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メディアに最適なクリエイティブを科学するCCI×Quark tokyoがMEDIATORを設立した訳

 CARTA HOLDINGS(電通グループ)のデジタル広告関連事業者であるサイバー・コミュニケーションズ(CCI)と動画を中心としたオンラインコンテンツの戦略立案などを手がけるQuark tokyo(クォーク トーキョー)が、8月20日付けで合弁会社「MEDIATOR(メディエイター)」を設立した。両社の実績を背景に、どのような事業を手がけるのだろうか。Quark tokyo 取締役 兼 MEDIATOR 代表取締役であるオノダタカキ氏、CCIから参画した加藤雅康氏、森井慧氏、佐々木智氏に話を伺った。

メディア基点でクリエイティブを考える会社を

MZ:まず、どのような理由で合弁会社の設立に至ったのでしょうか。

森井:以前、MarkeZineでも記事になっているエースコック様のTikTok施策Quark tokyoと協業していたのですが、Quark tokyoは、「若年層のインサイトからクリエイティブを作っていき、メディアに最適なアウトプット」を行っていました。これを目の当たりにしたとき、この部分だけを抜き出したらビジネスとしてニーズがあるのではないかと考えました。

MEDIATOR マーケティングプランナー 森井 慧氏
MEDIATOR マーケティングプランナー 森井 慧氏

オノダ:Quark tokyoのクライアントの方からも「YouTubeをどうやって攻略しよう」「Instagramの広告活用はどうしたらいいのだろう」といった声はどんどん大きくなってきていました。僕個人としても、いろいろなメディアに対してクリエイティブを企画制作していく中で、本当にこの話法がこのメディアにおいて正しいのだろうかということに、疑問を持ち始めているところでした。

 そうした中、CCIから「メディアを基点にクリエイティブを考える会社を一緒に作りませんか」というお話を頂きました。今までQuark tokyoのクライアント様との取り組みにおけるデータを蓄積し、A/Bテストなどを行ってきましたが、CCIとMEDIATORを立ち上げることで、CCIの持つ膨大なデータやノウハウと僕らの持つユーザーインサイトなどの知見を掛け合わせることができると思い、今回の新会社設立に至りました。

加藤:ここ1年ほどの間に、メディア基点でクリエイティブを考えたいという要望がかなり多くなってきました。CCIでは広告配信などに関する膨大なデータやノウハウを持っていたものの、体系化はできていなかったです。MEDIATORではその体系化を進めるとともに、クライアントの支援に活用していきたいと考えています。

佐々木:こうした、メディア基点でクリエイティブを考えるというビジネスは、まだ誰も思いついてなかったのではないかと思います。私としても、メディアに出稿して結果が出ないときに、「クリエイティブが合わなかった」という言葉が出ることがとても多くなってきたと感じていました。多分、理由がわからないからそういう話になるのではないかと思います。

 現在は、パフォーマンスをどう改善するかという課題や、運用に重きが置かれがちですが、もっと前段階の、クリエイティブに着眼していく必要があると日々の業務で感じていました。それがMEDIATORに参画したきっかけです。

MEDIATOR マーケティングプランナー 佐々木 智氏
MEDIATOR マーケティングプランナー 佐々木 智氏

各プラットフォーマーに強い精鋭が集結

MZ:MEDIATORは、現在何名体制で活動しているのですか。

オノダ:現在は5名で活動しています。今回インタビューを受けている4名に加えて、もう1名プランナーの水野がいます。

MEDIATORのメンバー。左上:女性のお名前記載をお願いします。中央のパンダ:Quark tokyo取締役 兼 MEDIATOR 代表取締役 CEO オノダ タカキ氏 右上:森井 慧氏 左下:佐々木 智氏 右下:MEDIATOR マーケティングプランナー 加藤 雅康氏@
MEDIATORのメンバー。左上:プランナー 水野 詩菜氏
中央:Quark tokyo 取締役 兼 MEDIATOR 代表取締役 オノダ タカキ氏
右上:森井 慧氏
左下:佐々木 智氏
右下:マーケティングプランナー 加藤 雅康氏

