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「どう広げるかよりも、どう残すか」コンテンツプランナー眞鍋氏に聞いた、これからの広告作り

2018/12/26 09:00

 全世界で1,000万回再生、220ヵ国以上で閲覧されたWebCM『雪道コワイ』を始め、多くの話題作を手掛けるコンテンツプランナー眞鍋海里氏。そんな眞鍋氏に、「ターゲティング広告って、実は消費者に嫌がられているのでは?」「見てもらえる広告ってどんなもの?」など、広告にまつわる疑問に答えてもらいました。

デジタルの発達は、消費者と広告の関係を変えたのか?

――眞鍋さんには、2014年7月~2015年2月にかけて、話題化するWebキャンペーンを作るための考え方、発想法について具体例を交えてご紹介いただきました(連載記事)。それからわずか3年ではありますが、AIやIoTが登場するなど、デジタル技術の発展で、広告業界を取り巻く環境は大きく変化したように感じます。それにともない、消費者の広告に対する意識も変わったのではないかと思うのですが、眞鍋さんはどうお考えですか?

眞鍋:確かに、技術的な進化や新しいプラットフォームの登場で「消費者行動」には変化が出てきているかもしれないですね。たとえば、今まで気になった商品があればGoogleで検索していたものを、今ではInstagramで調べるようになったなど。しかし、そこにある「買う前に調べたい」と思う「消費者心理」は、そんなに変わっていないのではないでしょうか。僕ら広告クリエイターは、“心”を動かすのが仕事だと思っているので、そこさえしっかり捉えることができれば、アドテクの進化は「広告との出会い方や表現の幅が増えたな〜」くらいの感覚なんです。

株式会社BBDO J WEST コンテンツプランナー/インタラクティブプランナー 眞鍋 海里氏
株式会社BBDO J WEST コンテンツプランナー/インタラクティブプランナー 眞鍋 海里氏

――消費者心理は変わっていない……そうなのでしょうか? たとえばアドテクの発展で、ターゲティングの精度はかなり上がっていますよね。でも一方で、消費者もターゲティングに慣れてきたというか。「自分、ターゲティングされているな」ということに気づき、嫌悪感を抱く人もいるように思うのですが……。

眞鍋:嫌悪感で言うと、今も昔も、広告をポジティブに思っている人はあまりいないですからね(笑)。今の若者はGoogleすら信用していない。検索結果はSEOで操作されている感覚があるからです。だからこそ、より信頼度が高いSNSを通して“人”の言葉から情報を得ようとする。自分が「ターゲティングされていること」も、もちろん気づいている。そうなると、その「揺り戻し」みたいなのはあるかもしれないですね。

 たとえば少し前、TSUTAYAでタイトルやビジュアルを隠したDVDレンタルが人気を集めていました。それは、ターゲティングされ続けることで芽生えた新しい「情報への飢餓感」が影響しているのかもしれないなと思いました。自分の嗜好とはまったく別の次元からやってくる “操作されていない”刺激を得たいという欲求なのかもしれないなと。

「新しい大前提」をどう活かすか

――そうかもしれないですね。ではデジタルの発展は、眞鍋さんの広告コンテンツ作りにはどのような影響を与えましたか? 変わったこと・変わらないことがあると思うのですが、それぞれ教えてください。

眞鍋:変わらないこととしては、自分が作るコンテンツで「どれだけ新しい体験を提供できるか」ということです。「新しい」にはすごく価値があります。新しいだけで人は見たいと思うし、反応してくれる。同じ動画広告、テレビCMのフォーマットの中だとしても、どれだけ新しい体験ができるか、新しい感情を生み出せるか、ということはいつも意識しています。

 変わったこととしては……僕自身というよりは、世の中の「大前提」がどんどん変わってきたな、と思います。なので、その「新しい大前提」を使って何ができるか、みたいなことはずっと考えてますね。

――新しい大前提とは?

眞鍋:たとえば、これまで動画の大前提は16:9でした。しかし、スマホの登場によって縦型で見る動画が登場したり、Instagramの影響で正方形も出てきたり、動画の前提は変わりつづけています。実は動画に限らず、その新しい大前提ができる瞬間こそ、新しい表現のチャンスが潜んでいるんではないかと思っているんです。

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