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CX向上にテクノロジーをどう使う?パルコ、ヤマト運輸、LIFULLが最新事例と活用のポイントを語る

「住まいの検索、引っ越し」をITで楽しく

MZ:ありがとうございます。では最後に、LIFULLさんの事例を教えてください。

野口:私からは、不動産情報サイト「LIFULL HOME'S」での取り組みを紹介します。当社のお客様は、物件情報を登録している不動産会社と、実際にサイトを利用して物件を検索するユーザーの方になります。

 不動産会社向けの顧客体験向上としては、AIによる画像判別機能があります。これまでは物件内の写真を登録する時、玄関なら「玄関」というタグやラベル付けが必要でしたが、この機能なら画像を判別して自動的にタグ付けしてくれるので、登録作業が非常に楽になります。これにより、「それまで40秒かかっていた登録作業が2秒で済むようになった」という評価をいただきました。そもそも登録作業は不動産会社の本業ではなかったので、とても喜ばれています。

株式会社LIFULL LIFULL HOME'S事業本部グループデータ戦略部長 兼 Chief Data Officer 野口真史氏
株式会社LIFULL LIFULL HOME'S事業本部 グループデータ戦略部長 兼 Chief Data Officer 野口真史氏

MZ:なるほど。物件を探す体験についてはいかがでしょうか。

野口:お薦めしたいのは、スマホアプリの「かざして検索」ですね。散歩している時、すてきな物件の前を通りかかったら、このアプリを通じてカメラで建物を見ると、賃貸もしくは売買で出ているかどうか、価格はいくらかということが簡単にARでわかるようになります。

 これは課題解決というより、物件探しの新しい体験として提案しているものになりますね。「家探しが楽しくなる」と、こちらもご好評をいただいています。

「かざして検索」利用イメージ
「かざして検索」利用イメージ

野口:あとはアプリに搭載されている「AR見学メモ」があります。内見にいって、部屋の広さを測ったり、写真を撮ったりする方は多いと思いますが、この機能は、カメラをかざすと当社のホームズくんというキャラクターが部屋の広さを計測してくれる機能です。

 個人的に一押しなのが、これもARを使ったもので、内見に来た方の評価やコメントを共有する機能になります。キッチンや浴室など重要な水回り部分を、家族で評価を共有できれば、物件選びの参考になりますよね。将来的には、そうした評価をネットやアプリで共有できるようになると便利だと思います。推しポイントがあれば、大家さんや不動産会社が事前に書き込んでおくと、より物件に対する理解が深まるでしょう。そこからまた、新しい物件選びの顧客体験が生まれると考えています。

「テクノロジーでできること」を知っておく

MZ:さて、各社のCX向上取り組みについてお伺いしてきました。既に実現している事柄を聞くと、すぐにでもできそうな気がしますが、実際にプロジェクトを進めるに当たっては難しい局面も出て来ると思います。それぞれの経験から、CX向上プロジェクトにおいて、意識すべきポイントはどこにあると考えていますか。

林:CXはやはりお客様に対するサービスの課題が最初にあって、それを解決する手段の一つとしてテクノロジーがあるわけです。この順番を間違えてはいけません。テクノロジーがあるからCXが向上する、というわけではないのです。

 また、こういった取り組みには終わりがありません。常にお客様からフィードバックを受け、改善していくものです。一度サービスを提供するということは、最初の設計からどんどん改善していくという覚悟が必要です

中西:私の意見も中西さんと近いのですが、やはりお客様の体験がベースにあるので、カスタマージャーニーを見失うことなく、迷ったらそこに戻ることがポイントだと思います。

 クロネコメンバーズについても、すべてのお客様にとって便利なのかどうかということを常に考える必要がありますし、それこそ改善の余地はまだたくさんあるはずです。たとえばECで買い物をした時、もっとシームレスな形で買い物から商品受け取りまでのジャーニーが描けるのではないかと考えていまして、これからもその改善に向けて取り組んでいくつもりです。

野口:私もお二人のお考えには賛同しますが、少し違う視点からポイントを述べるとすると、「テクノロジーでできることを知っておく」ということでしょうか。私も日々驚くのですが、「これはできるかもしれない」と思ったことは、最新技術を使えば大抵できます。

 「解決できない」とはじめからあきらめず、常にアンテナを張って、他社事例や技術を知り、調べておくことが必要だと考えます。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/07 07:00 https://markezine.jp/article/detail/30778

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