SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

ブログから導く消費者の生の声!クチコミデータ有効活用への道

【ブログ調査】十六茶はKinKi Kidsが話題をつくり、オマケ&イベントで認知と購買を加速させた?


検索条件を工夫した調査例~十六茶

 さて、本題。今回は十六茶と資生堂TSUBAKIをそれぞれ例にとって条件式を工夫し簡単な調査をしてみる。

 まず十六茶全体の話題を見てみると、2006年においては消費者の間で十六茶はほとんど話題に上らない(図1)。しかし、図1における青い線の2007年2月18日週に大きなピークが見える。このピークのお主な話題は、その関連語からKinKi KidsをCMに起用した事によると考えられる。このような男性アイドルを使うと、確かに話題量は格段に大きくなる。しかし僕のこれまでの調査経験から購買に関する話題や商品そのものの話題にはそれほどつながらない事がほとんどである。

【図1】十六茶全体および十六茶におけるCM以外の話題量推移グラフ
縦軸がエントリー数。横軸が時間(週)青い線は十六茶全体の話題、ピンクの線は十六茶におけるCM以外の話題。

 そこでCM話題に触れているブログを取り除く検索条件式を作り、再び検索をし直してみるとピンクの線が現れた。これは2007年2月18日週のピークにおいて青いラインの半分程度の話題となっていた。その関連語を見ているとオマケという言葉が目立った。CM開始と同時に十六茶は小さなクリスタルベア(透明なクマの人形)のオマケをつけたようだ。この2つのキャンペーンで、全体の話題の半分がCM以外の話題となっている。ちなみに2007年6月から2008年1月までは全体の話題(青)とCM以外の話題(ピンク)が重なっている。これはCMについて語る人がいなくなったという事になる。

 では次に「見た」「買った」「行った」という動詞を視点にして見てみる(図2)。

 各動詞の中心となっている話題に関しての説明を先にすれば、「見た」は主に、CMなどでKinKi Kidsを「見た」という話題。「買った」に関してはオマケを目的に十六茶を買ったという話題が多くを占める。「行った」に関しては2008年2月10日週より前は主にオマケを集めに「行った」という話題。2008年2月10日週は代官山に期間限定でオープンしたKinki Kidsプロデュースの十六茶カフェに「行った」という話題も加わっている。

【図2】十六茶に関する消費者の各行動における話題の推移グラフ
縦軸がエントリー数。横軸が時間(週)青い線。ピンクの線、黄色い線はそれぞれ、十六茶を「見た」「買った」「行った」に関する話題。関連語表は、それぞれの週における十六茶に関して書き込まれているブログに出現するキーワードの表。頻度の多い順に並んでいる。「見た」は「十六茶」と「見た」に関する関連語、下「行った」は「十六茶」と「行った」に関する関連語をそれぞれ示している。関連語のピンク、紫、黄色、緑、水色はそれぞれCM話題、ワイドショーやポスターなどCM以外の宣伝話題、購入箇所の話題、おまけ話題、十六茶カフェ話題を示している。

 2007年2月18日週においては「見た」「買った」「行った」が同様のピークのパターンを作っている。つまりその週のKinKi Kidsの話題とオマケのキャンペーン話題におけるピークのパターンはシンクロしている。実際に記事を読むと、KinKi KidsのCMを見たファンがオマケをこう購入しているという話題が多く見られた。

 しかしそれ以降は「見た」だけがピークを作り、「買った」と「行った」は話題量が上がっていない。どうやらCMを見た事と十六茶を買ったという話題のリンクが切れてしまったようだ。最初のピークとを超える大きなピークが今年の2月10日に現れている。これは再びKinKi KidsがリニューアルしたCMを始めたことによる。その時期にKinKi Kidsのフィギアのオマケ、再びクリスタルベアのオマケ(これはその少しあとの週になる)、さらにはKinKi Kidsプロデュースの十六茶カフェに行った事が話題となっている。

 昨年2月18日週の「見た」ほど今年2月10日の「見た」が盛り上がっていないのは、前者が「WS」「ズームイン」「めざまし」などの関連語を見て分かる通り多くのワイドショーで取り上げられた事による。もし2008年2月10日週もワイドショーで取り上げていたとしたら、その話題性は最初ほどなかったことになる。2008年2月10日週の「買った」や「行った」が2007年2月18日週と同じかそれより高いのは、KinKi Kidsに絡めたフィギアや、イベントの効果だろうと考えられる。

 十六茶は知ってか知らずか、今回は前回のキャンペーン以上(前回もKinKi Kidsの誕生日ベアなどを出していた)にテレビCMとそれ以外のキャンペーンをKinKi Kidsを通じてお互いに強くリンクさせようとしていたようだ。これは最近流行のクロスメディアのような発想だと思う。

 このように十六茶に「買った」「見た」「行った」という検索条件式を加えれば、それぞれのキャンペーンの効果を別々の視点で見る事が可能となり、それぞれの話題のリンクの度合いをピークのパータンやその関連語から推測できる。十六茶でのこの調査を簡単にまとめるなら、KinKi KidsのCM起用は消費者に大きな話題となる。一方でオマケやイベントは十六茶の購買や認知に関する話題量を増やす力がある。これらの施策をお互いにリンクさせると更に大きな効果が期待できる、ということになるだろうか。

 ちなみに、これらの話題が十六茶そのもの話題を持続させられるかといえば、そうでもないようだ。これまで見てきた黒烏龍茶、のどごし生などのように、商品が日常の日記に定着する例は少ないと思う。

次のページ
検索条件を工夫した調査例~資生堂TSUBAKI

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
ブログから導く消費者の生の声!クチコミデータ有効活用への道連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

磯部 拓(イソベタク)

1971年生まれ、博士号を取得後アテンション入社。現在は株式会社アテンション戦略企画部に所属し、マーケティングリサーチ、分析、レポーティングサービスを行う。また「恋愛専門ドットコムα版」の作家兼ディレクションを行い「...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2008/03/24 18:17 https://markezine.jp/article/detail/2924

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング