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2018年国内施策シェア拡散ランキング&ZOZO前澤社長の総額1億円お年玉から考える2019年予測

前澤社長の1億円お年玉が見せた可能性

 この年末年始で特に話題となったのが、PayPayの100億円あげちゃうキャンペーンや年始のZOZO前澤社長による1億円お年玉プレゼントといったシンプルに現金を主体としたプレゼントキャンペーンです。

 非常に大きな話題であったため、2019年のトレンドを予測する上での参考として、対象をプレゼントキャンペーンに絞ったランキングも作ってみました(前述の「広告・プロモーション施策」のランキングではプレゼントキャンペーンは除外しています)。

 

2018年~2019年国内プレゼントキャンペーンのエンゲージメント数ランキングTOP10
2018年~2019年国内プレゼントキャンペーンのエンゲージメント数ランキングTOP10
※出典:スパイスボックスのソーシャルリスニングツール「THINK」集計(調査期間:2018/1/1~2019/1/10)
注:スパイスボックスの独自ツール「THINK」を利用し、プレゼントキャンペーンに絞った
施策のエンゲージメント数を集計してランキング化。今回は、国内におけるエンゲージメント数を
調査対象にしたため、主に海外で情報が拡散されたと思われるコンテンツは著者の判断にて除外。
「ZOZO前澤社長の総額1億円分のお年玉」を反映するため、2019年1月10日までの集計期間とした。

 昨今のプレゼントキャンペーンはTwitterのリツイートキャンペーンが主流のため、いずれも数字的にはRTによるエンゲージメントが伸びるのですが、その中でもZOZO前澤社長の1億円お年玉プレゼントの数字は群を抜いています。ご存知の方も多いと思いますが、RT数はTwitterの世界記録を更新しました。

 では、なぜこれほどまでに差がついたのでしょうか? 著者はこの施策の「個人が主語になっている」点に注目しています。おそらく、前澤社長ではなくZOZOという企業が主語となった1億円プレゼントキャンペーンは、ここまで話題にはならなかったはずです。企業が仕掛ける同規模のプレゼントキャンペーンは珍しくありませんが、個人が仕掛ける1億円規模のプレゼントキャンペーンは聞いたことがありません。

 これは「企業」や「ブランド」など形のない“何か”が発する情報よりも、顔があり直接コミュニケーションを取ることができる“人”が主語となることで、生活者はそのコンテンツ(プロモーションなど)をより身近に感じ反応しやすいのだと考えられます。Twitterの企業アカウントの“中の人”しかりです。

 加えて、ZOZO前澤社長はエンゲージメントポテンシャルが非常に高い人物であり、前例のない「個人を主語とした大規模プレゼントキャンペーン × エンゲージメントポテンシャルの高い人物 = 特大のエンゲージメント」という構造ができました。今回の事例は、影響力のある「個人」が主語となった取り組みの可能性を示したと言えます。

 今後は企業コミュニケーションにおいても、会社のトップや現場の社員、またはブランドと強いつながりのあるインフルエンサーなど、「人」を主語にしたコミュニケーション施策の重要性が増すと著者は考えています。

影響力のある個人を、どう活かすか

 2018年の広告コミュニケーションは、「コンテンツ」や「人(タレント)」とのコラボの年であったと言えます。好感度やイメージだけでなく、コラボする「コンテンツ」や「人(タレント)」が持つエンゲージメントポテンシャルを戦略的に計算して施策を設計することがますます重要となっています。

 また、イシューに対するアンサーをリアルタイム・レスポンスで行うシンプルな情報発信が、莫大な予算を投じる広告キャンペーンを凌駕する象徴的な事例もありました。情報が次から次へと消化されていく中、これまでの常識を覆すリアルタイム・レスポンスが問われる時代になっていきそうです。

 さらに、ZOZOの前澤社長の事例のように「個人」で仕掛けたプレゼントキャンペーンが、企業施策のエンゲージメント量を圧倒的に上回るケースも出てきました。「個人」というのは必ずしも社長である必要もなく、1人である必要もなく、「影響力」さえあれば良いはずです。

 最近では、社員がインフルエンサーになって商品紹介をする米国のECサイトがあったり、国内でも「インフルエンサー採用」を行ったりと、社員のキャラクターを活かして企業情報を発信しようとする動きが進んでいます。影響力のある個人が増えたその先に、企業としてどのような可能性が広がるのか? このあたりはまだまだ新たな取り組みが考えられそうです。

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この記事の著者

森竹 アル(モリタケ アル)

 スパイスボックス 取締役副社長 事業統括責任者。2006年にスパイスボックス入社。プロデューサーとして大手自動車メーカー、食品メーカー、ゲーム会社等のデジタルマーケティングを支援。2013年、プロデュース局局長就任。すべてのクライアントワークを統括。2016年以降は、ソーシャルメディアを中心に「共感」と「話題」を...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/01/28 07:00 https://markezine.jp/article/detail/30134

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