Instagram活用における5つの専門領域
――Instagramをはじめ、基本的にはオーガニック運用から広告出稿まで、簡単にセルフサーブ型で行えるのが、SNS広告の大きな特徴です。具体的にはどんなタイミングやフェーズに差し掛かった際に、企業はパートナーの活用を検討すべきでしょうか。
南:ひとつ検討すべきポイントとしては、コミュニケーションのボリュームを増やしたいときやよりスケールさせたいとき。パートナーの力を借りることで、自分たちだけではできない規模のキャンペーンを展開するなど、規模を担保することができます。
また技術的なことに関する知見やノウハウをもっているパートナーと組むという視点も大事です。たとえば、Instagramに限らず、日々様々な広告商品が増え続ける中、新しい機会に乗り遅れないためにキャッチアップしていくのは大変です。また多様なプラットフォーム全てについて、理解を深めるのも、簡単ではありません。さらにメディアの分散化が進むにつれて、広告会社が必ずしも全てのメディアに精通しているとも限らない状況もあるかと思います。パートナーの知見を借りることで、マーケターはやりたいことだけにフォーカスでき、新しいことにチャレンジすることが可能になります。
――Instagram活用において、「オーガニック運用」「ショッピング(EC)」「クリエイティブ」「広告運用」「効果測定」といった5つ専門領域が存在するとのことですが、各領域においてセルフ活用で可能なこと、パートナーの支援を得てチャレンジ可能なことをお話しいただけますか。
南:「クリエイティブ」ですと、他社との差別化を図ったり、何が一番効果的なのか知見をひとつずつ試すのも重要ですが、あらかじめそうした知見をもっている方と組んだほうが、より広い知見を得られるしスピーディーに結果にたどりつける確率は高いです。
たとえばInstagramにおいて、「Instagramストーリーズ」は特徴的なフォーマットのひとつです。ご存知の通り、ストーリーズは縦型のため、必ずしもこれまでと同じクリエイティブアプローチで対応しきれず、ストーリーズに最適化したクリエイティブを作成できるパートナーを求めているマーケターの方も多数いらっしゃるでしょう。
ベストプラクティスを蓄積している方がいるほうが、失敗の確率を下げられますし、より成功例にならって始めることで上手くいくこともある。自分だけでは出てこなかったアイデアや新しい切り口が出てくることもありますね。
トライしていく過程において、「効果測定」の必要がありますが、売上結果だけで見ていくには限界がありますし、本来出ている効果を見逃してしまうと、せっかくのマーケティング予算の投下先を見誤ってしまうこともあります。なので、FacebookやInstagram以外のプラットフォームと同時にキャンペーンを組む時は、包括的な効果検証など含め、媒体ごとに異なる特性を理解しているパートナーを選定することが大事です。実際、横並びで効果を測定する完璧なモデルは限られているものの、その中で最も堅実な調査を設計できるパートナーを選定することで、効果測定を正しく行い、より成功に近づくことができるはずです。
――「広告運用」に関しては、自動化が進んでいると思うのですが。
南:はい。「広告運用」に関しては、優秀なAIによって自動で最適化できる仕組みができていますが、そのときに「シグナル」という、行動履歴を拾い上げてパターンを分析最適化する信号が必要になります。それをうまく拾ってくるためにピクセルやSDKなどのタグを仕込むのですが、個人でやるハードルは高い。それを効率よく運用できるツールやスキルをもっている方と組むことで、解消できたりアドバイスをもらえたりします。出ている効果を見逃さないようにしたり、より正しいシグナルを拾ってくることで最適化の精度も高められるでしょう。
「ショッピング(EC)」も同じで、シグナルが必要になりますし、自分たちでカタログを作っていくことはリソースがかかるので、それをサポートしてくれるパートナーと一緒に組むのはおすすめです。
――「オーガニック運用」に関しては、利用者として投稿するのに慣れていれば自分たちで運用できるのではとも思うのですが。
南:そうですね。でもだからこそオーガニックの運用は難しくもあります。
大事なのはそのブランドが持っている価値を伝えていくことです。そこに共感してもらってつながっていくと思うので、そのためにもブランドがどういうポジショニングにいて、どういった点が他との差別化ポイントなのか、ビジネスとして商品を売っていくための基本的なブランド戦略が研ぎ澄まされていることが重要ですし、それがはっきりしているブランドは、何を見せることでつながっている利用者たちが喜ぶのかがわかっているので、投稿内容に迷いがなく、見ていて楽しいですね。
この伝えていくべきブランド価値について、マーケターがきちんと考えて、それを手伝ってもらうパートナーを探すことになるので、一番任せきりにできない領域でもあります。