LINEのトークも社内に蓄積、顧客対応履歴共有がスムーズに
さらに、LINEでのコミュニケーション履歴をCRM/SFAに蓄積する仕組みも構築済みだ。具体的には、企業システムとLINEをつなぐ「LINEビジネスコネクト」を活用し、CRM/SFA上でLINEコミュニケーションを取るようにしている。

通常のLINEだと、会話ログはLINE側に残されている。数年前など過去の発言内容を確認するには時間がかかるし、顧客対応のログは個別のLINEアカウントに蓄積されてしまう。
だが、CRM/SFAベースで社内にログを残しておけば、その心配はしなくて済む。求職者へ対する対応の経緯を前任者から引き継ぐ時にも、CRM/SFA側に過去ログがあるとスムーズに進む。加えて、派遣人材の紹介サービスの場合、求職時のキャリアコンサルタントと、実際に勤務開始してからのフォロースタッフが別になるケースがあるが、そうした時でもLINEのログが残っていれば、適切なフォローができるという。
もちろん課題もある。当初想定よりも外出先からのLINE活用が多く、営業担当者からは「社内CRM/SFAに組み込まれたことで、外出先からのレスポンス速度に影響が出る」という意見が聞こえてくるそうだ。こうした点に関しては、セキュアに社外からアクセスできるメッセージアプリを追加開発するなど、営業担当者にとってのUXも重要視していることがうかがえる。
売上までの見通しが良くなり、予算達成の施策を早めに打てる
オフライン行動のデータ化を推進することで、どのような効果があったのか。
人材紹介ビジネスでは、営業プロセスまで含めた生産性向上が事業成長に直結する。オフライン行動のデータ化によりマーケティング活動で獲得した新規顧客がどの程度売上につながるかという将来の見通しが立てやすくなったことで、営業プロセスへの貢献度を上げることができたという。
「たとえば『今日までに面談した人が月内に成約する確率は何%』という見通しの精度が上がると、目標達成までの計画が立てやすくなりますし、営業担当者の対応キャパシティ以上に流入を増やして余らせてしまうリスクも回避できます。いわゆるパイプラインのコントロール精度向上につながります」(松原氏)
オフライン行動データの活用が軌道に乗るなか、今後は新たにどういったデータと向き合うつもりなのだろうか。
いま松原氏が注目するのは、経験を積んだ営業担当者の「読み」だという。「今月の営業売上額がいくらで着地するか」という予測を、ベテラン営業はかなりの精度で当てる。一見、簡単なプロセス別の確率計算で予測できそうに感じるが、実際の営業活動は月末に受注が偏ったり、顧客とコミュニケーションを取ったときの「感じ」や「印象」など数値として捉えにくい定性的な評価がからんでくるので、変数の特定が難しい。
そういった捉えにくい情報をデータ化し、事業活動に活かしていくという取り組みは、松原氏としても今後の目標だと考えている。
顧客や営業担当者のオフライン行動データを取得して、サービスを改善し営業プロセスを効率化することに成功しつつあるレバレジーズ。ベンチャーらしいスピード感で、次はどんなデータドリブンマーケティングを実現してくるのか、目が離せない。
