AIの三大分類 AI > 機械学習 > ディープラーニング
まず押さえておかなければならないのが、「AI、機械学習、ディープラーニング」の定義である。最近は少なくなってきたようにも思うが、「AI、機械学習、ディープラーニング」の用語の区別がなされずごった煮の状態で語られていることがあった。おさらい的な内容になるかもしれないが、AIの三大分類から見ていこう。
「AI、機械学習、ディープラーニング」の3つの関係を図にすると上のようになる。最も広義に範囲を持つのがAI(人工知能)であり、機械学習とディープラーニングを内包する概念である。AIの研究の歴史は古く1950年代から始まっている。AIは「知的な機械、特に、知的なコンピュータプログラムを作る科学と技術(※)」と言い表されることからわかるように、概念として広い定義がなされている。
機械学習(英語表記はMachine Learning)はというと、AIに内包されるもので、特定のタスクをトレーニングにより機械に実行させるものである。機械学習の詳しい定義は後述する。また、ディープラーニング(深層学習とも呼ばれるが本記事ではディープラーニングと表現する)は、AIの一部であり、また機械学習の1種である。機械学習の種類(アルゴリズム/手法)は実は様々なものが存在するが、その中の1グループがディープラーニングである。特に認識系AIや会話系AI(AIの活用タイプ分類は前回の記事を参照のこと)の活用分野において、人による特徴定義を不要とし、以前からある他の機械学習アルゴリズム/手法よりも高い精度を実現する、いわゆる第三次人工知能ブームの火付け役としても知られる。
本記事は文系の方に向けてのものであるため、あえて小難しい定義については述べない。先の説明のとおり、「AI>機械学習>ディープラーニング」の関係性だけはしっかり抑えて、用語も使い分けてほしいと思う。
あらためて機械学習ってなんだ?
AIの三大分類を抑えた上で、「あらためて機械学習とはなんだ?」について話を進めよう(ここで表現する機械学習は繰り返しになるがディープラーニングを含んでいる)。機械学習がどういったものかをまとめたのが次の図だ。
機械学習とはなんたるかを説明する上で大きく2つの側面から見るとわかりやすい。
・機械学習は、”特徴”をつかみ”法則化”する
・機械学習は、法則を”自動化”する
1つ目の側面から見ていこう。機械学習はその名の通り、学習する機械(マシーン)だ。この機械(マシーン)は、データから反復学習をし、学習結果を法則化する(法則化をモデル化とも呼ぶ)。また、この反復学習からある事象(コト・モノ)の”特徴”をつかむのが最大のポイントでもある。丸暗記的に全部覚える、というものではなく、沢山のデータからある事象の傾向・クセといった”特徴”を捉えにいく。うまく事象の特徴を捉えられると、それを次回以降にも利用できる”法則”に昇華させるのだ。
そして、事象の特徴をつかんで法則化できた状態を”自動化”し、以降の再現性を作るのが2つ目の側面だ。学習する機械(マシーン)であることからもわかるように、機械学習はシステムそのものだ。ただしシステムといっても、ルールベースの条件文を数万行と記述していくようなシステムではなく、法則を自動化する部分において、ノンプログラミングでシステム化を行うものである。もちろん機械学習を動かす上で、様々なプログラムは必要となるが、「特徴から生まれた法則性を自動化する」というコア部分は、ルールベースのプログラミングで構成されるものではない、という意味として捉えてもらいたい。
「特徴をつかみ法則化する」「法則を自動化する」というちょっと捉えづらい概念についてたとえを用いながら解説しよう。