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不安だらけのマーケティングオートメーション導入、失敗しないために知っておくべきことは?

 マーケティングオートメーション(MA)の認知が広がり、ツールを導入する企業が増えてきた。一方で、うまく活用できずただのメール配信ツールになっている、あるいは放置状態にあるという声も聞こえてくる。導入を検討している企業でも、どんな準備をして運用していけば失敗しないのか、不安な点が多いかもしれない。今回、MarkeZineが開講しているMarkeZine Academyで「MAツール活用講座」を担当してきた株式会社24-7の草皆直人さんに、MAツールを導入するとき気をつけたいことについてうかがった。

導入前提で製品選びに迷っている状態は危険

 草皆さんは24-7にて企業がMAツールを導入する際のサポートを手掛け、戦略の立案や運用を支援してきた。MarkeZine Academyではこれまで2回の講座を実施しているが、MAツールを導入したあとにどう活用していけばいいか困っている受講者を想定していたところ、むしろ導入の検討段階にある受講者が多かったことに驚いたそうだ。

MAツールとは?

メール配信などのマーケティング施策の一部を自動化するツールを総称したもの。その機能は幅広く、自社Webサイト(オウンドメディア)から見込み客情報(リード)の獲得、獲得したリードの選別、選別したリードに対する接触(コミュニケーション)、商談化までの一連の流れを支援してくれます(「あなたの悩みも募集中!MAなんでも相談室」より)。

 受講者の1人に話を聞いたところ、上司にMAについて情報収集してほしいと言われ、参加したという。社内ではすでにMAツールを導入する運びになっており、現場で運用する予定の担当者がMAツールについて知るために受講した形となる。そうした状況にあると「どの製品を選定すべきか」という情報収集がメインになりがちだが、草皆さんはそれが導入後の失敗に繋がりがちだと話す。

「MAツールは導入すればそれだけで何かが改善するものではありません。使うことを前提にするのではなく、自社のマーケティングや営業においてどんな課題があり、それをどう解決すべきかを考えたときに、ソリューションの1つとしてMAがあるという考え方が必要です。

 マーケティングであれば、質の高いリードが少ないからその数を増やしたいということが考えられます。営業であれば、フィールドセールスでは新規リードが取れない、商談化の確度が低いといった課題を改善したいでしょう。MAはそういう課題に対して役立ちます」

 そうした課題を認識できていないと、最適な製品も選べないと草皆さんは指摘する。特に強調するのは、自社の課題解決にそもそもMAが最適なのかもよく検討しなければならないということだ。どうやってその判断をすればいいのかは企業ごとの状況によるので一概には言えないが、実はMAは必要なかったと導入後にわかって無駄な出費となるのは避けたい。

 よくある失敗例として、MAツールの導入後もメールの一斉配信しかできていない企業が意外と多いと草皆さんは話す。

MAツールはコンテンツとセットで

 MAはよく「リードが少なすぎると活用できない」と言われる担当者もいるだろう。だが、リードの件数よりもスコアリングなど、つまりリードが商談化する確度をつけられていないことのほうが問題だという。また、リードが少ないなら増やす施策を行えばいいので、MAツールを導入してかつリードを増やすのがおすすめだそうだ。

アクションの一例
リードの確度の定義と、アクションの一例。

MAツール活用講座ではこのような定義の考え方や、スコアリングの実施方法を基本から解説する。

 リード獲得の施策として効果的なのがコンテンツの活用だ。BtoB企業やBtoC企業を問わず、オウンドメディアを運用し、見込み客にとって役立つ情報を提供するケースが多くなってきている。

「リードを増やすには、どんな形であれ顧客になる人たちにとって有益なコンテンツを提供し続けることが大切です。いろんな切り口のコンテンツが揃っていれば、その分だけ興味を持ってくれる人と接触する機会も増えます。コンテンツがないと自社サイトには来てくれるきっかけがありませんし、そうなるとフィールドセールスで名刺を獲得するだけという旧来的な営業活動からも抜けられません」

 草皆さんによると、MAツールの運用とコンテンツ提供は両輪の関係にあるという。しかし、MAツールを導入するからといって必ずしもブログ型のオウンドメディアを運用しなければならないわけではない。