MZ:では、オノダさん、森井さん、加藤さん、佐々木さんの得意分野をお聞かせください。

オノダ:誰かが僕を初対面の人に紹介してくれるときには、「日本一若年層マーケティングに詳しい人です」と言っていただくことが多いですね(笑)。

森井:私はCCIでメディアの売上を最大化したり、新しくメニューを作ったりするというサポートをメインの業務として長年やってきました。主にTwitterとFacebook、Instagramを担当してきたので、オールラウンドに対応できるのが強みです。

加藤:ここ1年ほどは、CCIでTikTok案件の対応をしていました。私はTikTokの鬼として、どう活用すると最適な効果が出るのかというところは自信を持ってコンサルティングし、ソリューションを提供していきたいと思っています。

佐々木:CCIでは営業として、代理店・クライアントに対する最適なメディアプランの提案を行っていました。MEDIATORでも私の強みである突破力を活かして、メディア基点の提案を行いたいと考えています。

同じ人でも見ているメディアによって人格が異なる

MZ:各メディアに合わせたクリエイティブ設計をする上で、何が必要になりますか。

オノダ:そこにいる人と彼らのインサイトを知ることです。今までペルソナを作成するとき、具体的な人物像を作ってきたと思います。しかし実際には、同じ人がInstagramとTwitterではまったく別の人格になるなど、見ているメディアで異なる人格を持っています。

 実際にあるプロジェクトでは、TwitterとInstagramに同じ画像やテキストを投稿したところTwitterだとめちゃくちゃ叩かれたのに、Instagramではすごくほめられたという経験があります。おそらく、見ているのもほぼ一緒の属性の人たちだと思うのですが、メディアの特性によって適した話法がぜんぜん違ってくるということです。

森井:これまではそのメディアにどういうユーザーがいるかというのは、年齢や年収、職業、未婚か既婚かといった情報から考えられてきました。しかしこれからは、「そのメディアでどういう人格形成がされているのか」というところがすごく重要になってくると思います。

MZ:そうしたインサイトに気づいているマーケターは少ないのですか。

オノダ:そのことに多くのマーケターも気づいているのですが、どうしたらいいかわからないというのが現状だと思います。コミュニティごとに話法を変えて広告クリエイティブを作るのは難しいんです。というのも、話法を変えて各コミュニティに迎合することと、一貫性を持ってブランドを維持することが相反しているので、そのバランスを取る難易度が非常に高いからです。

佐々木:MEDIATORは、CCIが持つ大量のデータの知見とQuark tokyoが持つクリエイティブのノウハウを活かして、インサイトとデータの両面から、各メディアに合わせたクリエイティブ設計を実現していきます。

注力メディアを選出し、徹底的に攻略し尽くす

MZ:MEDIATORではどのメディアに対応しているのでしょうか。

オノダ:半期に1度、注力メディア5つを選出し、基本的にそのメディアしか売らないというスタンスにしています。2019年下半期は、YouTube、Instagram、Twitter、TikTok、AbemaTVが注力メディアです。

 広告主あるあるの「YouTubeのマストヘッドとTwitterのプロモトレンドのどちらに出稿するかで悩む」も、どちらに出すのが正解かプロジェクトの目的と期待する効果を頂ければ即答できます。その他にも、目的やタイミング、ターゲットに合わせて選択すべきメディア、用意すべきクリエイティブの答えがすぐ出せるよう、日々試行錯誤をしています。最適なメディアプランニングに加えて、各メディアに合ったクリエイティブが用意できるのは、我々ならではの強みだと思っています。

