動画×メディアの相乗効果で、思わぬ動画が拡散することも
MZ:メディア側の判断に委ねることには、どのような意図があるのでしょうか。
岩井:各メディアに適した形で記事化されるので、ユーザーが求めるコンテンツが生まれます。動画だけでは見てもらえなかったものも、「動画(広告)・配信メディア(広告枠)、記事の切り口」がぴったり合うと、ユーザーに求められるコンテンツになるのです。
たとえばある企業の動画は、VISMを活用いただいて記事化したところ、シェアが3,000くらい生まれました。内容は農業に関するもので、ドキュメンタリーのような淡々とした動画です。正直なところ、私たちも「この動画をWeb上で見てもらうのは難しいのでは……」と思ってしまったのですが、結果的にかなり拡散したわけです。なぜこのような結果に結びついたのかというと、この動画を記事化してくれたのが朝日新聞デジタルのウェブマガジン「&M(アンド・エム)」さんだったからです。「&M」さんの主要ユーザーは30~50代の男性で、そういった方々にこの社会性のある動画がぴったりマッチしたんですね。
大事なのは「メディアネイティブ」であること
MZ:オムニバスさんが動画を見て、「&M」さんに記事化を依頼したのでしょうか。
岩井:いえ、「&M」さんが手を挙げてくれました。VISMは、広告主がVISMというプラットフォーム上に動画素材を登録すると、「これを元に記事化してください」というオファーがメディア側にかかるというシステムです。メディアのリクルーティング活動というものも立ち上げ当時から行っていて、現在約100メディアにこのシステムを使ってもらえる状態になっています。
岩井:広告主側には、動画素材とメディアに記事化してもらうための情報、記事の切り口などをオリエンシートの形で用意してもらいます。「動画で何を伝えたいのか」「動画に対してどういうマインドになってほしいか」という情報を書き込んでもらいます。
メディア側には「そういう狙いを持っているのであれば自社メディアのユーザーと相性が良さそうだ」という判断が働いた時に手を挙げていただく。広告主側からは予算などの情報も事前に提供してもらうため、メディアは「この条件であれば記事化でき、マネタイズにつながる」というのをシステム上で確認することができます。
場合によっては、1つの動画に対していくつかのメディアが手を挙げ、それぞれの切り口で記事にしてくれることもあります。そうすると、記事にバリエーションが生まれる。記事ごとに効果測定が可能なので、どういう届け方がユーザーに届くのかというのを検証することも可能になります。
MZ:いわゆる広告主主導の「タイアップ記事」とは違うということですね。
山本:そのとおりです。メディアが作るコンテンツを許容することが大事なポイントです。これはインフルエンサーマーケティングなども同じだと思いますよ。彼らの表現や発信のスタンスに対して、広告主は意見してはいけない。好きにやっているからフォロワーが沢山いるわけで、そこに介入するというのは良くないことだと思います。