データマーケティングの成否を分ける要因は?
データマーケティングプラットフォーム「b→dash」を提供するフロムスクラッチは、堤真一さんとおぎやはぎさんをキャスティングしたテレビCMの放映をスタートした。放映後には問い合わせが数千件も殺到したという。
同社に連絡した企業の多くは、過去にデータマーケティングの挫折を経験していた。同社がこれまでに展開してきた「データマーケティングで起こりがちな失敗」を描いたCMは、企業が抱えている問題そのものだったようだ。
「データマーケティング」と検索すれば、無数の成功事例がヒットする。しかし、同社に寄せられた数多くの相談からわかったのは、表に出ていないだけで、失敗している企業も多数存在するという事実だ。成功企業も失敗企業も同じようにツールを導入し、データを活用したマーケティングに取り組んでいるはずなのに、なぜ明暗が分かれてしまうのか。同社はこの要因を探るべく、ある調査を実施。本セッションではその結果を基に、データマーケティングの本質が明かされた。
成否を分けた要因は、マーケターの○○の使い方
同社はまず、様々な規模・業界の企業から、1年以上データマーケティング関連のツールを運用した経験のある150社を抽出し、匿名を条件にツール導入後の業績変動率を調査。すると業績が2倍に伸びた企業もあれば、逆にマイナスに転じた企業もあり、二極化していたことがわかった。
この「差」を生んでいる要因を突き止めるべく、業績を伸ばした企業15社と、逆に伸び悩んでしまった企業15社に対して、インタビューを実施。様々な角度から質問を重ね、データを蓄積した上で、仮説を立てて検証を進めた。そこで見えてきたのは「当初まったく予想していなかった結果」だった。
同社が最初に立てた仮説は、「扱えるデータ量が多ければ多いほど、データマーケティングは成功しやすいのではないか」というもの。データが豊富であれば施策のバリエーションを増やすことができるため、結果的に成功しやすいのではないかというロジックだ。しかし、データ量と業績推移に有意な相関関係は見られなかった。
次に軸としたのは予算だった。「ツールにかけられる予算が多ければ多いほど、うまくいくはず」と考えたが、こちらも相関関係は存在せず。スタッフの多さやリテラシーの有無など、一般的にデータマーケティングの成功を左右するとされる要因を次々に洗い出し、検証してみたが、どれにも相関関係は見られなかった。
その後も様々な角度から検証を繰り返した末に、ようやくある仮説が当たったという。
「1つだけ、強い相関関係が見られる項目がありました。マーケターの時間の使い方です。具体的には、データの“活用”、つまり戦略を描き、企画・実行することに十分な時間をかけることができているか、それともデータの“準備”の作業に時間を割いてしまっているのか。これが大きなポイントでした」(三浦氏)
より詳しく見てみると、業績が伸びなかった15社のマーケターが、データ活用に費やした時間は3割前後。一方、業績を伸ばした15社は7割程度の時間をデータ活用に充てていた。三浦氏は、「端的に言えば、マーケターが作業員になっているか、戦略家になっているかの違いです」と検証結果を表現した。
とはいえ、多くの企業は当然、マーケターは戦略家であるべきだと認識しているはずだ。それにも関わらず、なぜマーケターは作業に忙殺されてしまうのか。続いて三浦氏は、データマーケティングを実現するステップを紐解くことで、そのからくりを解説した。