商用ブログを除く
実際にブログ調査した人なら誰もが頷く事だと思うが、検索エンジンでブログを検索しても、クチコミサーチなどのテキストマイニング系サービスで検索しても、知りたいキーワードのみを打ち込んだ場合、どうしても営利目的のブログが混じってくる。生の声を拾おうとしている場合、このようなブログは邪魔となる。キーワードによっては半数以上が営利目的のブログであることもあり、そのためブログ調査を途中で断念してしまう調査者も多い。
ちなみに機械的にポジネガ判定をしているサイトやレポートにおいては、それらの広告が混じったままレポートの結果を出している事が多いため信用が出来ないと僕は考えている。例えば、あるダイエット商品のポジネガを調べた調査でポジティブとしている形容詞の中の「おいしい」は「おいしい○○を飲んでダイエット」という広告のキャッチフレーズだったりする。商用ブログの特徴として1つの日記の中に何度も同じ台詞が繰り返され、さらにその日記が何回も投稿される。それら大量の商用ブログがポジネガ判定のポジティブな度合いをひきあげているとしたら、そのポジネガ調査に何の意味があるだろう。この商用ブログを除く作業はとても面倒だ。しかしコツさえ覚えれば効率的に商用ブログを除去できる。
例えばブログクチコミサーチの場合、商用ブログ除去フィルターをボタンをクリックすれば、多くあるいは一部の商用ブログを瞬時に除く事が可能である。更に「商品」「激安」「ご提供」「発送」「お申し込み」「手数料」「定型」などの商用ブログ独特のキーワードを除外条件式として加える事で、効果的に商用ブログを除く事ができる。
更に商用ブログは同じ独特の文言を1つの日記の中で繰り返し述べたり、全く同じ文章の日記を多量にアップする性質があるため、関連語の上位にくる性質がある(その頻度も関連度【注2】も高い事による)。その決まりきった台詞を除外条件に加えてやれば、商用ブログの多くは除かれ、生の声が見えてくる。
同音異義語と同義語
商用ブログを除いた方法と同様のやり方で、検索したいキーワードと同音異義語を除く事もできる。例えば、キリンは動物のキリンと、ビールのキリンがある。このうち動物のキリンに興味が無いのであれば、動物のキリンに関する関連語、例えばゾウとか動物園などを除外条件式に加えていく。そうする事で、知りたい「キリン」に付いて調べる事が可能となる。
また言葉には同義語がある。例えばマクドナルド。マクドナルドをマックと書く人もいれば、マクドと書く人もいる。McDonald'sと書く場合もあるかもしれない。もしあなたが「マクドナルド」を調べたい場合、マクドナルドというキーワードだけで抽出したら多くの生の声を逃がしてしまうだろう。
他にも木村拓哉とキムタク、スターバックスとスタバがある。その概念を示すありとあらゆる検索条件式を入れる事で正確な調査が可能となるのである。また実は同義語は同義語以上の深みがある。マックという消費者と、マクドという消費者では述べている消費者の層が異なるのである。
さて、冒頭にも記したが、この連載は今回で最後になる。ブログを使ったリサーチ手法はまだまだ黎明期の段階だが、消費者の生の声を吸い上げるツールとして、これからも確実に浸透していくだろう。この連載が、少しでも読者の方のお役に立てれば嬉しい限りである。それでは、またどこかの機会でお会いしましょう!
【注2】関連度:検索条件式とその結果現れる言葉との関連の強さ、特異性を示す度合い。関連度が高ければ高いほど、検索条件式に特異的に現れる言葉となる。