SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第99号(2024年3月号)
特集「人と組織を強くするマーケターのリスキリング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

業界キーパーソンと探る注目キーワード大研究(AD)

BtoB ECサイトで受注単価20%アップの成果も プラスとビズネットが取り組む商品検索機能向上

 プラスとそのグループ会社であるビズネットは、運営しているBtoB ECサイトにサイト内検索・EC商品検索エンジン「ZETA SEARCH」を導入。細やかなチューニングにより法人ユーザーのニーズに応える検索精度向上を実現している。今回、プラス ジョインテックスカンパニーの松村利朗氏と伏下拓希氏、ビズネットの森下英治氏、そしてZETAの出張純也氏と濱松雅氏にサイト内検索エンジン導入と運営のポイントについて伺った。

法人ニーズに応え、成長する2社

MarkeZine編集部(以下、MZ):まず、それぞれのビジネスについてと、サイト内検索・EC商品検索エンジン「ZETA SEARCH」を導入したサイトについて教えてください。

松村:私と伏下のいるジョインテックスカンパニーは、プラスグループ内でオフィス用品・サービス等の流通事業を展開しています。プラスの製品だけではなく、様々なサプライヤーの商品やサービスを仕入れて販売しているというところが特長です。

プラス株式会社 ジョインテックスカンパニー 執行役員 デジタルイノベーション推進部 部長 松村利朗氏
プラス株式会社 ジョインテックスカンパニー 執行役員 デジタルイノベーション推進部 部長 松村利朗氏

松村:「ZETA SEARCH」を導入したサイトは4つあります。まず、販売店様向けのオフィス用品卸購買サイト『JOINTEX Web』。それから、企業向けのオフィス用品通販サイト『スマートオフィス』。学校・幼稚園・保育園向けの通販サイト『スマートスクール』。そして、介護・福祉施設向けの『スマート介護』です。

 『JOINTEX Web』は、月間約500万PV、MAUは約5万、売上としては約150億(年)という規模感です。『スマートオフィス』は月間約200万PV、約6万ユーザー、売上100億円(年)。『スマートスクール』は月間約120万PV、約4万ユーザー、売上100億円(年)。最近はじめた『スマート介護』が月間約40万PV、3万ユーザーで売上10億円(年)という規模に成長しています。

森下:ビズネットはプラスの子会社で、流通を担当しているというところではジョインテックスカンパニーと同じなのですが、大企業に特化し、単なる物販だけではなく間接材の調達まで一括サポートするような事業を行っています。

ビズネット株式会社 取締役 サービスイノベーション本部 本部長 森下英治氏
ビズネット株式会社 取締役 サービスイノベーション本部 本部長 森下英治氏

森下:ビズネットの運営する『Biznet SOLUTIONS』では約3万アイテムをビズネットカタログ品として展開し、扱っているアイテムは、ジョインテックスと仕入れ、調達、物流を共有化しています。文具、オフィス用品を中心に扱ってきましたが、近年ではお客様のご要望にお応えし、建築現場で必要になるヘルメットや、保険会社さんで使われる申込書など、クライアント企業様固有の副資材を倉庫に預かり、WEBで受注してお届けする物流サービスの「ついで便」も展開しています。

 最近、注力しているのは「外部カタログ連携」です。外部のECサイトさんと連携し、ビズネットを介して各サイトにある商品を調達できるという仕組みです。現在約10社と連携し、合計約3,000万アイテムまで広がっています。それ以外にも、「外部カタログ連携」の仕組みをより簡素化した「マーケットカタログ」もあります。サプライヤー企業さんは自社の商材を「マーケットカタログ」のプラットフォームに登録するだけで、ビズネット上の「専門店街」に自社店舗が開設できるというものです。

ビズネットの「外部カタログ連携」と「マーケットカタログ」
ビズネットの「外部カタログ連携」と「マーケットカタログ」

探している商品を見つけにくいという課題

MZ:「ZETA SEARCH」導入前にあった、商品検索における課題感とはどういったものだったのでしょうか?

