プラットフォーマーの動画対応と5G
動画マーケティング市場の急成長の背景には、グローバルプラットフォーマーであるFacebookやGoogleの動画対応があると筑波氏は話す。FacebookはInstagramのストーリー機能の強化に注力しており、GoogleではYouTubeの動画戦略を推し進めている。
また、動画マーケティング市場の成長に欠かせない存在なのが「5G」の導入だ。5Gとは3Gや4G LTEの後継となる、次世代のモバイル通信方式のことだ。日本では既に実証実験が進み、2020年の東京オリンピックに合わせてサービスが本格化すると見込まれている。5Gの普及により、動画視聴におけるタイムラグ(再生遅延)の問題が解決され、日常での動画視聴がますます一般的になると期待されている。
アプリのデモを体験する、プレイアブル広告
動画を視聴するデバイスはますますスマートフォンが中心となり、それに合わせ動画のフォーマットもスマートフォン向けに最適化されていくという。
「スマートフォンは基本的に『縦』の状態で視聴されるため、9:16の比率の動画がますます一般的になります。Instagramのストーリー機能から普及し始めた比較的新しいフォーマットですが、横型よりもこちらのほうが視聴されやすく、広告効果も高いことがわかっています」(筑波氏)
スマートフォン向けの動画と親和性が高い広告フォーマットとして近年注目を集めているのが、「プレイアブル広告」だ。プレイアブルの文字通り、「実際に遊べる広告」の形式であり、スマホ向けアプリをデモ体験することで、アプリのダウンロードにつなげることができる。
従来アプリ系の動画広告では、アプリの利用イメージを想起させるようなものがほとんどであり、その結果、いざダウンロードしてみると、実際の内容が思っていたものと異なり、アプリから離脱してしまうというケースがあった。プレイアブル広告は、デモを体験することでダウンロード前と後のイメージのギャップを抑えることができる。
現在はゲーム系アプリやマッチング系アプリでも活用事例が多いが、Kaizen Adでは非ゲーム市場での活用が今後伸びると予測し、数社の先行事例をはじめ、最適なクリエイティブや出し方を検証中だそうだ。
「動画クリエイティブは摩耗しやすいという特徴があり、広告効果が半年続くことはまずありません。しかし、プレイアブル広告は、その中身自体は変えず、冒頭の動画を変えることで効果が長続きしやすい広告フォーマットなんです。一つのプレイアブル広告を作るのにもけっこう制作費が掛かるのですが、それでもペイできるのでアメリカでは既によく見かけるようになりました」(筑波氏)