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【ブログ調査】十六茶はKinKi Kidsが話題をつくり、オマケ&イベントで認知と購買を加速させた?


検索条件を工夫した調査例~資生堂TSUBAKI

 連載第2回目において、上司に「この商品の反響をまとめといて」と言われた時どう調査すべきかに関して書いた。しかし検索条件式を工夫すると、更に違った視点が生まれる。例えばAIDMAやAIDCASのようなマーケティング的視点を持った調査も可能という事を簡単に示してみる。第2回同様TSUBAKIで見ていく。

「資生堂TSUBAKI全体」:これは第2回と同様資生堂TSUBAKが検索条件式。
「『資生堂TSUBAKI』と『女優』」:これはTSUBAKIについて書かれていながらかつ女優について書かれているブログを抽出する条件式。
「『資生堂TSUBAKI』と『買った』」:これはTSUBAKIについて書かれていながら「買った」「買いました」など購買に関する条件を加えたもの。
「『資生堂TSUBAKI』と『香り』」:資生堂TSUBAKIの香りは独特である。従って、「資生堂TSUBAKI」と「香り」「匂い」など香りに関して語っているブログを抽出する条件式とした。

 すると図3のようになる。

【図3】資生堂TSUBAKIにおける話題量の推移グラフ
上から資生堂TSUBAKI全体、資生堂TSUBAKIと「女優」、資生堂TSUBAKIと「買った」、資生堂TSUBAKIと「香り」に関する話題量。青い丸はそれぞれの時期において話題量がもっとも多かったピーク。関連語表は資生堂TSUBAKIが発売された週におけるそれぞれの条件で抽出されたブログに出現するキーワードの表。頻度の多い順に並んでいる。
それぞれの条件で抽出されたキーワード表(2006年4月9日週
資生堂TSUBAKI全体 資生堂TSUBAKIと
「女優」
資生堂TSUBAKIと
「買った」
資生堂TSUBAKIと
「香り」
女優さん サラ毛 椿
SMAP 女優 ドラッグストア サラサラ
発売 出演 アジエンス トリートメント
仲間由紀恵 6人 サンシャイン
コンディショナー 仲間由紀恵
マキアージュ 竹内結子 宣伝 椿蜜花
女優さん 観月ありさ 使用 テイスト
椿油 広末涼子 東武方面
WOMAN ご覧 サンシャイン方面 キツ
女性 ハーバルエッセンス ボトル

 資生堂TSUBAKI全体は第2回で用いたグラフの推移と同じである。まずCMのクランクインの週に大きなピークがあり、発売週に次のピーク。そしてラックスの首位を抜いて資生堂がシャンプー市場の一位を奪ったニュースが流れた週がこれまででもっとも大きなピークとなった。一方「『資生堂TSUBAKI』と『女優』」で見てみると、CMクランクイン時が年間で最も大きなピークとなっている。女優に対する注目度は一番最初のクランクインだったようだ。

 「『資生堂TSUBAKI』と『買った』」においては、CMのクランクインに話題はなく(発売前なのだから当たり前なのだが)、発売した週で話題が増え、その翌週が最も大きなピークとなっている。「『資生堂TSUBAKI』と『香り』」は発売した翌々週にピークがくる。つまり時間軸に沿って見ていくと、消費者はCMに注目をし、商品を買った話題をし、その使用感である香りに関して述べている。これがブログクチコミサーチでは週単位、日単位で見る事ができる。どの時期に何を訴求すべきかのヒントになるかもしれない。

 またこれを「『資生堂TSUBAKI』と『女優』」をアテンション(注意)、「『資生堂TSUBAKI』と『買った』」をアクション(購買行動)、「『資生堂TSUBAKI』と『香り』」をサティスファクション(満足)とすればAIDMAやAIDCAS、AISASのようなマーケティング調査の視点を持てる。

 図3の関連語を見ても、「女優」では女優の名前が出ているのに対し「買った」に関しては「ドラッグストア」「東武方面」「サンシャイン方面」などどこで買ったかに焦点があっている。香りに関しては「キツい」とか「艶」という言葉が見られる。これらの視点それぞれに対して、ポジネガ判定も、どのような形容詞(あるいは動詞)が使われていたかも、それぞれの実際の話題の変化も調べる事が可能となる。例えばCMに関しては概ねポジティブに評価されていたが、香りに関しては賛否両論だったという事が分かったりする。

 他にもある年配のスポーツ選手の印象調査をしたとき、その成績に関してはネガティブな書き込みばかりだったのが、人柄に関してはそのほとんどが、温かい支持や応援である事がわかった事がある。消費者が抱くそのスポーツ選手の人柄にフィーチャーしたCMをうてば、比較的安いタレントを効果的に使う事ができるかもしれない。

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この記事の著者

磯部 拓(イソベタク)

1971年生まれ、博士号を取得後アテンション入社。現在は株式会社アテンション戦略企画部に所属し、マーケティングリサーチ、分析、レポーティングサービスを行う。また「恋愛専門ドットコムα版」の作家兼ディレクションを行い「...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2008/03/24 18:17 https://markezine.jp/article/detail/2924

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