若手はめげずにチャレンジを
廣澤:本間さんは、多くの経営層やビジネスマンと向き合っていらっしゃいますね。その多くは、インダストリー3.0を主流にビジネスをしてきた方だと思います。そして、現代の現場を預かる若手のマーケターはインダストリー3.0から4.0へと変化する最中にいます。

これを踏まえると、現場のマーケターと経営層の間に考え方や言語・価値観・新しいサービスに対する感度におけるズレが生まれるのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
本間:それはありますね。ただ、それに違和感があるのであれば、起業して新しい産業や組織を作るか、今いる企業の中で、将来を見据えたアイデアを出し続けて実現を目指せばいいと思います。違和感を解消して、実現するための選択肢はたくさんあるのです。
若い人たちの辛いところでもあり良いところは、固定観念や過去の成功に捕らわれることなく、新しいアイデアを考えられることです。その新しいアイデアは、本当に宝物です。同じ価値観の若手と手を取り合って、新しい考えを皆の前に出してみればいいと思います。
インダストリー4.0など、大きなムーブメントが起きていることは事実ですから、組織がすぐに理解しなくても、少しずつチャレンジし続けるしかないです。
答えはない、複数のアプローチを実践しよう
廣澤:では最後に、これからのマーケティングやマーケターはどうあるべきか、本間さんのご意見を伺いたいです。
本間:若手の方には、マーケターというポジションを楽しみつつ、こつこつとヒットを打つだけでなくホームランを狙ってほしいですね。そして経営・マネジメント層には、様々な国へ旅をして、新しいサービスや製品を体験してほしいです。
廣澤:新しいサービスや製品を体験するというのは、たとえば、中国でキャッシュレス決済をしてみたり、アメリカでライドシェアサービスを使ってみたりということでしょうか。
本間:そうですね。先ほど海外の情報を追いすぎとは言いましたが、実際に自身で体験することは必要だと思います。そして日本の経営者は、様々な人の暮らしに対して「自社がお客様へ提供できる生活価値、エンターテインメントは何か?」を考えることが重要です。
そのヒントは、世界中の国の生活に潜んでいると思います。利用者が伸びているサービスでも、お客様は楽しんで利用しているのか、それとも仕方なく使っているだけなのか、実際に足を運ばないとわかりません。結局現場で体験しなければ、ヒントは得られないでしょうね。
廣澤:ちなみに、ホームランを打つ、狙いにいくための心構えなどはありますか。
本間:失敗を恐れないことが必要だと思います。これまでのマーケターは、過程よりも結果を大切にしてきましたが、たとえ失敗したとしてもそれは糧になります。マーケティングは多様なアプローチがあって良いんです。様々な過程を残していくほうが、後進のマーケターもワクワクすると思いますよ。

もちろん、マーケティングの基本やフレームワーク、データ、科学的なアプローチについて勉強することも重要です。それらの理解もなく、再現性がないプランで失敗しても得られる知見は少ない。失敗しても、再度挑戦できるプランを設計するために、上記の理解を深め続けることが必要なのではないでしょうか。
廣澤:当たり前のことではありますが、愚直に学び続ける、挑戦し続けることが大事ということですね。本日はありがとうございました!
