Twitterで会話を生む価値とは?
山岸氏のセッションで、Twitterでの会話をマーケティングに活用する上でのポイントは理解できた。しかしながら、活用することでブランドにとってどのような効果が生まれるのだろうか。この点について説明してくれたのが、Twitter Japanリサーチマネージャーの竹下洋平氏。同氏は「定性的・定量的に見たTwitterでの会話の価値」について、Twitter Japanが調査分析してきた結果と考察をもとに明らかにした。
定性調査として行ったのが、個別インタビュー。子どもがいる主婦数名に、企業のツイートや広告を見たときにどう思うかを尋ねた。その中では、「企業のツイートを見ると親近感が湧く」、「他では得られない情報が商品購入に役立つ」、「Twitterの広告を会話のネタにして話をする」といった声が挙がってきた。
定量調査に関してはいくつか実施されており、その中の一部が紹介された。まず、インテージが提供する「SCI(全国消費者パネル調査)」を使ったデータ関係性分析では、実際の商品購買データとTwitterの関係性を分析している。調査に利用したのは、「NTTデータの全量ツイートデータ」「Twitter広告データ」「インテージのSCIデータ・気象データ」の3つだ。
このデータをもとにとある炭酸飲料Aに関して、ツイート・広告直接間接効果推定 (構造方程式モデリング)という手法を利用し、どの要素が何に影響しているか因果関係で分析したところ、関連するTwitter広告が炭酸飲料Aに関するオーガニックツイートの発生に影響があること、更にそれらのツイートが実購買に影響があることが証明された。
また、Twitterでの会話を誘発する広告メニューの効果測定も実施している。広告接触者・非接触者間で広告効果の違いを計測した事例では、カンバセーショナルカードを用いたキャンペーンを行った結果、広告接触者のメッセージ想起や購入意向の向上に影響していることなどがわかったという。
これらのことから、Twitter上での会話量を増幅させることがマーケティングにおいて実購買にもポジティブな影響をもたらすことが明らかになった。
そして最後に、竹下氏はTwitter上でブランドに関する会話を高いコスト効率で増幅させる秘訣を明らかにした。その秘訣を具体的に示すデータがカンター社の「DBA(デジタル・ビヘイビア・アナリティクス)調査」を利用したものだ。
同調査はツイートが効率的に発生する出稿パターンを比較分析するもので、これを用いて、テレビCMだけ出稿した期間、テレビCMと同時期にTwitter広告を出稿した期間で、それぞれの期間に発生したブランドに関する対広告費のツイート発生効率を比較。テレビCMとTwitter広告とのシナジーを分析した。
すると、どのブランドもテレビCMとTwitter広告を同時に出稿している期間が、ブランドに関する会話が最も効率的に発生したことが証明された。つまり、テレビCMとTwitter広告を連動させることができれば、よりブランドに関する会話を増幅させることができるのだ。竹下氏も「会話を増幅させるためにテレビCMとTwitter広告の出稿時期とクリエイティブを合わせるべき」とした。