重要なのはリピート率向上より離脱率の低下
――食の業界でアプリ施策に取り組んでいる企業は多いと思いますが、スシローさんではどの指標に重きを置いていますか?
竹中:前年にポイントプログラムに登録・ご利用された方が、翌年にどの程度ご利用いただいているかを重点的に見ています。このリピート率は前年度よりも伸長しています。会員数が増加すると、全体で見た数値としては低下することもあり得ますが、その数値を落とさないという意識がより重要だと個人的には思います。
我々のビジネスにおいては、お客様の離脱によって売り上げが減ってしまうことは避けなくてはいけません。離脱率を抑えるためのヒントを得る役割がCRMにはあると考えています。
――離脱率を抑えるために何か行っていることはありますか?
竹中:実は、ポイントプログラムを開始して今年で3年目になります。初年度はまだ開始直後ということもありましたが、2年目でお客様の利用動向がある程度見えてきました。3年目を迎える今年度は、それを更に進化させるフェーズだと思っています。具体的には、利用頻度ごとにお客様をセグメントして、利用調査を実施しています。そこで得た情報をもとに新たな施策の取り組みを検討し、改善につなげています。
新たな客層の獲得に向けた施策も
――次に、2018年の夏に御社が行った「スシローカフェ部 表参道スイーツテラス」の施策について聞かせてください。なぜ、回転寿司チェーンを運営する御社がスイーツのポップアップストアを展開されたのでしょうか?
竹中:元々「カフェ部」は正式な部署ではなく、ひとつのプロジェクトとして立ち上がったものです。混雑するランチやディナータイム以外のアイドルタイム(14~17時)における集客力の強化や、スシロー価格でのより本格的なスイーツの提供を実現すべく、このプロジェクトが始まりました。表参道にスイーツ専門店を出店したのには、プロジェクトの認知を広げる意味もありました。

スシローカフェ部 表参道スイーツテラス公式サイトより
スシローは回転寿司チェーンですので、お寿司を食べに来てもらうのが一番ですが、以前より「ランチ・ディナー以外のアイドルタイムにおける集客力の低下」という課題を抱えていました。そこで、「スイーツを食べる」という目的だけでスシローに来店するようなお客様が増えれば、課題解決につながるのでは、と考えたのです。
ターゲットとしては、流行に敏感な女子高生や女子大生など、SNS上での発信力を持った層を中心に設定。スシローとしては、若年層からシニア層までのオールターゲットを掲げているのですが、今回はSNS上での拡散にも期待して、上記の属性にターゲットを絞りました。
――実際この施策を行ってみて、成果はいかがでしたか?
竹中:具体的な数字をお伝えすることはできないのですが、SNS上の拡散や商品の美味しさへの反響の傾向など、お客様の生の声を体感できた素晴らしい機会でした。今回の取り組みで得た知見を活用し、今後の商品開発に活用していきたいと思っています。