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行政×テクノロジー「GovTech」はマーケター無双 元リクルート・井原氏が語るやりがいと挑戦


行政手続きのカスタマージャーニーはジャングル状態

 井原氏によると、行政手続きとWebサービスは、本質的にはよく似たスキームを持っているという。市民がある手続きを行うときは、まず検索をして、自分に必要な手続きを一覧から探す。手続きによってはWeb上で行えるので、フォームで情報を入力して送信ボタンを押す。

 この流れは、Webサービスと大差がない。「じゃらん」なら、旅行に行きたいと思ったら、行き先で検索をかけ、宿の情報を一覧から探し、カートに入れて、必要情報を登録して決済を行う。

 だが、行政の場合、そのカスタマージャーニーは決して平坦なものではない。Webで調べてから役所に行こうとしても、難解なお役所コトバに翻弄され、必要な情報にたどりつけない。結局調べることを諦めて市役所に行ったものの、必要な書類を持参していないことがわかり、何度も役所と自宅を行き来したことのある読者もいるのではないだろうか。

 そこでグラファーでは、Web上の「手続きガイド」を開発。鎌倉市が採用を決め「鎌倉市 くらしの手続きガイド」を鎌倉市のWebサイトに掲載した。このガイドを使うと、自分に必要な行政手続きが何で、どんな書類を用意してから、市役所のどのフロアに行けばよいのかがわかる。あたかもSNSの診断サイトのように、いくつかの質問に回答すれば、自分にとって必要な情報が表示される仕組みだ。

鎌倉市に引っ越す設定で試したところ、数分で必要な手続きと荷物がわかった
鎌倉市に引っ越す設定で試したところ、数分で必要な手続きと荷物がわかった

 さらに、市役所に出向いて自分に必要な書類を探して、いちから氏名と住所を記入しなくてよいようにするサービス「Graffer 窓口印刷」も提供。ユーザーは、氏名や住所などを保存しておいて、自分に必要な手続きをあらかじめ登録しておくと、自分専用のQRコードが生成される。

 このQRコードを、市役所にあるプリンターに備え付けてあるタブレットで読み込めば、氏名や住所が印刷済みの書類が出力される。書類を「探さなくていい」「書かなくていい」というのは劇的なUX改善だ。

 戸籍謄本や住民票をWebで請求できるサービスもある。実は、元々これら書類の郵送は自治体で受け付けている。だが、本人確認書類をコピーして、郵便局で定額小為替を購入して、返信用封筒と同封して郵送することが必要だ。不慣れな人なら数時間以上はかかってしまう。

 グラファーではこれら書類の取得と郵送を代行するサービスを提供しており、あたかもアマゾンで本を買うのと同じようなスムーズさで、一連の手続きを行える。

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Webサービスのデータドリブンを行政に持ち込む

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この記事の著者

江川 守彦(編集部)(エガワ モリヒコ)

東京大学文学部を卒業後、総合広告代理店でマスメディアの媒体営業業務を経験し、出版社に転じて人文系の書籍編集に従事したのち、MarkeZine編集部に参画。2018年よりオーガナイザーとしてMarkeZine Dayの企画にも携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/05/16 19:02 https://markezine.jp/article/detail/30856

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