一日も何度もチェック ユーザーの生活に溶け込むInstagram
――消費者とのコミュニケーションに、Instagramを活用することは一般的になりました。かつては女性マーケティング向け施策に有効なイメージがありましたが、今はInstagramユーザーの年代層も広がり、幅広い施策に活用されるようになっていると伺っています。あらためて、Instagramを活用する理由について教えていただけますか。
南:Instagramの国内利用者は順調に伸びており、現在月間アクティブアカウント数は3,300万を突破しています。その速度はハイペースで、今後も伸びていくと予想できます。
今の好調な成長を支えている理由としては、多様な人が使っているプラットフォームであることが大きいでしょう。Instagramというと、かつての若い女性が使うプラットフォームのイメージが強いかもしれませんが、現在男女比は半々に近づいてきていて、利用者の年齢層も幅が広がってきています。
また、単なる流行りではなく、生活に根付いたプラットフォームになっているのも特徴です。自分にとって気になるモノや大切な人をフォローしている利用者が多いので、いつ見ても自分の欲しい情報がInstagramにある状態。なので、利用者は1日に何度もInstagramをチェックするのが習慣になっていたり、生活の一部として溶け込んでいるのです。
――確かに友人とコミュニケーションをとるように、Instagramを頻繁にチェックする習慣がついている方は多そうですね。
南:加えてFacebookは人ベースの、「人と人」とのつながりを目的としたプラットフォームなのに対し、Instagramは「人と人」だけではなく、「人と興味・関心(好きなこと)」もつなげるので、ビジネスとの関わりも自然な形でできます。
なので、これからInstagramを使って顧客とつながっていきたいと考えている場合、Instagramで生活者とつながることで自然な形で新しい情報を伝えたり、より多くの顧客を見つけることができるでしょう。同時に、利用者の80%が何らかのビジネスアカウントをフォローしているというデータがあり、これはビジネスからの情報発信に好意的な顧客にリーチできることを示しています。
あとはフォーマットに多様性があって、表現の方法をビジネス目的に合わせてその時々で使い分けできるのでブランドを構築しやすいのも魅力です。当初は、Instagramで訴求するには完成されたインパクトあるビジュアルが必要というイメージがあったかもしれませんが、最近では静止画だけでなく動画も一般的で、投稿したコンテンツが24時間で消える「Instagramストーリーズ」では瞬間をカジュアルに捉えて共有したり、昨年6月に新たにローンチされた「IGTV」では最長1時間ほどの長尺動画も取り込めるようになっていたりと、フォーマットが進化を続けています。
――自然に消費者とコミュニケーションが取れる、かつ常に最新情報を生活者自らが求めてやってくるプラットフォームはなかなかありません。企業側がInstagramで情報を出していないことは、今や機会損失に結び付く可能性もありそうですね。
広告も利用者が求める情報のひとつになる
――いざ実際に企業がInstagramを活用していくとなると、ただアカウントを開設すればいいわけではありません。活用にあたって、どういう姿勢で取り組むべきでしょうか?
南:Instagramだから何か特別に、ということはありません。自社が提供する商品やサービスそのものを素直に伝えるのが良いのだと思います。
Instagramには色々なフォーマットがあるので、情報や目的に適した形で上手く使い分けたり、ある程度の頻度で情報を流していかないと、そもそも目に留まる機会が少なくなってしまいます。個々の情報にどのフォーマットが合っているかを判断し、色々な形でリフレッシュして消費者の目に何度も留まる形を作っていくのが重要です。
多くの利用者に情報を届けていくには、上手に広告を用いて認知を獲得していくことも重要です。Instagramを見ている利用者は新しい情報を求めにきているので、広告が邪魔なものでなく求めている情報のひとつとして上手く溶け込んでくるのです。
加えてFacebookやInstagramは、人ベースで「誰が何に興味を持っているか」を端的に把握して、広告運用を調整できます。利用者の興味と広告とをマッチングすることで、広告自体を新しい発見につなげることが可能なのです。