松村:同じキーワードに紐付いたものでも本体商品、消耗品、関連商品が存在するという関係で、ユーザーが探している商品を見つけにくいという状態が長年続いていました。例えば「ボールペン」と検索された場合、本来は「ボールペン本体」を先に出すべきですが、「ボールペン替芯」のほうが先に出てきてしまう不具合です。細かなところでは、検索絞り込みの補助機能がないということもありました。それは、元々、4サイトとも、商品検索に特化してない、通常のテキスト検索、全文検索のエンジンを使っていたためです。

森下:ビズネットも同様で、旧来は基幹システムにデータベースがあり、商品検索もその上で動いていました。それなりに精度向上の工夫は行っていたのですが、チューニングにも手間がかかって抜本的な解決には至っていませんでした。

本格導入の前に実力テストを実施

MZ:ソリューションの選定にあたって行ったことや、比較した点は?

松村:「ZETA SEARCH」については本格導入の前に実力テストを行いました。先ほどの「ボールペン」という事例も含め、本体、消耗品、関連品が複雑なキーワードを20個程選定して、どう改善できるかを競合サイトとも比較しながらテストしました。結果、目標としていた競合サイトと比較しても、未チューニングの状態で精度の高い結果が出たことで、導入を決めました。精度以外でも、レスポンスに関しては本当に速いですね。他のソリューションも検討はしましたが、運営体制やコスト面から「ZETA SEARCH」を選びました。

森下:松村さんから、導入状況は聞いていましたし、他と比べてコストパフォーマンスやチューニングの手間がかからないということから私どもも「ZETA SEARCH」を採用しました。

 ビズネットのサービスの特長として、ご利用いただいている企業に合わせたアイテム群を出し分けているということがありますので、商品検索エンジンにもその出し分けに対応できることが必須条件となります。その上でも、レスポンスに問題はありませんでした。

出張:商品検索エンジンに求められるレスポンスには2つの種類があると考えています。一つは、検索という行動をしたときにどれだけ速くその結果が返ってくるかということ。もう一つは、商品情報を書き換えたときに、どれだけ速くサイトに反映できるかということ。「ZETA SEARCH」では、このどちらでもご満足いただける結果を出せていると自負しています。

ZETA株式会社 執行役員 シニアエンジニア 博士(情報科学) 出張純也氏
ZETA株式会社 執行役員 シニアエンジニア 博士(情報科学) 出張純也氏

濱松:チューニングについても、当社では専任のエンジニアが行っています。他社の場合ですと、例えば管理画面だけを提供して、導入企業様側でチューニングしていただく形が多いと思いますが、数万アイテムから商品結果を期待通り表示するのは、それですとやはり難しいですよね。どこをチューニングすれば期待通りの結果になるかという勘どころは、やはりエンジニアが持っていますので。

ZETA株式会社 シニアエンジニア 濱松雅氏
ZETA株式会社 シニアエンジニア 濱松雅氏

日々のチューニングでパフォーマンスを向上

伏下:私はジョインテックスカンパニーで商品・カタログ情報の管理と合わせてサイト改善にも取り組んでいます。例えば、「水」と検索される場合、多くは「ミネラルウォーター」を指していると考えられます。しかし、従来は「水」で検索すると「水色のマーカー」が上に出てしまうということがありました。こういったことはお客様から直接ご指摘いただくこともあり、「私どもとして出したい商品はここのカテゴリーにあるこういった商品です」ということをZETAさんにお伝えしています。

 また、検索ログをZETAさんのほうで集計し、毎月レポーティングしていだたいています。よく使われているワードに対して、自分でも実際にサイト上で検索してみて、想像している商品がきちんと出てくるかという地道な確認作業も行っています。

プラス株式会社 ジョインテックスカンパニー メディア制作部 WEB制作課 伏下拓希氏
プラス株式会社 ジョインテックスカンパニー メディア制作部 WEB制作課 伏下拓希氏

森下:ビズネットの場合は、この企業様の場合はこの商品をお薦めしたいというものが結構あります。例えば推奨品というグループがあり、そこにあるものを検索結果の上位に出てくるよう重み付けしてもらうなどしています。

ビズネットでは受注単価アップの成果も

MZ:改善の成果としては、どういったことがあるのでしょうか?

