※本記事は、2019年11月25日刊行の定期誌『MarkeZine』47号に掲載したものです。
株式会社ヤプリ 島袋孝一氏
2004年商業ディベロッパー「パルコ」入社。店舗リーシング・販促宣伝、経営企画室を経て、2013年よりデジタルマーケティングに従事。2016年総合飲料メーカー「キリン」に入社。グループを横断するデジタルマーケティング部に所属。LINE公式アカウント、SNS運営に従事。2019年1月より「ヤプリ」にマーケティングスペシャリストとして参画。
Q1.最近、いちばん感銘を受けた書籍とその理由は?
洞田貫晋一朗さんの『シェアする美術森美術館のSNSマーケティング戦略』です。ここ数年、小生自身も、著者と同様にいわゆる「(SNSの)中の人」を仕事の一部としてきたことや、オンライン(ネット広告やEC)が主戦場のビジネスフィールドではなく、オフライン(実店舗やイベント)が職務の中心だったことが、共感の大きなポイントとなりました。
本書では、著者が「美術館」という施設への集客に際し、SNSを「ツール・手段」の1つとして、トライ&エラーを繰り返し、生活者との輪を醸成しながら、着実に成果を出されてきた様子を追体験することができます。
過去にも「SNSマーケティング」にまつわる書籍は多くありましたが、宣伝広告費を潤沢に投資できる大手メーカーなどの成功例の羅列や、SNSコンサルティング企業、あるいはデジタルマーケティング専業企業の視点で書かれたものが多く、「事業者」が主語で書かれた書籍はほとんどありませんでした。本書の最大のポイントは、著者自身が、ある意味「本業はSNSのプロ」ではないけれども、実務の最前線で取り組まれていたことが、記録として記されている点です(なんとありがたいことに、成功談だけでなく、「失敗に終わったトライ」に関しても率直に書かれています)。この書籍、ぜひ多くの「中の人」の企業担当者に読んでいただきたいです。