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ミレニアル世代の健康観

スピン、ブートキャンプ、ヨガによるフィットネス産業のディスラプション

 フィットネスクラブで体を鍛えるというアクティビティが普及し始めたのは諸説あるが、米国では1980年代といわれている。市場アナリストのマット・ディクソン氏のまとめによると、この頃米国では国民の7%に相当する約1,700万人がフィットネスクラブの会員で、フィットネスクラブ数は1万ヵ所、また会員による年間支出額は60億ドル(約6,660億円)だった。

 国際ヘルス・ラケット&スポーツクラブ協会(IHRSA)の調査によると、2016年にはフィットネスクラブの数は3万6,540ヵ所、会員数は5,730万人に増加。1980年代に比べフィットネスクラブ、会員数ともに3倍以上に増えている。また、2016年のフィットネスクラブへの年間参加回数が平均106回と過去最高を記録したことも判明、米国のフィットネス市場の盛り上がりと健康意識の高まりを示すものとなっている。

 このフィットネス市場をさらに盛り上げるディスラプターと目されているのがブティック・フィットネスだ。

 IHRSAによると、2012〜2015年にかけて一般的なフィットネスクラブの会員増加率は5%だった一方で、ブティック・フィットネスは74%の増加率となったのだ。

 ブティック・フィットネスとはどのようなフィットネスクラブなのか。代表的なブティック・フィットネスを紹介したい。

 SoulCycleは、スピン(屋内サイクリング)に特化したブティック・フィットネスだ。2006年に創設され、現在米国で78ヵ所、カナダで3ヵ所のスタジオを運営している。

SoulCycleのWebサイトより(https://www.soul-cycle.com/)
SoulCycleのWebサイトより

 SoulCycleのスタジオで実施されているのはスピンと呼ばれるエアロバイクを使った運動であるが、ただ座ってペダルをこぐだけではない。スタジオは薄暗く大音量で音楽が流れており、まるでクラブを彷彿とさせる雰囲気となっている。1セッション45分、インストラクターの指示に従い音楽に合わせてペダルをこぎ、さらに上半身の運動も行う。同社ウェブサイトは運動というより「ダンスパーティーのようだ」と説明している。

 コミュニティを意識した事業運営を行っており、コミュニティ・体験を重視するミレニアル世代からの人気は高い。また同社の名前が示す通り、精神(Soul)の充実を実現させることを重要視しており、このこともヨガ好きのミレニアル世代を魅了する要因になっているようだ。

 年間会員費を支払うのではなく、セッション毎のチケットを購入する形で参加。1セッション36ドル(約3,900円)、まとめ買いであれば3セッション75ドル、5セッション175ドル、50セッション3,500ドルなどから選択することができる。2018年8月時点では、Twitterのフォロワー数は約27万人、Instagramは約33万人となっている。

 Barry’s Bootcampはランニングと高負荷トレーニングを組み合わせたブートキャンプスタイルのエクササイズを行うブティック・フィットネス。

Barry’s BootcampのWebサイトより(https://www.barrysbootcamp.com/)
Barry’s BootcampのWebサイトより

 1998年、ハリウッド映画俳優のトレーナーだったBarry Jay氏によって創設。きついが効果あるエクササイズとして知られ、有名映画俳優やモデルも参加、ブティック・フィットネスのパイオニア的存在として度々メディアに取り上げられている。高水準の音響設備を備えSoulCycleと同様にクラブのような雰囲気の中エクササイズを行う。

 現在、米国だけでなく、英国、カナダ、ドバイ、イタリア、スウェーデン、ノルウェーに計41ヵ所のスタジオをオープン。また香港、シンガポール、オーストラリアなどアジア太平洋市場への拡大も計画しているという。

 チケットを購入し参加する形式で、ハリウッドスタジオでは1セッション28ドル、5セッション135ドル、10セッション260ドルなどとなっている。Instagramのフォロワー数は14万5,000人、Twitterは22万3,000人だ。

 ヨガに特化したブティック・フィットネスも増えている。CorePower Yogaは全米170ヵ所以上にスタジオをオープン、米国最大のヨガスタジオチェーンといわれている。2002年に創設、コロラド州デンバーに本社を置く。

CorePower YogaのWebサイトより(https://www.corepoweryoga.com/yoga-fitness-experience)
CorePower YogaのWebサイトより

 ビンヤサヨガ、アシュタンガヨガ、パワーヨガなど様々なスタイルを取り入れ、柔軟性だけでなく体幹、持久力、筋力の強化を目的としたセッションを実施している。月額制で費用は135〜170ドル、2012年の売上高は4,520万ドル(約50億円)だった。

 ヨガセッションの実施だけでなく、ヨガインストラクター養成、ヨガ休暇プログラム、ブートキャンプなども行っている。Instagramのフォロワー数は13万1,000人、Twitterは7万2,000人。

 このほか、バレーの練習を応用したエクササイズを行うPureBarre、パワーとスピードの強化に特化したCrossFit、ボクササイズのGotham Gymなどユニークなブティック・フィットネスの人気が高まっている。

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平均を大きく上回るミレニアル世代フィットネス消費

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この記事の著者

細谷 元(Livit)(ホソヤ ゲン)

生成AI関連のトピックを中心に執筆。最近の注目トピック/キーワード:エージェンティックAI、LangGraph、Deep Research、Anthropic、オープンソースモデル

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/10/25 14:30 https://markezine.jp/article/detail/29452

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