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有園が訊く!

中国が急速にデジタル化しているワケ 日本企業が巻き返すカギは「UXグロースハック」にあり

 デジタル上でのコミュニケーションは、企業のマーケティングやブランディングを明らかに変革し、速度と深度を増している。有園雄一氏が業界のキーパーソンや注目企業を訪ね、デジタルが可能にする近未来のマーケティングやブランディングについてディスカッションする本連載。今回は、6年前から中国・上海でも事業を展開しているビービットの中島克彦氏と宮坂祐氏をゲストに、デジタル化とビジネス発展が目覚ましい中国から日本が学ぶべき点、そして日本におけるUXグロースハックの可能性を議論した。

子連れの母親と繰り広げたタクシー争い

写真左から、ビービット 取締役 中島克彦氏 同 エグゼクティブマネージャ/エバンジェリスト 宮坂 祐氏 電通総研カウンセル兼フェロー/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏
写真左から、ビービット 取締役 中島克彦氏 同 エグゼクティブマネージャ/エバンジェリスト 宮坂祐氏
電通総研カウンセル兼フェロー/電通デジタル 客員エグゼクティブコンサルタント 有園雄一氏

有園:今回は、デジタルが急速に浸透している中国から日本は何を学ぶべきか、ということをテーマにディスカッションしたいと思います。ゲストには、少し前から中国・上海でビジネスを展開しているビービットの中島さんと宮坂さんにお越しいただきました。もう何年になるんでしたか?

中島:6年ですね、2012年からなので。私は当初、駐在もしていたので、カルチャーショックやビジネス上のショックはたくさんありました。

有園:そうなんですね。今、中国ではビジネスの発展が著しく、その原動力となっているのがいうまでもなくデジタルです。まず、近年でどんな変化があったかうかがえますか?

中島:一言でいうと、まるで違う国になりましたね。

有園:と、いうと?

中島:人が優しくなりました。たとえば駐在当初、僕、道でタクシーを停めたら子連れのお母さんにタックルされたんですよ。向こうは必死なんですよね、でも僕もミーティングに遅れそうで切羽詰まっていたから、すぐに譲れなくて。それはすごく、なんていうか、つらい体験でした。

 エレベーターにも日本と違って誰も列に並ばなくて、我先にという感じで。5、6年前は、人が優しいとかそういう概念で生きていなかったんです。生きるか死ぬかって感じでした。

宮坂:中島と違って僕は出張ベースでしたが、中島のいうことはあながち誇張でもないですね。

「いい人」であるような環境設計がされている

有園:そうはいっても上海は中国で人口第2位の都市(※人口約2300万人、GDPは中国トップ)ですが、宮坂さんから見ても、そんなにワイルドな感じだったんですか?

宮坂:そうですね。語るほど詳しくはないですが、中国は1970年前後の文化大革命によって、かねてからの儒教による道徳観念や社会規範がいったん壊されたのだと思います。人に譲るとか、悪いことをしたら謝るといった、日本では当たり前の感覚が失われた。

 そこに近年、デジタルというある種の宗教というか、新たな社会規範が一気に流れ込んできて、改めて人々の拠り所になったような感覚がありますね。

有園:それは、なぜ?

中島:いくつものデジタルサービスの、環境設計の影響が大きいと思います。その一例で、この7月には日本上陸も報じられたタクシー配車サービスのDidi(2012年創業)は、2016年にUber Chinaを買収してユーザー数を増していますが、たとえば「良いユーザーかどうか」をキャンセルの有無といった行動データから判定してポイントを付与し、次の優先配車を判断したりしています。

 要は、社会に「“いい人”競争」が起こるよう、サービスが環境設計されているんです。ゲーム理論などにも通じますが、皆がより幸せで市場効率が最もよくなるように、マーケットがデザインされている。その結果、社会に“いい人”が増えたんですね。

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この記事の著者

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

zonari合同会社 代表執行役社長/株式会社ビービット マーケティング責任者/電通総研パートナー・プロデューサー/アタラ合同会社 フェロー早稲田大学政治経済学部卒。 1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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