動画キャンペーンを成功させる3つのポイント
ユーザーの消費コンテンツが動画へと移行していることから、今後、企業による動画活用はますます活発化していくだろう。では、動画によるプロモーションで成果を出すためには、どのような点を意識すればよいのだろうか。鈴木氏はTikTokのユーザー動向を踏まえ、これからの動画キャンペーンにおいて重視するべき3つのポイントを紹介した。
「前提として、情報もモノも飽和している今の時代、多くの消費者は基本的に満たされています。そんななか、ユーザーとのコミュニケーションのフックになるポイントは、どのようなものでしょうか。私は、3つのポイントの頭文字を取り、『WTF』という考え方を提唱しています。『What the fXXk(なんてこった)!』と覚えてください」(鈴木氏)
W=Wish
ユーザーとのコミュニケーションフックとなるポイントの1つ目として鈴木氏が挙げたのは「Wish」。つまり、「より良い社会にしていきたい」というような、高次元な願いを掲げることだ。実際、TikTok上でも「社会貢献」「社会課題の解決」をキーワードにしたキャンペーンが好評だという。
T=TRY
2つ目のポイントは「TRY」、つまり挑戦を消費者に提供することだ。たとえば、TikTokの人気ハッシュタグのひとつに、「ペットボトルキャップチャレンジ」というものがある。これはボトルのキャップをまわし蹴りでゆるめて落とすというもので、国内のみならず海外でも多くのユーザーが挑戦している。では、なぜこのようなコンテンツが人気を集めるのか。鈴木氏は、「あらゆるものに充たされ安定した現代において、気軽な達成感は嗜好品のような存在なっている」と考えを述べる。
「達成感を得られることは、ある種、嗜好性の高い経験です。日常ではなかなか味わえない、達成感を得る体験を求めている方が増えているようです。とはいえ、何時間もかかるような難しい挑戦を求めているわけではありません。30分~1時間くらいで達成感を味わえるような、カジュアルな体験設計が重要です」(鈴木氏)
程よい難易度のダンスやアクションに挑戦する「ハッシュタグチャレンジ」は、TikTokのメインストリームとなりつつある。
F=FUN
3つ目のポイントは「FUN」だ。これは、いわゆる一般的な「楽しさ」とは異なると鈴木氏。大人の価値観で見ると一見意味のなさそうな、“気まぐれ、思いつき、ナンセンスだけどおもしろい”コンテンツが反応を得られやすいのだという。また、「“見たくなる”だけでなく、“真似したくなる”コンテンツであることがポイント」と鈴木氏は話す。
「モノが溢れ、情報も多方面から流れてくる今、多くの消費者の基本的な欲求は満たされています。能動的に商品を求める機会がほとんどないため、WANTSやNEEDSなど、従来の購買行動のフレームワークが通用しなくなりつつあるのです」(鈴木氏)
従来の常識に囚われず消費者と向き合い、彼らの感情の機微をどれだけ読み取れるかが、新時代の成功を分ける1番ポイントかもしれない。