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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2025 Retail

私のキャリア

大切なのは連続性 「やりたいこと」でつながる私のキャリア

幼少からの音楽キャリアも仕事の強みに

――数ある広告代理店の中で、今の会社に入社した理由は?

 ビーコンコミュニケーションズには、「Viva la difference」という互いの多様性を称賛するカルチャーがあります。選考の際に、新卒や他の代理店出身者、デジタル領域のプロフェッショナル、コンサルティング出身と、多様なバックグラウンドを持つ方がいることを知りました。みんなの経験を組み合わせ、最高のデリバラブルを作ろうという姿勢を、会社から感じたのです。

 また、「Publicis 100」という社内プロジェクトがあります。これは「人生100年と言われる現代だからこそ、多様性を持ってポジティブに生き、ビジネスパーソン以外の肩書きも増やしていこう」という活動です。私は5歳からバイオリンを始め、東京音楽大学付属高校では声楽を専攻しコンクールで賞をいただいたり、オペラも学んでいました。この音楽キャリアをビジネスの中で意識したことはなかったのですが、同僚から「すごくいいよね。越智さんにしかない強みだよ」と言われて初めて、音楽の経験も活かせる可能性があるのかもと思ったんです。そこで名刺には、業務上の肩書きと並んで「Opera&Classic Music Ambassador」と入れています。自分ならではの強みを活かして社会に貢献でき、新しいことを学んでいける環境は、ビーコンコミュニケーションズへ入社した大きな理由となっています。

――現在の業務について教えてください。

 コミュニケーションプランナーとして、担当クライアントから受けたブリーフを基に、消費者・ターゲット層のインサイトや行動、トレンドを調査、分析し、コミュニケーションの設計・提案をしています。インサイト分析は、Face to Faceのインタビューを特に大事にしていますね。また、ソーシャル分析も定量と定性の両方から見て、消費者の本音を知るようにしています。今いるチームでは、営業もクリエイティブもプロデューサーも一緒になり、活発にブレスト会議を行っています。各々の専門領域に留まることなく、みんなでアイデアを出し合いディスカッションするのは、良いカルチャーだと感じています。

 クライアントのパートナーとして、コミュニケーションだけでなく、ブランド自体を定義し、消費者のインサイトを探っていくこともあります。そして、世の中へ伝達していく仕組みをプロフェッショナルな人たちと一緒に作っていくことが醍醐味です。そして、このチームワークの結果としてコミュニケーションが人の心を動かし、ビジネスゴールを達成できて、クライアントに貢献できることが目標です。

世界を広げた選択、価値観を変えた出会い

――ターニングポイントだと感じた出来事は?

 たくさんありますが、まず高校3年生のときにクラシック音楽以外の世界を見たいと思い、同級生全員が音大に進む中で外部受験をしたことです。総合大学に入学し、多くの人から刺激を受けるチャンスを掴めました。もちろん、これまでの音楽キャリアはムダではなく、クリエイティビティに注目が集まりつつある今の時代にこそ、活かせるもの。音楽は生涯のパートナーですから、今も週末にはゴスペルのサークルに参加しているんです。このバックグラウンドから出会った人や出来事が今につながっていると思います。

 特に大きく、自分の価値観を変えられたと印象に残っている仕事があります。それは、CCJC時代に担当した「ファンタ宣伝部」キャンペーンの、デジタル展開です。宣伝部員に、YouTuberのアバンティーズさんをキャスティングしました。最初はYouTuberにはあまり詳しくなかったのですが、彼らのチャレンジ精神や楽しい!を追求する考え方、ファンと向き合う姿勢に心を動かされました。Twitterのペリスコープで生配信を行ったときには、彼らが登場するやいなや、画面がコメントで埋まり、ファンの熱量に驚きました。また、昨年夏のU-FES Musicでは、ファンタ宣伝部の企画として、ハッシュタグ「#この夏やりたい100のこと」を、Twitterトレンド日本1位にしようと試みました。こちらもアバンティーズの呼びかけで、何万人もの若者たちが一生懸命にツイートし、見事1位を獲得することができました。

