失恋後のメンタルケアを支援するサービスの登場
こうした中、2019年2月ニューヨークのスタートアップOnwardがローンチした「失恋後コンシェルジュ」サービスに注目が集まっている。
主なターゲットは同棲しているが別れを考えている人々だ。同サービスでは、新しい住居の検索や荷作り・引っ越しに加え、水道・ガス・電気など公共サービスの契約変更、心理セラピストのマッチング、ファイナンシャル・プランニングなど、同棲を解消し、新しい生活を始めるための環境作りを支援している。
現在、期間に応じた3つのサービスプランが用意されている。最も短期の10日プランは割引価格99ドル(通常150ドル)。この他175ドル(通常225ドル)の30日プランと500ドル(通常600ドル)の3ヵ月プランがある。
10日プランに含まれているのは、新居の検索、荷作り・引っ越し割引、心理セラピストマッチング、ファイナンシャル・プランニング、Onwardコミュニティへの参加権。
30日プランには10日プランの全サービスに加え、よりフレキシブルな引っ越し、新居の家具レコメンド、住所・公共サービス契約の変更サポートが提供される。
3ヵ月プランにもなると、クリーニング・ホームデザインサポート、弁護士紹介、ウィークリー・コンシェルジュ、近所のおすすめ施設紹介などが含まれてくる。
Onwardの他にも、注目を集める「失恋後ケアサービス」がいくつかある。
たとえばMendは、失恋後の辛い状態を乗り越えるためのトレーニングプログラムを提供するアプリだ。アプリでは日記を書きながら、創業者のアバターによる「失恋後のデトックス」などをトピックとしたガイダンスを見聞きしていくことで、セルフケア力を高めていく。
Mendは、シリコンバレーのアクセラレーターMuckerLabなどから支援を受けており、既に100ヵ国以上でアプリをローンチ。2018年にはアップル・ベスト・アプリの1つに選出された。
失恋で心を痛めたが同アプリでそれを乗り越えた利用者が、コミュニティメンバーとして戻り現在のアプリ利用者を支援するという、強固なコミュニティ基盤が構築されているという。月額9.99ドルで利用できる。
Mendの女性創業者であるウエルタ氏はニューヨーク・タイムズの取材で、「『失恋』にこれまでつきまとっていた恥やタブーというイメージを消し去ることが個人的なミッションである」と語っている。
この他にもRx BreakupやBreak-Up Bossなどのアプリが失恋後のセルフケア力を高めるサービスを提供している。Rx Breakupは30日のプログラムを通じて、自己嫌悪に陥らない方法や感情・気持ちの切り替え方を学んでいく。
OnwardやMendなどサービスの数はまだ少ないが、失恋後ケアへの潜在需要は非常に大きく、今後「別れ」にフォーカスしたサービスが増えてくることは十分に考えられるだろう。