MZ:メディアの特性に合わせて用意すべきクリエイティブの一例をご紹介いただけますか。

加藤:たとえばTikTokは、若年層向けで、ダンスをやっている女子高生が多いというイメージを持たれていると思います。しかし、最近ではユーザー層も拡大してきており年齢層も広がってきました。また、インカメラで自撮りをするのが主流だったところから、アウトカメラによる撮影も行われるようになってきました。コンテンツもダンスだけでなく、風景や料理に関するものも増えつつあります。

佐々木:今までTikTokを使ってマーケティングをする際には、曲を用意して振り付けをつけて踊らせるのが定番になっていましたが、ユーザー層が変化したことによって、他にも使い道がいっぱい出てきます。僕らは、その中でどうやっていくかということを目的に応じた様々な角度から提案していきます。

今、最も効果を高めるストーリーズ広告の最適解とは

MZ:では、具体的にどのようにして分析・検証を行っているのでしょうか。

オノダ:たとえば、学生をターゲットにした本編6分ほどのドラマ仕立てのミュージックビデオ風動画を撮影し、YouTubeで配信しました。

 Instagramのストーリーズ広告にも掲載するにあたり、どういったクリエイティブがよいのかを検証しました。ストーリーズは基本的に24時間で消えるため即時性が高く、消えてもいいというモチベーションでアップされることが多いので、一般ユーザーの投稿はワンカット・ワンシチュエーションのものが一般的です。

 しかし、企業の広告クリエイティブはきちんと編集されているので、広告色が強く違和感が出てしまう。よって今回は、(1)複数カットで編集したYouTube用の動画をそのまま縦型にしたもの、(2)複数カット・ワンシチュエーション、(3)ワンカット・ワンシチュエーションの3パターンを配信しました。

MZ:結果はどうでしたか?

オノダ:一番効果が高かったのは、(2)複数カット・ワンシチュエーションのパターンでした。他にも、画面内に映っている風景と人物の占有面積についても検証しました。顔のアップと引きで風景も写ったものとを比べた結果、圧倒的に顔のアップの効果が高くなりました。

 つまり、現在のストーリーズ広告の話法としては、広告レベルのクオリティは担保しつつも、少ないカットやシチュエーションにするなど、「一般ユーザーの投稿動画に寄せ、できるだけ人の顔がアップで入ること」がよいと言えます。

広告運用者からもっとクリエイターを生み出したい

MZ:最後に、今後の展望をお聞かせください。

森井:特にFacebookやTwitterなどが顕著ですが、機械化が進んで機能が発達しすぎたことで、運用面でなかなか差が出なくなってきています。そうなったときに、差をつけられるのはクリエイティブの部分だと思います。MEDIATORではそのためのノウハウをロジカルに説明し、メディアコンサルタントとしての役割も担えたらと思っています。

オノダ:広告代理店のクリエイティブディレクターの方などには、ぜひうちのメンバーの知見を使ってもらえたらと思っています。あともう一つ伝えたいことがありまして。僕のキャリアはSEMコンサルタントとしてスタートしていて、ぜんぜんクリエイティブじゃないんですよ。

 そこからいろいろな方に出会って様々な案件に関わらせていただいた結果、今はクリエイティブディレクターとしてテレビCMも年間で6本ほど作らせてもらっています。

MZ:広告運用者からクリエイター、夢がありますね。

オノダ:SEMや運用型広告、メディアプランニングをしてきた人たちは、広告業界の中でクリエイティブは花形で、自分たちは日陰だと思っていることがずっと疑問でした。でも、SEMからスタートしても、目の前の課題と10年向き合い続ければCMを作るなど、自分が提供できるソリューションの幅は広がると思うんです。

 MEDIATORという名前には、メディアを熟知している人はクリエイターになれるし、クリエイターを超えられるという意味を込めています。メディアプランニングや運用型広告をやっていて、自分はもっとクリエイティブなことをしたいと思っている人は、話をしたいのでぜひ遊びに来てください。一緒に運用型広告担当の地位を復権しましょう。僕がそうした人たちにとってのケーススタディになりたいと思っています。

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2019/11/28 12:00 https://markezine.jp/article/detail/32331