伏下:今年の1月から6月の半年間で、100以上のキーワードの調整を行いました。そこに紐付く約3,000のアイテムに影響を及ぼしています。これが、顧客体験の向上や売上の変化にどうつながっているかの効果測定についてはこれからの取り組みとなります。

森下:コールセンターへの問い合わせ項目の中に、「探している商品が見つからない」というものがあります。「ZETA SEARCH」の導入後、この項目に関する問い合わせが40%ほど削減できました。また、年に1回、顧客満足度調査も行っています。導入前は33%だった満足度が、導入後では57%までアップしています。

 「ZETA SEARCH」の導入とともに、サイトリニューアルも行いましたので、総合的な成果となりますが1回あたりの受注単価もかなり上がっています。以前は、1万5,000円ほどだったのが、現在は1万8,000円から2万円になっています。

濱松:検索結果の0件ヒットを減らすという取り組みも行っています。検索結果が0件だと、ユーザーは離脱してしまうからです。ユーザーの欲しい商品が検索結果に表示されないという、検索エンジンが期待に応えられていない点に対して、どのように対処をしていくかというのは結構大きな課題なのです。

3つの要望と展望

松村:今後「ZETA SEARCH」をさらに活用していくにあたり、要望があるのですがいいですか?

出張:はい、なんでしょうか?

松村:3つありまして、1つ目は検索キーワードの候補リスト表示です。文字を間違えて入力した場合に「もしかして○○○ですか?」などと自動で返すいわゆるもしかして検索です。2つ目は「ホチキス」と「ステープラー」を同じと判断できるような、類語辞典をオプションでも用意して欲しいと考えています。3つ目はBtoBならではなのですが、企業ごとの商品の表示制御です。ビズネットでは実装していますが、かなりカスタマイズ開発を行っていると聞いているため、同じことをするとなるとコストが見合わない恐れがあります。取捨選択はこちら側でやるので、結果だけを返す仕組みを用意していただくなど、検索結果の連携方法について何か新しい方法が欲しいと考えています。

出張:もしかして検索・辞書登録はもちろんですが、「ZETA SEARCH」は様々な機能を備えておりますのですぐにでも対応していきたいと思います。その他のご要望も含めてご期待に添えるよう引き続き努力していきます。

MZ:今後取り組んでいきたいこと、構想などはいかがでしょうか?

松村:とにかく「探している商品が見つからない」というクレームを減らしていきたいですね。

伏下:「そんなワードで検索されているんだ」というものはまだまだ出てきます。そのワードでどういった結果がでているのか自分でも試してみるのですが、今は手作業で確認しているところがあるので、そこをサポートしていただけるようなツールがあれば、私自身のリソースを使って他のことにも注力できると思います。

松村:既に知られているところですが、Amazonでも私どもと競合するBtoB領域の事業に着手していますし、サイト内検索のところにも相当な投資をしていると思います。そういったところと差別化していくためにも、ZETAさんにお力添えいただきたいと思っています。

森下:ビズネットには「外部カタログ連携」と「マーケットカタログ」というものがあるとお話しましたが、今は残念ながら商品検索はカタログごとに行う形になっています。これを横断検索できるようにしていきたいと思っています。

出張:私どもとしてもただ言われるままに開発していくだけではなく、事業主様とより寄り添う形でコンサルティング的なサポートをさせていただければと思っています。「サイト内検索で困ったことがあったらまずはZETAに相談」、そういう存在を目指していきます。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • Twitter
  • Pocket
  • note
関連リンク
この記事の著者

MarkeZine編集部(マーケジンヘンシュウブ)

デジタルを中心とした広告/マーケティングの最新動向を発信する専門メディアの編集部です。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2019/10/24 11:00 https://markezine.jp/article/detail/32116