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リゾームマーケティングの時代

テレビCM崩壊前夜、「イノベーションのジレンマ」に陥っている暇はないのだ

 テレビの影響力に陰りが出てきていると言われて久しい。ネット広告費がテレビ広告費を抜くのは時間の問題であり、ビジネスモデルを転換する必要性に迫られているが、その歩みはなかなか早まらない。いまこそ関係者は一丸となって次世代のビジネスモデル構築に取り組み時期ではないだろうか。イノベーションのジレンマに陥っている暇はないのだ。

国民的スター逸見政孝との出会い

 「これからテレビはどんどん良くなるよ。ハイビジョンも普及するしね。若い人が羨ましいです」とその人は言った。そして、テレビへの情熱を、私に話してくれた。まさか、その人が翌年に亡くなるとは、知る由もなかった。

 1992年の学園祭。私は、ノーギャラで、逸見政孝さん(元フジテレビアナウンサー)をゲストに招いて番組を作った。

 当時、早稲田大学の大隈講堂前に学生の手作りで番組用のスタジオとステージを建設。学園祭の4日間、たしか、朝9時~夕方5時まで、そこで番組を”放送”していた。その最終日の目玉番組に、国民的スターだった逸見政孝さんを呼んだ。

 それは「アナウンス研究会」というサークルで、その頃既に40年の歴史があり、アナウンサーやテレビ業界人を多数輩出していた。元NHKエグゼクティブアナウンサーで現在は日本福祉大学生涯学習名誉センター長の杉山邦博さんが作ったサークルらしく、逸見さんもOBの一人だった。

 私はそこで委員長(学生のまとめ役)をやっていた。当時は多い時で約250名の学生が所属、その中には、もちろん、プロのアナウンサーを夢見て入ってきた学生がいた。その学生たちに「一人でも多く夢を叶えて欲しい」というのがサークルトップを務める私の願いだった。

逸見さんは、微笑みで返してくれた

 『たけし・逸見の平成教育委員会』(フジテレビ)などたくさんの人気番組の司会を務めていた逸見さん。彼をゲストに番組を作れば多くの人が見に来てくれる。そして、生の逸見さんの仕事姿を間近で見ることは、アナウンサーを夢見る学生にとって素晴らしい体験になるはず。そんな思いで、企画書を書き封筒に入れて「オフィスいっつみい」に郵送した。

 はたして、逸見さんは、この仕事を受けてくれるのか? 不安だったが、ダメ元でやってみるしかない。約1週間後、返事が来た。そして、逸見さんの奥様から電話があり、「麹町の日本テレビのスタジオに来てください」と。なんと、あっさりアポが取れたのだ。

 約束の日、初めて日本テレビの社屋に入り、通された部屋で逸見さんを待った。番組収録中だったようで、15分ぐらい待ったような気がする。そして、圧倒的なオーラを放つ逸見さんがそこに現れた。

 私は、汗だくになりながら、ひとしきり企画内容を説明した。そして、恐る恐る切り出した。

 「あの~、学生なので、お金なくて、お支払いはできないのです。。。」

 逸見さんは黙っていた。私は続けた。

 「僕らのサークルには、アナウンサーを夢見る学生がたくさんいます。逸見さんに憧れて入会した人もいます。ホンモノのプロのアナウンサーのトークや立ち姿をみて、絶対に勉強になると思うのです。彼らの中から、必ずプロのアナウンサーが出ると思うのです。いや、出してみせます。学生の夢に力を貸してください。よろしくお願い致します」

 正直、チョー緊張した。「ノーギャラ? 馬鹿か、帰れ!」と言われてもおかしくない。覚悟はしていた。

 でも、逸見さんは、ニッコリ笑って、「企画、面白いですね。気に入りました。私でよければ、ぜひ、やらせてください」と。そして、遠くを見るような視線で「私も、アナウンサーが夢で、アナウンス研究会に入会しました」と、優しく包み込むように微笑み、学生時代の話やテレビへの情熱を話してくれた。

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/05/18 08:00 https://markezine.jp/article/detail/28357

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