3人の共通点「スキルドリブンではなく、目の前のことを成し遂げる」

(右)インサイトフォース 代表取締役 山口義宏氏
続いてトランスコスモスの佐藤氏は「CMOになるためには起業、それがすべてです」と断言した。起業するとPLやキャッシュフローを見る経験が得られ、三年くらいで自らの力量に応じたCXOへの道が見えてくるという。
またCXOを目指す近道として、「これまでにないポジションを自分で作る」ことを勧めた。佐藤氏自身も、トランスコスモスでは置かれていなかったCMOのポジションを提案したという。
「既にプレーヤーがいるポジションはリプレイスになってしまうので、新たに作ったほうがいい。会社に必要とされるCXO像と、そこに到達するにはどうすればいいか考えて行動していくという方法は有効だと思います」(佐藤氏)

ファシリテーターの山口氏は、三者の話の共通点を「スキルドリブン」でないことだと指摘する。
「3人の共通点は、スキルドリブンではなく、まず目の前のことを成し遂げたいという意欲があること。そのために手を動かしたり、折衝したりということをされています。
売上や収益への貢献という観点で考えた時、70点のスキルを100点まで上げるというのは、選択肢の一つに過ぎません。専門領域のスキル以外にも、成果を上げるために大切なことはたくさんあります。
たとえば、横串で連携している他の部署の人たちの理解を得ることや、承認を得るためにマネジメント層の視点や判断軸を理解すること、折衝できるだけの人間関係を構築することも重要です。また自身が最先端の深い知見をもっていなくても、それを理解し、判断できる程度の知識があれば、スペシャリストたちとの協働を通じて、その知見を活用することも可能になります」(山口氏)
山口氏が強く訴えたのは、ビジネスはスキルを競う場ではなく、成果を求める場であるということ。「ゴールを見据えそこにコミットする姿勢」「あらゆる選択肢を総動員する視界の広さ」がポイントだと語った。
これに対して登壇者たちも、「必要に迫られて取り組むうちに、スキルは上がるもの」「マーケティングで必要なスキルは、状況によって違う」などと同意した。
最後に会場へのメッセージとして、登壇者たちは一言ずつ次のように語った。
「結果、結果と言ってきましたが、日々それだけを考えて仕事をしているわけではありません。マーケターとして大事にしているのは、消費者や企業などのお客さんに対して正しい行動をとること。そしてポジティブでいること。この二つがあれば、なんとかなります」(リュウ氏)
「自分の部門以外の人と仲良くなることが重要です。目の前の仕事に必死な人が多いのですが、横の部署の人とちょっとしたコミュニケーションをとるようにする。『あいつはいいヤツだな』と思ってもらえたら、相談やよい話が集まってくるようになります」(佐藤氏)
「自分の役割や範囲から一歩外に出て仕事をする、ということを常に考えましょう。それを一生懸命やっている人が成功している気がします」(藤原氏)
「今はCMOやブランドマネージャーではなくても、自分がもっている仕事の一つひとつの結果にこだわることが重要です。私はキャリアについてテクニカルなフレームを作って話していますが、それは最後の1、2割のスパイスのような要素。残りの8割を占めているのは、目先のことで信頼を得て結果を出すことです」(山口氏)
会場からの質問も相次ぎ、様々な角度からマーケティング責任者の在り方が検討された同イベント。「Marketing Native」では、今後も継続的に同様のイベントを開催していく予定だ。