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生活者データバンク

完全自動運転社会の到来が生活者に届ける体験価値とは

 今後期待される完全自動運転の実現。本稿では、完全自動運転が実現された未来に対し、生活者が何を期待しているのかを調査し、その背景を探った。

※本記事は、2019年12月25日刊行の定期誌『MarkeZine』48号に掲載したものです。

現実味を帯びてきた完全自動運転

 自家用車はハンドルを握り運転するもの、そんな常識が近々書き換えられるかもしれない。自動運転の実用化だ。「CASE※1」の文脈下で、各完成車メーカーやTier1と呼ばれる一次サプライヤーが自動運転技術の研究開発に注力しており、自動運転に関するニュースを目にしない日はない。GoogleやUberといった巨大IT企業も実証実験を繰り返している。

 そこで、本稿では完全自動運転※2により変化するドライバーの姿を大胆に想像してみたい。運転から解放されたドライバーは疾走するクルマの中で、ハンドルの代わりに、何を手に取り、何をして過ごすのか。

完全自動運転車に求められるもの

 完全自動運転が実現したら、生活者はどんなことをしたいと考えるのだろうか。まずは“クルマ”を起点に、生活者の期待やその背景を読み解いていこう。インテージの自主調査結果※3より、「完全自動運転車でやりたいこと」のアンケート結果を図表1に示す。

図表1 完全自動運転車でやりたいこと※回答はマルチアンサー。TOTALの回答割合が多い順でソート。(タップで拡大)
図表1 完全自動運転車でやりたいこと※回答はマルチアンサー。TOTALの回答割合が多い順でソート。(タップで拡大)

 全体では、「車窓の風景を見る」「音楽を聴く」「同乗者との会話」など、これまでは運転していることで集中できなかったことがらを楽しみたいという回答が多い。年代別で見ると、20代以下は「映像鑑賞」「歌を歌う」「ゲーム」などにも関心が高く、移動時間をより楽しくアクティブに過ごしたいという志向が読み取れる。一方、30〜40代では、「仮眠、睡眠」「食事、間食」のポイントが高く、限られた時間を有効に使いたいという志向が透けて見える(図表1)。

 以上の結果から生活者が完全自動運転車に求める要素を抽出すると、まずゆったりとくつろげる空間(=快適性)はマストと言える。さらに付帯する機能として、若年には映画やゲームなどの娯楽がより楽しめる要素を充実させること、30〜40代には寝心地の良い環境、飲食をしやすいような配慮ができると良いだろう。

※1 Connected:コネクティッド、Autonomous:自動運転、Shared/Service:シェア/サービス、Electric:電動化、の頭文字をとったもの。

※2 自動運転はレベル0(ドライバーがすべての運転タスクの実施をする、いわゆる普通の車)から、レベル5(場所の限定なくシステムが全てを操作)まで定められており、完全自動運転はレベル5を指す。

※3 全国15歳〜79歳の男女72,770人に対して行った、耐久消費財・サービスに関するWebアンケート調査。(調査時期:2018年6月)

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この記事の著者

三浦 太郎(ミウラ タロウ)

株式会社インテージ シニア・リサーチャー
北海道大学大学院理学院卒業後、インテージ入社。国内最大規模の自動車に関するパネル調査「Car-kit®」の企画・運用を担当。2019年から日刊自動車新聞にて、自動車業界×生活者をテーマに、コラム『インテージ生活者インサイト』を隔月で連載中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

大泊 佑貴(オオトマリ ユウキ)

株式会社インテージ リサーチデザイン・プランナー
中央大学経済学部卒業後、インテージ入社。入社以来一貫してモビリティ関連企業の専属対応チームに所属。マーケティングリサーチから研究開発におけるデータ収集(生体データ・走行ログデータ)まで、モビリティに関わるクライアントの様々な課題解決を支援している。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/12/25 14:45 https://markezine.jp/article/detail/32650

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