず案件化するもの。広範囲に目の粗い網を投げるのではなく、限られた企業群を逃さないようにしっかりラップをかけるイメージ」と山田氏は続ける。

 これまでのBtoBマーケティングの土台は、「マーケティング施策を実施してリーチを広げてから企業層・ペルソナ・行動履歴で絞り込んで、何%かが成約につながることを期待する」という考え方にあったが、「ABMでは発想を変える必要がある」と山田氏はいう。

 魚釣りに例えるなら、マーケティング施策という大網で大雑把に魚をすくってから鯛を選別するのではなく、ABMの場合、選りすぐりの魚が生息している可能性が高いと考えられる海域を特定し、そのイケスの中を様々なツールや手段で徹底的に網羅する。

 鯛がいれば確実に釣り、鯛になりそうな魚(出世魚でないので良いたとえではないが……)がいれば、状態に合わせて確実に育てる。必然的に「待ち」のプル型マーケティングの優先順位は低くなる。

 引き合い依存もダメだが、「営業を支援する」「営業に尽くす」姿勢もNGだ。山田氏は「たとえば、営業担当者が作っている企業リストが完璧とは限らない」と述べ、「マーケティング部門は営業部門を『支援』する『内助の功』ポジションに甘んじてはいけない」と続ける。

 営業担当はマーケティング担当とは考え方やスキルセットが違う、と山田氏。「営業は今の数字を重視しており、手元にある案件を確実・迅速にクロージングすることに責任を持っている。攻めるべきアカウントリストの妥当性を検証し、着実・確実にカバーしていくことへのインセンティブは少ないため、優先順位は下がる。これは当然であり正しいことです。むしろさらにそれに集中すべきです」と指摘する。

 営業からすれば、社の方針で担当する顧客が変わる可能性もある。長期的な視点でリードの仕込みをしたり、すぐに売上につながらない企業と関係を構築・維持することへの優先順位は低くならざるを得ない。一方でマーケティング担当は、「攻めるべき企業群を着実に埋める」のが仕事であり「種まき」のスキルを存分に発揮すべきなのだ。

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この記事の著者

末岡 洋子(スエオカ ヨウコ)

フリーライター

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/06/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28224

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