――ネットのインフルエンサーには、テレビタレントとは違う盛り上がりがありますよね。

 それまでは、デジタル上の企画であってもテレビCMのアセットを横展開するのが一番良いと考えていました。しかしYouTuberは、普段からオーディエンスと向き合い、友だちのような関係性を築いています。コンテンツ作りをお任せしたところ、彼らの文脈で考えたコミュニケーションにより、ブランドロイヤリティが高まる瞬間を何度も目の当たりにしました。彼らの影響力がファンの熱量を引き出し、結果としてブランドへの好意(エンゲージメント)につながっていくのだと実感するキャンペーンでした。自分が今まで思い込んでいた勝ちパターンを崩してくれた出来事だったと思います。

連続性のあるキャリアを築きたい

――仕事をする上で、心がけていることや励みになることを教えてください。

 ターゲットのインサイトを調査し、仮説からアイデアを提案したとき、クライアントに驚きや発見、「やってみましょう」という共感を生み出せるのが嬉しいです。その先に、考えた企画が生活者に受け入れられ、「おもしろかった」「記憶に残った」と言われることも、シンプルに嬉しいですね。アイデアは、ターゲットが「これ、なんだろう」と興味を持つタイミングに特に焦点を合わせています。心が動くことは、「買ってみよう」「手に取ってみよう」という意識が起きる前の、重要な指標です。だからこそ、一番大事にしているのは私自身の好奇心と興味です。

 「自分の世代のことしかわからない……」と言ったら、プランナーとして終わり。ターゲット層の気持ちに寄り添うために、TikTokでもYouTubeでもなんでも体験してみますし、たとえば自分より上の年齢の方がターゲットで自分に経験がないことは、いろいろな人に話を聞き、理解を深めることを心がけています。世の中のニーズやトレンドは日々変化するため、若年層が接するプラットフォームのチェックは常に欠かさず、ときに彼らの気持ちが憑依してしまうほどの没入感を大事にしています。没入感を持って体験すると、まるでその世代のようにブランドやサービスにワクワクするんです。

――これからのキャリアの展望は?

 コミュニケーションプランニングは、人の心を動かすきっかけを作る仕事です。自分の目と耳で世の中の動きを体感することができる醍醐味もあり、この仕事を続けていきたいと思っています。また、グローバルで働きたい気持ちは常にあります。情報がボーダレスな今の時代、生まれ育った国ごとのインサイトよりも、育った時代や環境、得られる情報、経験ごとにクラスタができていると感じているので、国を超えてジェネレーションにアプローチするグローバルなコミュニケーションキャンペーンに関わりたいです。

 私がキャリアを築く上で大事だと考えているのは、連続性です。私のキャリアは、自分が心から「やりたいこと」にすべてつながっています。ブランドから代理店へ転職したのも、やりたいことが代理店側にあったからというシンプルな理由です。

 そもそも、クライアントとエージェンシー、プラットフォーマーやスタートアップという分類の仕方は、既存の固定観念でしかないと考えています。30年後もそうであるとは限りません。私自身に必要だと感じ、やりたいと願う経験を選択していくことで、自分が納得できるひとつの大きなストーリーを作りたいです。ストーリーの結末は誰にもわかりませんが、自分の気持ちを大切に選択していけば、より楽しい未来が待っていると信じています。

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この記事の著者

マチコマキ(マチコマキ)

広告営業&WEBディレクター出身のビジネスライター。専門は、BtoBプロダクトの導入事例や、広告、デジタルマーケティング。オウンドメディア編集長業務、コンテンツマーケティング支援やUXライティングなど、文章にまつわる仕事に幅広く関わる。ポートフォリオはこちらをご参考ください。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

市川 明徳(編集部)(イチカワ アキノリ)

MarkeZine編集部 副編集長
大学卒業後、編集プロダクションに入社。漫画を活用した広告・書籍のクリエイティブ統括、シナリオライティングにあたり、漫画技術書のベスト&ロングセラーを多数手がける。2015年、翔泳社に入社。MarkeZine編集部に所属。漫画記事や独自取材記事など幅広いアウトプットを行っている。
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※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/03/25 14:15 https://markezine.jp/article/detail/30632

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