SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

【楽天インサイト×キーパーソン対談】生活者の意識と行動を捉えるデータインサイトの未来(AD)

進化する技術、変わらない人間の本質――楽天インサイトが語る「マーケティングリサーチ」の伝統と未来

個の強みを活かす組織体制へ

三木:以前と違ってデータの種類も調査手法も膨大に広がり、クライアントのニーズも高度化しているので、リサーチャー一個人ではもうクライアントのニーズをすべてカバーできないのは自明です。なので、マーケティング、サイエンス、エンジニアリング、インサイト発掘、ビジネス戦略立案といった個別領域に専門性を持つ人材が集まり、プロ集団を形成するのが今の時代におけるリサーチサービスのあり方だと思います。加えて、それらの人材をまとめられるインテグレーター的な存在も重要になってくると思います。一方で、クライアントの課題を積極的に解決しようとする熱意と、より良いものを提供しようとするサービス精神も必要です。

澤田:そうですね。個々の高度な専門性を保ってチームで動くのは、実際にはそう簡単ではないので今も試行錯誤していますが、個々は専門性を高め強みを伸ばしつつ、それをチームで共有してお互いに補いながら質の高いアウトプットをクライアントに提供できればと思っています。

田村:では、リサーチャーのあるべき人材像については、どうお考えですか? データに対する客観的で科学的な姿勢は前提として、一方で先ほどの解釈へのニーズを考えると、これからは打ち手思考を鍛える必要があるだろうとも感じます。

澤田:確かに、そうですね。ただ、やはり打ち手思考の前に「結果に真摯に向き合うこと」が大事だと思います。当然、我々リサーチャーにも、またクライアントのマーケターにも、マーケティング仮説やコンセプトが生活者にポジティブに受け止められてほしいという期待はあります。でも、それをいったん置いておいて、まずは生活者の意見をフラットに受け止める。その上で、打ち手を思考していく、この切り分けが求められますね。

設計から打ち手の提案までできる“リサーチのプロデューサー”に

三木:幸い、楽天インサイトにはリサーチ会社出身の人以外にも、広告など楽天グループの別事業から来た人、事業会社、データ会社、その他楽天というブランドの下に力を発揮しようと参画した異業種の人など、多様な経験やベンチャー精神を持つ人たちが集まっています。これを強みとして、チームを組織していく姿勢が、私はこれからのリサーチ会社にとって大事なことだと思います。知見の開発も、打ち手の導出も同じです。こと打ち手に関しては、クライアントと意見を交換し、合意することも大事です。私は日ごろから、この調査を経て得られるデータをどう使うか、どのようなアクションを取るのかをヒアリングすることを勧めています

田村:打ち手の提案まで担うようになると、クライアントサイドのマーケターとの関わりや、リサーチャーとしての役割の発揮も変わってくると思います。最後に、お二人が考えるプロのマーケティングリサーチャーとはどういう存在か、うかがえますか?

三木:私自身は、リサーチャーではなく“リサーチプロデューサー”だと思っています。クライアントの課題解決を総合的に考えるという意味です。後進の皆さんにも、クライアントが抱える課題を理解し、その課題に対する最適解を得るための調査設計ができ、マーケティングアクションも提案できる存在になってもらえたらと思いますね。私が駆け出しだった70年代は「リサーチャーに頭は要らない」、つまり調査結果の解釈や提言は不要で、正しい数字だけ出せと言われたこともありました。でも今は違います。これからのリサーチャーには、データコレクションに責任を持ちながら、マーケターとシンクロするくらいの気概が必要だと思います。

澤田:これはあくまで私見ですが、私はマーケターが“モノを売る人”のプロであるのに対し、リサーチャーは“人を理解する”プロだと思います。もちろん私もクライアントの担当製品が売れれば嬉しいですが、それ以上に、この人がなぜこの製品を好むのかがわかった瞬間に、大きなやりがいを感じます。今後もチーム一丸となって、“人を理解する”ことにデータや各種手法を使って迫っていきたいですね。

楽天インサイト株式会社 顧問 三木 康夫

 1972年より外資系市場調査会社(JMRB,リサーチインターナショナル・ジャパン、現在はカンター・ジャパン)及びメーカー(ネスレ日本)において、一貫して市場調査の企画分析に携わりながら、1992-2007年リサーチインターナショナル・ジャパンの社長・会長として経営を担う。2008-2013年同社顧問の後、2014年より現職。また日本マーケティング・リサーチ協会(JMRA)会長(2003-2005)、ヨーロッパ世論・市場調査協会日本代表(2002-2011)を務める。

楽天インサイト株式会社 代表取締役社長 田村 篤司

 2002年に東京大学法学部を卒業後、米国系総合金融グループであるシティグループ(東京)に入社。シティバンク銀行及び日興シティグループ証券にて、主に投資銀行業務に従事。2009年ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にてMBA取得。米国系戦略コンサルティング会社であるブーズアンドカンパニー(東京)での勤務を経て、2012年に楽天インサイトに入社。楽天インサイトでは、分析組織の強化を進めながら、海外リサーチ事業の強化(海外10拠点)、ビッグデータ分析組織の設置や広告事業との提携などを手がける。2016年より現職。

楽天インサイト株式会社 リサーチ統括部 部長 澤田 裕行

 京都大学大学院を卒業後、P&Gに入社し、主に製品周りのマーケティングリサーチに従事。2002年よりカンター・ジャパン(当時のリサーチインターナショナル)に入社し、ブランド、広告、リテール、顧客満足など様々なリサーチに従事。ブリティッシュ・アメリカン・タバコにてリサーチと事業戦略やブランド戦略を立案する経験を経た後、カンター・ジャパンの執行役員として、クライアントワークの統括と会社全体の経営に参画。2017年より現職。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
【楽天インサイト×キーパーソン対談】生活者の意識と行動を捉えるデータインサイトの未来連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/11/21 10:00 https://markezine.jp/article/detail/28867

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング