広告運用のノウハウをアルゴリズムで再現
――「Shirofune」は、経験がない人でも直感的に受け身で使えるツールとのことですが、菊池さんから概要をご説明いただけますか?
菊池:簡単に言いますと、「Shirofune」は誰でも手軽にプロのクオリティで広告運用ができるツールです。自社で広告運用をする場合、専門的な知識が必要となり、それこそ広告運用のスペシャリストを採用するという選択をされる企業様も多いと思います。
事実、広告運用には、ある程度ベストプラクティスや成果を出すための方法が存在します。そうしたノウハウを独自のアルゴリズムで再現し、システムとして使えるようにしたのが「Shirofune」です。私たちが長年広告運用の現場で培ってきたノウハウを詰め込んでいます。
――「広告運用をすべて受け身で」というコピーが印象的ですが、これはどういうことなのでしょうか?
菊池:川久保さんのお話にもありましたが、オンラインの広告運用は専門職であるため属人化しがちで、学習しなければいけないことも多いです。成果を出せるシステムを開発したとしても、それを使いこなすためのスキルや、実際に画面を見て「改善のために何をすべきか」を考える思考が求められます。
そのため、どんなにわかりやすくデータを可視化したとしても、「そのデータを使って次に何をすべきか」を考えるためには、結局様々な学習に時間を割かなければならないのが難点だと感じていました。そうした課題をクリアするため、受け身で広告運用ができる仕組みを設計しました。すべてやるべきことがあらかじめ提示されていれば、利用者はそれに対する判断を行うだけです。学習のために特に時間を割く必要がなくなります。
――現在「Shirofune」の運用は、川久保さんと稲葉さんのお二人でされているとのことですが、実際に運用していく中で感じる良さはどういったところにありますか?
稲葉:広告出稿上のワークやフローがシンプルでわかりやすいということと、日々の運用に特に時間が取られない点は非常に魅力に感じています。
――ちなみに、現在1日でどの程度「Shirofune」での広告運用に時間を割かれていますか?
稲葉:デイリーレポートの確認と、毎日ではないですが「改善カード」が届くので、それを調整するくらいです。時間にして、10~15分程度だと思います。新たに広告の設定をする際には多少の時間がかかりますが、運用面ではほとんど時間をかけていません。
川久保:一般的に運用型広告を担当されているマーケターの方々は、自分でもGoogle広告などを設定して、管理画面に慣れている方ばかりだと思います。私はほとんどそうしたものに触れてきませんでしたので、一般的な広告運用ツールとの比較はできないのですが、「改善カード」の提案に対して「これは残す」「これは外す」と判断をしていく作業は楽しいですね(笑)。
アルゴリズムで改善しつつ、利用者の知恵や意図を活用
――「改善カード」について詳しく教えていただけますか?
菊池:オンライン広告は出稿して終了ではなく、目的に対する成果の効率を日々改善し、成果数を拡大していくことが重要です。広告代理店や広告運用のスペシャリストたちは、改善に関して、「どういうデータを見て何をすればいいか」というノウハウを持っています。
そうしたノウハウをアルゴリズムに変え、入札最適化などシステムが得意なところは全自動で実行します。人間の知恵をプラスしたほうが成果や目的に沿えるものについては「改善カード」という形でユーザーに提示しています。
「改善カード」には様々なタイプがありますが、「YES」か「NO」で答えていただくようなものもあります。たとえば運用開始序盤に「このキーワードに対してコストがだいぶかかっていますが、今回のプロモーションの意図と合っていますか?」という問いに対し、「YES」を選択した場合は継続、「NO」の場合は意図と違うので削除します。こうした提案や質問が、重要度順で管理画面上に1日15分程度出現するようになっています。
――プレイドさんでは、こうした「改善カード」を駆使する中で特に比重を置いてチェックしている指標はございますか?
菊池:Shirofune導入後、コンバージョン数はかなり増えていると思いますが、その辺りはいかがですか?
稲葉:正直、単純なコンバージョン数には比重は置いていません。どちらかと言うと、重視しているのはリーチやインプレッション、ユーザーのサイト回遊率、プロダクトをどれほど理解しようとしてくださっているかという点ですね。
川久保:「KARTE」を使ってサイト内でのユーザー行動は詳細まで可視化できるので、「Shirofune」経由で来訪してくださったユーザーの行動をチェックし、質の部分での評価を今後したいと考えています。