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MA・SFAはBtoBマーケの「部品」にすぎない。日本のマーケと営業が「気合」を卒業するために必要なこと

なぜトップ営業のマーケター適性は高いのか?マーケ経験を活かすAnaplan中田氏のリーダーシップとは

 BtoBマーケティングの難しさは、「リーダー人材の不足」そして「営業との連携」にある。このヒントを求めて、営業としてキャリアをスタートしてマーケターに転じ、マーケティング部門のリーダー、そして経営者へとステップアップしたAnaplanカントリー マネージャの中田氏に、マーケットワン・ジャパン代表の山田氏がインタビューした。

・連載「MA・SFAはBtoBマーケの「部品」にすぎない。日本のマーケと営業が「気合」を卒業するために必要なこと」記事一覧ページはこちら
・第一回「CMOは営業職のキャリアパス?BtoB企業のマーケ部門が「マーケティング」を強化するために」はこちら

営業のKPIとマーケティングのKPI

山田:中田さんは富士通、SAS、SAP、コーリジャパンを経て、現在は外資系ソフトウェア会社のAnaplanで日本市場におけるカントリー マネージャを務めていらっしゃいます。Anaplanでのミッションをお聞かせいただけますか。

中田:2011年に英国で創業し、後にサンフランシスコに拠点を移したAnaplanは、企業における計画立案とシミュレーションやパフォーマンス管理のためのクラウド プラットフォームを提供する会社です。私は日本法人を立ち上げた2016年の2月に第1号社員として入社し、以来日本事業の責任者を務めています。

 私のように、外資系ソフトウェア会社の日本法人代表者のミッションはシンプルかつ明確で、「日本市場におけるソフトウェアライセンス売り上げの最大化」です。

左からAnaplanジャパン カントリーマネージャ 中田淳氏、マーケットワン・ジャパン マネージングディレクター 山田理英子氏
左からAnaplanジャパン 中田淳氏、マーケットワン・ジャパン 山田理英子氏

 そのために、セールスやマーケティングと組織機能が分かれていても、社員にはこのミッションに対して同じ方向を向いて仕事をする意識付けを重視しています。ビジネス パートナーの開拓からマーケティングまで収益を上げる仕組み作りは、最終的に私が負う売上責任を達成するための要素として欠かせないものです。そのため、すべての活動に責任者として関わっています。

山田:SAS時代からプロダクトのGo-To-Market戦略に関わってこられましたが、マーケティングと営業がうまく連携して機能するために必要な要素をどう考えていますか。

中田:ドライに言えば、マーケティングと営業がそれぞれのKPI同士の関係を理解すること。ウェットに言えば、お互いのKPIへの貢献に感謝しあえることがポイントになります。

 Anaplanの場合、営業、インサイド セールス、パートナー アライアンスという三つのチャネルから、それぞれがどの程度案件創出に貢献をしたかをKPIとして測定しています。

 マーケティングの視点では、見込み顧客(リード)を三つのチャネルに提供することを役割として定義しており、各チャネルに渡したリード数がKPIとなります。一方、リードを受け取る側である営業は、リードの案件化と収益化に責任を持っていて、その工程はCRMで可視化されます。マーケティング投資の結果が案件規模として数値化され、それが今後のマーケティング投資の判断根拠となります。

営業とマーケティングを統合するリーダーが絶対すべきこと

山田:マーケティングと営業という二つの業務を経験した立場の中田さんは、両者の連携についてどう考えていますか。

中田:マーケティング側は「リードをたくさん渡しているのに、営業がフォローしてくれない」と思っている反面、営業側では「マーケティングがくれるリードの質が悪くてフォローできない」と感じている場合もあります。

 だからこそ、売り上げ最大化のためには、マーケティングがやるべきことと、営業がやるべきことを明確に示して、「実践」させることがリーダーの仕事であると考えています。

山田:外資系ソフトウェア会社の多くでは、営業・マーケティングそれぞれの部門としてのミッションが存在している割合が多いと感じています。一方、営業とマーケティングの相乗効果を出せずに悩んでいる企業の多くは、マーケティング部門に期待する役割が曖昧なまま、「営業とマーケティングの連携」を推進しがちです。

 そもそも経営リーダーから営業部門とマーケティング部門に対して「何を期待しているか」を具体化しないまま、「お互いうまくやってね」という期待をするだけでは、双方が足並みを揃えられないのも無理はないですよね。

マーケティングとは「経営ごと」である

中田:ここ10年ぐらいで、外資系ソフトウェア会社のマーケティングの役割は、「営業が打席に立つ、つまりお客様と直接接触する回数を増やすこと」だという共通理解が広がりました。認知度獲得のために漠然と雑誌へ広告出稿することよりも、手段は何であれ「質の高いリードを獲得すること」が優先されるようになりました。

山田:同感です。ただ、日本全体を見るとまだこれからで、「展示会に出展する部門」からの脱却が課題です。経営層には営業出身者が多く、マーケティング部門に何を求めればいいのかに悩んでいるように感じます。営業の責任者として、マーケティング部門との連携を密にするために、コミュニケーションで心がけていらっしゃることはありますか。

中田:マーケティングのトップであるカントリー マーケティング マネージャーに対して強調しているのは、マーケティングは「Go-To-Market戦略のカギとなる要素」であり、「営業のアシスタント」ではないということです。

 実際の経営戦略をもとにマーケティングとして何をすべきか。マーケティングのトップとは営業のトップでもある私と対等の立場で議論をします。

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタン...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/10/26 09:00 https://markezine.jp/article/detail/29205

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