GiftX 飯髙悠太さんのおすすめ
『ビジネスの未来 エコノミーにヒューマニティを取り戻す』は、ビジネスはその歴史的使命を終えつつあり、そのうえで未来に向けて生きていくかを説いています。テーマが難しいですし、内容も難しいものかもしれないので、普段から読書をしない方にとっては「???」となってしまうかもしれません。書籍では経済成長とテクノロジーの力によって、物質的貧困を社会から無くすというミッションは終わったと主張されています。それを読者がしっかり受け止め、理解することが重要な1冊かと思います。
「便利さ快適さ」は既に多くのことで解消されており、今後どこを目指すか? の問いが重要です。より一層、時代は人間性に根ざして動く社会になるという本書の考えは、今の私のキャリアにとっても考えさせられるものです。
株式会社GiftX Co-Founder 飯髙悠太氏
2014年株式会社ベーシックにて、マーケティングメディア「ferret」を立ち上げ、執行役員に就任。2019年株式会社ホットリンクに入社し、執行役員CMOに就任。2022年7月に「ひとの温かみを宿した進化を。」をテーマに株式会社GiftX共同創業。自著は『僕らはSNSでモノを買う』、『BtoBマーケティングの基礎知識』、『アスリートのためのソーシャルメディア活用術』。
MERY 斉田裕之さんのおすすめ
大学院で哲学研究に没頭していた自分が、「自分みたいな人間でも社会の役にたつかもしれない」と思えた本。サントリー学芸賞をとったばかりの本書が、梅田の紀伊国屋書店で白く眩い光を放っていた光景を、今でも覚えている。
カッコつけたり、かわい子ぶったりするテクニックのデザインは、デザインではない。ホントのデザインとは何か? と、デザインという概念をリ・デザインしようとする本。装丁そのものもデザインについて意識された、デザイン論のど真ん中の本だが、24歳の私はコンセプト論の本だと受け取った。
印象的なのは、無印良品の話。無印良品のコンセプトは、「これ“が”いい」ではなく「これ“で”いい、の最上級」と置かれており、その考え方ですべてのデザインが統合されている、と。とかくブランドは、他社と差別化するために「これがいい、これじゃなきゃいけない」と嗜好性を誘発するアプローチに進みがちだ。他方、ユーザーに「これでいい」程度の満足感を与えることにも大きな可能性がある。無印良品は「これでいい」と思われるブランドの最上級を目指そうというのだ。衝撃的だった。
「ことば」と「考え方」を扱う哲学というジャンルをやっていた自分が、コンセプトとデザインを通すことで、社会とつながる道筋があるのかもしれない。そして、この直感は正しかった。今、コンセプトワークを軸にしたリブランディングプロジェクトや、ブランドクリエイティブを生み出す人間になれていると、少しだけ思えるから。
株式会社MERY 執行役員 CBO(チーフブランドオフィサー)/クリエイティブディレクター 斉田裕之氏
2007年に博報堂入社。2021年4月から現職。MERYの事業イノベーションとリブランディングを行いながら、同時に様々な企業のマーケティング/クリエイティブにも携わっている。新聞広告賞大賞、JAAA広告論文賞、ACCなど受賞。
良品計画 篠原佳名子さんのおすすめ
DXが当たり前になり、全てのマーケターはもはや広告宣伝中心ではなく、総合的なビジネスプロデュース力(特にデジタル)が求められる時代になりました。
私たちはIT・情報システムやSIerのような、これまで関わりが薄かった領域の方とも対等に会話し、自身の企画・戦略を実行する必要が出てきています。そのような時、本書はサービスやシステムを作る時の一般的なプロセス設計やドキュメントアウトプットイメージをかなり明確に持たせてくれる、実務家に最適な本です。
私はこの本を読むことで、ITや情報システム、Slerのみなさんと一緒に部門横断型のプロジェクトを推進することができました。この本のおかげで成果が出せたと言っても過言ではありません。
株式会社良品計画 EC・デジタルサービス部 企画課 篠原佳名子氏
2022年より良品計画 EC・デジタルサービス部にて、“顧客視点のOMO”をテーマにサービスデザイン・コミュニケーション設計・UI/UX改善に取り組む。社外では公益社団法人 日本アドバタイザーズ協会 デジタルマーケティング研究機構 幹事にも就任し、デジタルが当たり前になった世界でのマーケティングの実践研究やセミナー運営を行う。これまではTwitter、トリドールホールディングスにて、マーケティングコミュニケーションの領域で戦略立案と実行を推進。
