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MarkeZine Day 2025 Retail

ソーシャルネイティブ、「Z世代の本音」を探る

Z世代、正しく理解できていますか? マーケターが理解しておくべき「Z世代の消費行動」のリアル


Z世代の中でも少数派(4人に1人未満が共感する)消費行動は?

 最後に、共感度で25%未満。Z世代の4人に1人未満しか共感はしないが、世代をあらわすような特徴のある消費行動をピックアップしてみよう。

モノは所有したくない(24%が共感)

 若者のシェア志向は当然のように語られてきたが、実は「ものを所有したくない若者」はマイノリティで、4人に1人ほどしかいない。一方で、買い物好きなZ世代は70%を超えており(出典:消費者白書2016)、他の世代よりも多い。ファストファッションの影響などで購買単価が下がり、消費金額は高くないが、Z世代の多数派はショッピングが大好きなのだ。シェア志向は、社会貢献意識が高くミニマリストの傾向を持つ若者、後述する「省エネペシミスト」の特性と考えられる。ちなみに、ショッピングが好きな理由をZ世代の子たちに聞くと「インスタで友だちの写真みると欲しくなる」という意見が多い。能動的に検索しなくとも目に入ってしまう。ここでもソーシャルメディアの影響が大きいようだ。

写真をとるために食事や旅行にいく(22%が共感)

 おいしいものを食べるためではなく、映える写真を撮るためにお店にいく。そんな「インスタ消費」はZ世代の典型的な消費トレンドとしてあげられることが多いが、これも実は少数派で、5人に1人ほどしかいないことがわかった。“みんながうらやましがるネタを求めて遊ぶ(34%)”回答が少ないのも同様の傾向と言えるだろう。ちなみに「インスタ消費」は、後述する「ソーシャルよいこ」の特性と考えられる。トレンド大好き、インスタ大好き、でも炎上がこわいのでよいこに振る舞う若者たちだ。年齢が若くなるにしたがって「ソーシャルよいこ」の比率は高まっており、特に女性に多いのが特徴だ。

ご飯、買い物、イベントはすべてSNSで友人と共有する(21%が共感)

 “「自分がない」ことはかっこ悪いと思う(55%)”若者が多数派であることからもわかるように、ソーシャルネイティブであるZ世代は「承認欲求に駆られる自分の行動」を冷静に分析していることが多い。むしろ、その反動で「リアルな生活を大切にしたい」という意識を持つ若者が増えてきたように感じる。これは「アナログ」を大切にする感覚にも通じるものだ。SNSはなくてはならない情報の大動脈なのだが、一方で“SNSでつながっていることを息苦しく思う(39%)”。ソーシャルネイティブの意識変容がうかがえる、興味深い傾向である。

少数派の分析に役立つ、Z世代の4タイプ

 米国発の「ジェネレーション」という概念は、15年の間に生まれた人たちを括った非常に大きな枠であり、その傾向もゆるやかに変化していくものである。この雲のようにあいまいな世代特性を一定のカタマリとして把握するために、3,000人の若者からの回答をクラスター分析したところ、以下の4つのタイプに分類できることがわかった。

参考記事:Z世代、価値観の異なる4つのタイプ
参考記事:Z世代、価値観の異なる4つのタイプ

 前述した通り、「SNSでの頻繁なシェア」や「インスタ消費」の志向を持つのは「ソーシャルよいこ」の特性であり、「モノを所有しない」のは「省エネペシミスト」の特性といえる。Z世代における「少数派ではあるが明確な消費特性」を理解するためには、基本的な価値観が異なるこの4タイプをベースにした分析が有効であろう。

 次回は、この4タイプを深堀することで、より深くZ世代の消費行動やSNS行動の実態に迫っていきたい。

補足資料

(注1)…調査の概要について
調査手法 :講義受講学生に対してアンケート用紙を配布して無記名で記入してもらう
調査対象 :学習院大学講義「企業経営とソーシャルキャピタル」受講者
                配布枚数445名、うち有効回答枚数350枚
調査日時 :2017年5月21日
回答者属性:大学3、4年生(年令分布は20〜23歳)
回答項目 :2016年〜19年の同講義における学生回答をもとに「Z世代のルール40問」
                 として集約。それに「新村社会のルール9問」を加えて合計49問とした
選択項目 :「そう思う」「ややそう思う」「あまりそう思わない」「そう思わない」
特記事項 :アンケートでは世代間の変化を見るために、回答項目に「Y世代のしきたり」
                 を回答項目に加えたが、語尾によるニュアンスを統一するために意味を大切
                 にしながら、やわらかい表現に変更した。たとえば
               (元)弱っている仲間を励まさなくてはいけない
               (新)弱っている仲間がいれば励ましたい

 

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この記事の著者

斉藤 徹(サイトウ トオル)

株式会社ループス・コミュニケーションズ 代表
学習院大学 特別客員教授/イノベーションチームdot アドバイザー

ソーシャルシフト提唱者として、透明な時代におけるビジネス改革を企業に提言する。2016年から学習院大学特別客員教授に就任。Z世代の学生とともに、革新的な学生組織「イノベーションチームdot」<...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2020/10/04 23:43 https://markezine.jp/article/detail/31963

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