3人の現役CMOがキャリアパスとマインドセットを語る
後半のセッションは、インサイトフォースの山口氏がファシリテーターを務め、コメ兵の藤原氏、トランスコスモスの佐藤氏、FOLIOのリュウ氏が登壇。「最前線で活躍するマーケターに学ぶCMOに必要なキャリアパス」をテーマに、登壇者たちが自らのキャリアパスやマインドセットについて語った。

(右)FOLIO 取締役 CMO リュウシーチャウ氏
藤原氏は、自らがCMOに至るまでのマインドセットとして大切だったことを二つ挙げた。一つは「人と違うことをやる」ということ。実際に藤原氏のキャリアを振り返ると、1年目でジュエリー営業部門に配属されたものの「その他大勢と同じではおもしろくない、何か違うことをやろう」と考え、当時募集のあったEC担当に手を挙げている。
もう一つは、自分のやりたいことをやり切るという意志だ。藤原氏はECを担当し始めてからというもの、自ら声をあげて、情報システム部門、マーケティング部門、そして広告宣伝部門全体と、マネジメントする領域を少しずつ増やしてきた。その経験から、「マーケティングは時にセルフィッシュにやらなければいけないこともあるので、陰で何を言われても動じない、という姿勢が大事なこともあります」と語った。

リュウ氏はP&Gへ入社後1年目から、当時売り上げが低く誰も手を挙げなかったブランドを一人で担当。マーケターとしては見習いレベルでありながら、ブランドマネージャーの役割を求められる環境で、大いに鍛えられたという。その後は転職をしながら、数々の消費財ブランドをマネジメントしてきた。
そのようなキャリアを歩んだリュウ氏だが、CMOというポジションについてあまり考えたことはないという。「この部分にもトライしてみたい」「私だったらこうするのに」と思っているうちに、担当領域が広がっていき、カントリーマネージャーやCMOに就任した。現在は、これまでの経験から遠い領域にチャレンジしようと、フィンテック企業のCMOとして4Pのすべてを見ているそうだ。

またリュウ氏は、自身の考え方を大きく変えた経験として、社会人2年目の時の上司との会話を挙げた。
「とても頑張ったはずなのに、その期間の人事評価が『B』でした。納得できず上司に聞いたら『よくやってくれているけれど、あなたには一つだけ足りない。それは結果だ』と言われたのです。その時から、ビジネスを伸ばすためにはどうすればいいか、売り上げにインパクトをもたらすにはどうすればいいかを真剣に考えるようになりました」(リュウ氏)