「実際に弊社に相談してくださった方もブログ型のオウンドメディアを運用されようとしていたんですが、市場規模からすると想定されるリードが少なく、費用対効果が悪そうなのでやめておいたほうがいいとお話ししました。コンテンツを作ること自体は間違いではないものの、ブログ型のオウンドメディアまでになると継続的な運用が必要になりますから、そのコストに見合う市場規模でないと難しいと思います」

オウンドメディア以外でもコンテンツを活用する

 市場規模に加えて、これからMAツールを導入しようと検討している企業に「リード獲得にはコンテンツも重要でオウンドメディアが必要」とアドバイスしても、ノウハウのない企業がいきなり両方を実施するのは現実的ではない。とはいえ、MAツールを導入するからには何かしらの方法で継続的にリードを獲得したい。その点は導入を検討中の企業も不安に思っているのではないだろうか。

「コンテンツが必要ない企業もあります。たとえば、トレンドや話題になりやすいサービスを発表すると市場での注目度が自然と上がり、口コミでもお客さんのほうから勝手に来てくれるというパターンです。ただ、そういう企業は少ないので、やはりコンテンツから興味を持ってもらうことが必要になる場合が多いですね。

 オウンドメディアの継続的な運用にリソースを割けない場合、MAツールを導入して最初にやるといいのは問い合わせフォームの置き換えです。フォームから申し込んでくれた人がサイト内でどういう行動を取っているのか、送ったメールにどんな反応をしているのか。まずは既存の見込み客がどのような行動を取っているかを把握するのが重要です。

 それがわかると、今度は『コンテンツを提供したらどういうアクションをしてくれるのか?』という興味が湧くと思います。そうすると、フォームから資料をダウンロードできるようにしてみる、営業活動の際に口頭や資料で話す内容をeBookにしてみる、といった施策につながっていきます」

 MAツールを導入するときにフォームの改良など小さなところから手をつけるのは、MAによる実益だけでなく、試験運用としても有望で、本格的な導入に向けて社内を説得するデータを得ることにつながる。導入前だとシミュレートするしかない費用対効果も、たとえ規模は小さくても実践してみることで実データが手に入る。また、数字以外の面では、MAツールでできることを実体験することで社内のモチベーションが高まる効果が期待されるという。

製品の違いよりも自社の課題を認識することが重要

草皆直人さん
草皆直人さん:株式会社24-7 取締役COO

 草皆さんがMarkeZine Academyで担当する「MAツール活用講座」は、第3回も予定されている。

 ここまでの内容がより詳細に解説されるだけでなく、MAツールを導入する前と導入したあとに何をすればいいのかが体系的に説明される(なお、MAツール導入後によくある課題に関してはMarkeZineでの連載「あなたの悩みも募集中!MAなんでも相談室」で整理されている)。

 たとえば導入前には、見込み客のペルソナを作成し、カスタマージャーニーを描かなければならない。そうしないと見込み客がどの段階でどんな情報を必要としているのか、MAツールがそこでどう役立つのかを想像して戦略を立てるのが難しくなる。また、そもそも自社のマーケティングと営業においてどんな課題があるのかも明確にしておく必要がある。講座ではその課題の見つけ方や、MAツールでの解決方法について草皆さんが丁寧に解説してくれる。

 一方で、「MAツールの導入を検討していてどの製品を選ぶべきか迷っている」といった質問だけだと回答が難しいという。自社の課題解決にマッチする製品を見つけることが重要で、課題を明確にできていないとMAツールの特長や価格の比較に終始してしまう。最適な製品を選択するには、課題を明確にすることが重要だ。

「MAツール活用講座」について、草皆さんはできるだけインタラクティブな講座にしたいそうで、そのために自社でMAツールを利用する際の課題や疑問を持ってきてほしいと話す。他の参加者に聞かれたくない内容でも、質疑応答や休憩時間に相談してもらえばなるべくお答えしたいとのことだ。自社でどんな課題があるのかを洗い出して講座に望めば、得られるものも大きいはず。

 MAツールの導入前後で悩みがある方は、ぜひ「何を解消したいか」という目的をもって講座に参加してみてはいかがだろうか。

MAツール活用講座

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この記事の著者

渡部 拓也(ワタナベ タクヤ)

 翔泳社マーケティング課。MarkeZine、CodeZine、EnterpriseZine、Biz/Zine、ほかにて翔泳社の本の紹介記事や著者インタビュー、たまにそれ以外も執筆しています。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/11/14 07:00 https://markezine.jp/article/detail/32097

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