ステップ2:立ち上げ期
最も重要となるのが、この立ち上げ期です。エバンジェリストとして露出を増やしながら、コミュニケーション対象の研究やリレーション(コミュニケーション設計)についてもブラッシュアップしていく必要が出てきます。闇雲に活動するのではなく、ターゲットと期待する態度変容や行動などをよく研究して打ち手を磨き、その後の反響まで分析していきましょう。
SNS全盛期の今、同じようにエバンジェリストとして活躍されている先達との接点を持つことは、以前に比べ容易にできるようになりました。立ち上げ期では、近しい領域で活躍するお手本を見つけ、その振る舞いを観察したり、時には直接話を聞きに行くのも良いでしょう。
次に、コミュニケーションのターゲットとなる様々なステークホルダーに対し、自分から出向いて会いに行ったり、イベントでピッチをするなどして接点を作り始める時期でもあります。
また、最初のうちは既存の営業資料などをカスタマイズしてプレゼンや説明をすることになりますが、場数を踏んでターゲットの反応を見ながらカスタマイズし、自分なりのプレゼン資料を作ってみましょう。
情報は常にアップデートされていきますし、外部環境も変化していきますので、完成形はありません。都度資料をブラッシュアップし、”秘伝のタレ”のように根気よく資料を育てていくことです。これがゆくゆく貴重な武器となります。
次に、広報の協力を得るなり、自分発信でメディアに露出を増やしていきます。もちろん、自分自身のプロモーションではなく、「自社サービス」や「企業としてアピールできるポイントやテーマ」を打ち出すことが命題です。活動領域やターゲットにもよりますが、プレスリリースにコメント記載する、自身の活動の様子を自社サイトで紹介する、なども有効です。
また、発信や行動のペースを掴み行動量が増えてきたり、社外での活躍が目立ち始めると、併せて社内に対するアピールも必要になってきます。KPIの設定や活動の見える化はもちろんのこと、社内の各部門とどう連携しているのか、どう貢献できるのか、などを社内に向けて発信したり理解を深めてもらうべく働きかける必要があります。

POINT:ターゲットへのアプローチを開始する
反応を踏まえてメッセージや資料をブラッシュアップする
社内への理解浸透も忘れない
準備すること:プレゼンの準備&改善
やってみよう:お手本を見つけ、会いにいく
ターゲットとの接点作りを開始
自社セミナー・小規模な業界イベントなどで登壇
自分用のプレゼン資料を準備
SNS、ブログなどで情報発信を開始
プレスリリースにコメント、自社サイトで活動内容を掲載
製品に絡めて業界媒体で露出
社内での啓発(自分の役割を明確にし、共有する)
注意ポイント:勝手なコメントをして広報に叱られないよう注意!
社内で妬まれないよう、活動内容やミッションを社内発信しよう!
プレゼン資料が営業資料のままはNG!独自資料を用意しよう!
ステップ3:成熟期
発信を続けていくと、業界内で認知され始め、活動の幅も広がって来ます。取材メディアは業界紙からマス媒体になり、自ら売り込まずとも登壇依頼がやってくるなど、専門家としてのポジションが確立してきます。
これらのニーズを受け止め、積極的に発信の機会を創出し、結果的に自社のサービスやビジョンの浸透を促進すべく、メディアや業界内から「声がかかりやすい存在」になることが大事です。たとえば自身のプロフィールや活動内容、登壇&取材依頼の問い合わせフォームを作り、「この人はこの内容で専門家として話せるんだな」とわかりやすく示すことも有効な打ち手です。
併せて、会社の顔としてのメディア対応や、業界団体との付き合い(場合によっては中心となって牽引する)など、対象とするステークホルダーが増え、関係構築強化が求められます。
一方で、個人としての取材依頼や、ネットワークが広がり、企業としての活動と個人の活動の線引きが難しくなってくるのもこの頃です。業界団体の会合や懇親会などであれば業務の一環といえますが、業界仲間とのバーベキュー、知人の会社の新オフィスお披露目会、エバンジェリスト仲間の出版記念などはどうしたものか。費用が発生する場合に経費を使うのか自腹で賄うのか、個人名義で受け取ってしまった講演料などの謝礼をどう処理するか……などなどの事象が発生しがちです。あらかじめきちんとルールを定めておくのはもちろん、公私混同となって社内で問題にならぬよう、都度判断して曖昧にしないようにすべきです。さらに名前が売れてくると、引き抜きのお声がけも増えてきます。仕事の選択は個人の自由なので、最終的には自分で判断するしかありませんが、不義理とならないよう、あらかじめどうしたいか意志を決めておくと良いかと思います。

POINT:業界団体活動・コンソーシアムでの活動に参加する
メディアに専門家(ソートリーダー)として登場する
マス媒体での寄稿
地方、業界団体からでの勉強会、セミナーでの講演依頼がくる
メディアレクチャーの依頼(業界についての勉強会など)
やってみよう:自分専用サイトを作り、登壇実績、寄稿履歴、登壇依頼フォームを用意する
注意ポイント:社長にKPIを求められても成果を示せるようにしておこう!
うっかり個人で謝礼をもらってしまわないよう注意!
(EightやLinkedInなどのビジネスSNS経由で)競合からスカウトがくる
事業と関係ない地方講演で(移動・宿泊費など)自腹を切ることに!