ケラッタ 下村祐貴子さんのおすすめ
『蒼穹の昴』は貧しい村で生まれた少年が気遣いや想像力、共感力によって周囲に認められ、西太后を支える存在になっていく物語です。運命に縛られないチャレンジをする姿に、今も勇気をもらっています。意志さえあれば、努力を続けられれば、目指す姿になれる。そんなマインドを本書から学びました。
また、西太后は悪女のイメージがありますが、作中では彼女の優しさや孤独も描かれています。その姿に触れることで、有名な経営者や上司など自分にとって雲の上の存在だと感じる相手も「普通の人間」なのだと考えられるようになりました。
たとえば、新卒で入った外資系企業で百戦錬磨のGMに対してプレゼンをする際もそうでしたし、現在、執行役員として立場のある方とお会いする際も、様々な準備をして臨みますが、やはりどこかでプレッシャーを感じます。その際に相手も普通の人だと考えることで落ち着いて話せています。
MOON-X株式会社 執行役員 CCO
ケラッタ株式会社 CEO
下村祐貴子氏
2002年神戸大学発達科学部卒後、P&Gに入社し、広報・渉外部で「パンテーン」などを担当。2010年シンガポール転勤、ヘアケアやプレステージ香水などのアジア地域広報、「SK-II」グローバル広報としてPR戦略をリードし、4ブランドでシェアNo.1に貢献。2016年 Facebook Japan広報統括執行役員コーポレート・ブランド・マネタイゼーション全ての広報を統括。ダイバーシティリードとしての取材実績も多数。2020年 執行役員CCOとして、MOON-X株式会社に参画し、BITOKA(スキンケアブランド)を創立。2022年 ケラッタ株式会社 代表取締役社長 CEOに就任
白メガネ 野崎大輔さんのおすすめ
『大きく考えることの魔術』は自己実現や成功への道を模索するデジタル時代のマーケターにとって、有益な気づきがたくさん記されています。
キャリア設計は目標設定や計画策定が重要ですが、それだけでは十分ではありません。本書は、自己認識や自己肯定感を高め、自分自身を見つめ直すことにより、能力や可能性を最大限に引き出すことを提唱しています。
また、常にポジティブな思考を重視し、失敗や挫折を経験しても、前向きに取り組むことが大切だと説いています。キャリア設計においても、失敗や試行錯誤は避けられないものですが、それらを学びと捉え、次に活かすことが重要なので参考になるでしょう。
総じて、『大きく考えることの魔術』は、自己啓発書の中でもキャリア設計に役立つ内容が多く、自己成長や自己実現を目指すデジタル時代のマーケター人々にとって、必読の書と言えます。
株式会社ホワイトグラッシーズ 代表取締役 野崎大輔(白メガネ)氏
デジタル時代におけるサステナブルなキャリア設計を支援する白メガネ。専門は広告・マーケティング・インターネットサービス領域の転職&副業エージェント。リクルートの人材ビジネス、博報堂DY系アイレップ等を経て独立。YouTube「白メガネTV」はじめました。
アタラ 杉原剛さんのおすすめ
20代の頃、半導体メーカーに転職し、それまでの営業職からマーケティング職に初めて就いたのですが、トレーニングを担当してくれた当時の日本代表が受講者全員に配ってくれたのが、このマーケティングのバイブルといわれる名著『ポジショニング戦略』でした。
それまでに触れたことがない概念だったので衝撃を受け、マーケティングに開眼したきっかけになったと言っても過言ではありません。書かれた当時とは市場環境もかなり違いますし、四象限の手法論も賛否ありますが、根本のメッセージである「顧客の心の中に特有の位置を占める」というのは、マーケターにとって今後も大事な考え方かと思います。
アタラ合同会社 CEO 杉原剛氏
KDDI、インテルでコンサルティング営業、マーケティングに従事。オーバーチュア(現ヤフー)、グーグルの広告営業戦略立案に携わった後、アタラ合同会社を創業し、代表を務める。広告運用・デジタルマーケティングの自走化、BIツールを使ったデータ活用の自走化を実現するコンサルティングを行う。2019年にスイスIMD(国際経営開発研究所)のLeading Digital Business Transformationコースを修了。